- 2015-3-4
- カルチャー
- アニメ, ガンダム, 吉田晃永, 大河原邦男, 小笠原治, 岩佐琢磨
- アニメドール トロフィー 制作プロジェクト発表――ガンダムの大河原邦男氏も登場 はコメントを受け付けていません
小笠原:だいぶ飛躍してしまうんですが……(笑)。「IoT」とは「Internet of Things」という言い方をします。日本語で「モノのインターネット」という言い方をよく紙面では見かけるのですが、僕は誤訳だと思っていて。モノがインターネットに繋がるのではなくて、物事、世の中の変化であったり、いろんな人の動作であったり。
“物事”がインターネットに繋がる、そのために必要なデバイスというものが存在する。それはたぶん、アニメーションの中でいろいろ出てくる、主人公が使うようなデバイスであったり、自律型のロボットであったり。そういったものをすべて、IoTというものが結果として活動する形になるのだろうなという風に思っています。
そのために必要なネット家電、ネットに繋がったセンサーであったり、そういったものを作れる場所としてここのようなものを作ってみたり。そういうことを考えていた頃に岩佐さん、Cerevoに会って。
これからIoT、IoTというのはなかなか浸透しづらいですが、ネットに繋がったものを使って世の中すべてを繋いでいきましょうと。人間が使うインターネットの限界というのはたぶんあと100倍ないです。なので、それを無限大にするために、IoTという言葉を担いでそういった物を作っていきましょうというのがこの場でもあります。なのでそういうところを岩佐さんにご協力いただいているという感じですね。
――今後の展望がありましたらお伝えください。
小笠原:DMM.makeのプロデューサーもやらせていただいているので、事業計画をしゃべってしまうことになるのですが。事業計画自体はあまり面白いものではなく、粛々と成長させていく形ですし、日本で大河原さんがデザインされたようなものを作れる人たちを育てること自体も目的の一つです。ただ我々は簡単な言い方をしていまして、これから生まれてくるであろうインディーズメーカーで売れるような人たちの、吉本やavexのような存在でありたいと。
そういう方々が作った物を売ったり、物流を必要とされたり、サポートをどこかに頼みたかったりというところを我々は担当していきたいという風に考えていて。Cerevoさんと一緒にやっている理由としては、avexさんでいうと、岩佐さんに小室哲哉さんになってほしいと、でないと次が生まれませんという話しはしています。我々としてはCerevoさんみたいな存在をたくさん生み出し、育てていきたい。なのでこういう、無駄とも思えるような施設を作っているというのが正直なところです。
岩佐:いきなり高いボールを投げられてどう受けようかと苦労しているのですが(笑)。最近日本のものづくりは元気がないみたいな話をここ2年くらいすごく言われるようになったなと思っているんですが。家電もそうですし、自動車も一部の業界では似たような状況であったりとかして。最近、我々は実は製造をみんな海外でやっていまして、販売も半分以上は海外という。日本の人って悲観になるのが好きなのかなと。僕らはみんな不幸なんだという話をして、シンパシーで酔いつぶれるみたいな。
海外の展示会で僕らが作った製品とか、あるいは日本で作ったアニメーションもそうなんですが、「デザインド イン ジャパン」のもの、あまり僕らはメイド イン ジャパンにこだわりはなくて。デザインド イン ジャパンってアップルが「Designed by Apple in Califotnia」と言っているのが非常に分かりやすいんですが。
日本でデザインしたものを海外に持って行くと、それがアニメーションであっても、僕らのようなファブの製品であっても、どちらも日本として強いものだと思うんです。まだまだ強いもんだと思っているんですが。いいねといってもらえるんですよね。
格好いいねとか高性能だねとか、この目の付け所はなかったねと。僕らの国民性として、何か0から新しいものをクリエイトしていくというのは、かなりアドバンテージがあると思っているんです。ここを工場にしようという話ではなくて、あくまでこのDMM.makeという場所は、新しいものをデザインして、それが世界に羽ばたいていく、メーカーの卵みたいな物をたくさん作っていくという形になればいいかなという風に思って日々やっています。
ものすごく現場な話になるんですが、僕らのような始まったばかりの小さな会社をスタートアップっていいますけど、スタートアップって一つしか武器がなくて、唯一僕らが持っている武器ってスピードなんですね。お金は大企業にかないませんし、人数もかなわないし、ロビー活動とかもできないと。だからスピードだけは絶対誰にも負けないという。
このフロアで毎日、このデザインはどうかなとか、それこそ大河原さんがデザインを描いては消しという事をやってらっしゃるのと同じに僕らも企画書を書いては消し、デザインを描いては消しというのを下の設備を使いながら、作ってはつぶし、作ってはつぶし。こういうのをものすごい高速で回転させることができる、そんな設備が去年の11月にできましたんで、やっと僕らの一番強い、翼みたいなやつがやっとついたなと。すごくのびのびとやらせてもらっています。
吉田:私はここを使わせていただいているプロダクトデザイナーとして、どのように使わせていただこうかをお話ししたいと思っているのですが。今までプロダクトデザインに限らず、ものを作る、開発というものはだいたい量産といったものが前提としてあったものですから、金型というものを必要としまして、ものすごく制限があったんですね。必ず形として、割れなければいけない。金型から外せなくてはいけないという制限があったんですけれども。
このあたりが、3Dプリンタがすごく進化したということもあるんですが、あとCADも進化しまして、制限がなくなってきた。直感的に今こういうものがいいんではないかというものを、すぐに3D化して、形にして、出してみて、それをみんなに見てもらうという。そして意見をもらって、また次の新しいものに進化していくということが、ものすごいスピードでできるようになってきたという気がします。
ものを作るという制限がなくなってきたのと、今はまだ3Dプリンタのスピードが遅いのかもしれませんが、次は秒3くらいになるような期待もありまして。そうなってくるとものづくりの現場の作り方というものがすごく変わってくるのではないかと考えています。
そのときに一番大切なものというのは、人のアイディアであったりコミュニケーションであったりとか。つまり「事」というものを物事にして考えて行くことが重要なんではないかと考えていて。それをここでこれから、ものすごくいっぱいいろいろなプロの方がいますので、そういう方たちとコミュニケーションを取りながら、ものづくりに昇華させていきたいと考えています。
――最後に大河原さんに、DMM.makeに期待することなどをお話しいただけますでしょうか。