材料株物色進む 注目銘柄を斬る【ビジネス塾】


一部の材料株が東京市場を賑わせている。今回はそんなホットな銘柄を紹介してみたい。

■太陽光発電関連の田淵電機
まず、田淵電機。電源ユニットやトランスに強い電気機器メーカーだが、約24年ぶりに800円を超える展開となっている。背景は太陽光発電用パワーコンディショナ(発電された電気を家庭用などに変換する機器)の売上が急増していること。25キロワットなどの新製品が立ち上がり、生産能力も増強、年間320億円程度の売上を見込める市場に拡大した。太陽光発電システムの需要は世界的に拡大基調であり、同社には大いに恩恵が期待できる。

業績は2014年3月期営業利益は55億円(前期比4.5倍)で、上方修正値をさらに超えた。今期も同65億円(同18%増)を見込んでおり、2期連続の最高益更新が見える躍進ぶりである。

予想PER10倍程度まで買われると目標値は1100円前後となる。急騰しているだけに、押し目買いを貫きたい。

■新技術発表で人気化するアプリックスIP
次に、アプリックスIP。ソフトウエア基盤技術事業を中心に、コンテンツサービスや機器間無線通信(M to M)などを手がける。5月20日には一時ストップ高をつけ東証マザーズの値上がり率第1位となるなど、動意含みの展開となっている。

2014年1〜3月期は赤字だったが、異なる通信方式に対応したブルートゥース・スマートの通信モジュールを搭載したビーコンや、NFC(近接距離通信)機能非搭載のスマートフォン(スマホ)でNFCと同様のサービスを実現できるタッチ式ビーコンを開発、これらの技術を相次いで発表したことが材料視されている。後者は、JR東日本の「スイカ」などと同様、ポイントカードや入退室管理システムで使用できる。

同社は、医療や看護、介護、福祉分野でのサービス開発用に、ペンダント型ビーコンを無償貸与することも発表した。ウエアラブル機器としての利用の広がりが期待できる試みと言える。

業容の急拡大期待もあり、3月高値2725円奪回は十分可能と思われる。利食いも出ようが、1500円近辺の押し目を狙いたい。

■業績急回復のミクシィ
最後に、ミクシィ。ここ数年、米フェイスブックの上陸に押され、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のアクティブユーザーが減少、不振を囲っていたが、見事に復活した。2014年3月期の営業利益は前期比約80%減少の4億8000万円、純利益は2億2700万円の赤字となっていたが、2015年3月期は営業益で100億円まで回復する見込み。

理由は、昨年秋に投入した、最大4人までいっしょに遊べるスマホ向けソーシャルゲーム「モンスターストライク」が、利用者が4月末で600万人を突破するほどに好評なこと。「モンスターストライク」が中国、香港、マカオ、台湾などでの展開が予定されることは好材料で、課金収入が大幅に増加する見通しだ。これに引っ張られるかのように、ライフイベント領域(求人広告、フォトブック、結婚支援事業)も順調に盛り返している。7月に予定する株式分割も好感されている。

ただ、ゲームはアイテムなどの改良を積み重ねないと「飽きられる」だけに、いたずらな楽観視は禁物。肝心のSNS事業で盛り返すことが肝心だろう。最近、同社はアクティブユーザーを発表していないが、2012年末で約1300万人。フェイスブックは日本国内だけで2100万人を超え、ラインとなると4000万人に達すると言われる。業績が回復しているうちに、大きなテコ入れが不可欠といえるだろう。

株価は文字通り急騰し5月7日安値5040円から同22日には高値1万160円と倍化を達成。さすがに過熱感は出てこようが、昨年のガンホーの例もあり、侮れない。追撃買いに妙味があると思われる。

 以上、ホットな3銘柄を取り上げたが、共通するのは業績の変化率の高さ。市場環境はもやもやしているが、これらの好業績銘柄への注目を続けたい。

(小沼正則)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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