大企業製造業の回復を支えに日本経済も回復が進むという従来のパターンから、サービスなどの非製造業や、消費関連を中心に回復するという、今までにはない動きが出てきている。ここで注目すべきは、内需系小型株なのかも知れない。
今回はその中から、スター候補の2銘柄を取り上げてみた。
■スタートトゥデイ
まず、スタートトゥデイ<3092>。アパレル専門のネット通販「ゾゾタウン」運営していることで知られるが、展開しているサイトはさらに多い。高級品向けの「ゾゾビラ」、20歳未満向けの「ラブー」、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「ゾゾピープル」などである。2010年にヤフー<4689>と業務提携、サービスは中国、韓国でも展開している。
サービス開始当時、試着できないネット販売は「定着しないのではないか」という声も多かった。だが、ネット販売で先行したという「先行者利益」、物流を自社で行う「自前主義」、さらにすぐれたWebデザインで支持者を獲得した。とくに、2010年に「ゾゾビラ」をオープンさせ、会員数が200万人を突破したあたりがターニングポイントといえるだろう。現在の会員数は400万人を超えている。
中でも、ブランドのイメージに合致し、CGを使った体感型のWebデザインには定評があり、競合サイトの追随を許さない。現在では「ゾゾタウン」でしかネット販売しないブランドもあるほどだ。セール期間以外に値下げを行わないことも、顧客に安心感を与えることにつながっている。
最近は、ファッションコーディネイトサイト「WEAR(ウェア)」を利用する独自のスマートフォン(スマホ)用アプリのダウンロード数が100万を突破し、絶好調だ。「ウェア」はリアル店舗で商品のバーコードを読み取ること「ゾゾタウン」などで購入でき、さらに自分の着こなし写真をアップロードしたり、他のユーザーの着こなしにメッセージを投稿できるという特徴がある。リアル店舗の「ショールーム化」にもつながりかねないが、通信販売とSNSを組み合わせたビジネスモデルというだけでなく、新しいファッション文化の創造と発信にもつながりうる優れたものだ。
株価は2月安値2080円から大きく反発、昨年11月につけた史上最高値奪回も視野に入ってきた。押し目買い堅持。
■日本M&Aセンター
もう一つは、日本M&Aセンター<2127>。中堅・中小企業のM&A(合併・買収)を仲介する企業で、公認会計士や税理士が共同出資し金融機関などから独立していることが特徴だ。市場調査で知られる「矢野経済研究所」を持分法適用関連会社化していることでも知られる。
日本では金融機関系の系列が残り、これを超えるM&Aは一般的に行いにくい。半面、大手の系列下にない地方銀行、信用金庫などは、M&Aに関する十分なノウハウを持っていないという問題がある。
日本M&Aセンターの強みは、このようなニーズに中立的立場で仲介できること。仲介だけでなく、企業の情報や評価、M&Aに関するノウハウを提供すサービスを行ったり、人材教育に協力したりする点でも実績がある。また、相談無料、着手金以外は「成功報酬ベース」という料金体系も、中堅・中小企業に安心感を与えている。
手がけた仲介数は年間約200件、通算で2000件以上に達するが、上場企業にかかわるところでは、長崎県の弁当・食材の製造宅配会社「タクショク」のワタミ<7522>への譲渡、東京のシール印刷「サンエー」の東京リスマチック<7861>への譲渡などを手がけている。
政府の産業競争力会議などでも、中堅企業を含む産業再編が論議され、「成長戦略」への反映も進みつつある。この加速化による日本経済の活性化が求められる中、近代化、グローバル化が遅れ気味の中堅・中小企業への支援を行う日本M&Aセンターの存在は、派手さこそないが、社会的意義はますます大きなものになっているといえるだろう。
株価は2月に入り史上最高値を更新、現在は押し目形成だが、8000円割れは狙ってみたい水準だ。
(小沼正則)
※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。
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