米国の連邦公開市場委員会(FOMC)は12月18日、量的緩和政策(QE3)による債券買入額の縮小(テンパーリング)が始まった。
バーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長は、緩和を縮小しても「依然、かなりの金融緩和にコミットしている」との見解を示した。
今回の発表の内容と先行きについて考えてみた。
■発表はほぼ想定内
FRBの措置は、QE3による債券買入額(現在、毎月850億ドル)を毎月100億ドルずつ縮小し、秋に停止すると発表した。ただし、ゼロ金利は継続する。
一連の発表は、ほぼ予想の範囲内だ。昨年5月、バーナンキ議長が「出口」(金融緩和の縮小・停止)に言及した際、世界的に資金の動きが変動し、株価が下落するといった問題が起きた。
これを教訓に、FOMCもFRBも慎重で段階的な対応を示し、債券買入額の縮小が即、「金融緩和の停止」や「引き締め」ではないという説明を繰り返している。5月以来の市場の「過剰反応」を教訓に、いたずらな反応を引き起こさないよう留意したものといえるだろう。FRB内の合意形成にも時間をかけたようだ。
■今年の市場動向は明るいか
資金の動きや内部の意見に配慮しただけではない。米国経済は回復基調が確かなものになっているとはいえ、失業率は目標の「6.5%」よりもやや高いし、物価上昇率も低めである。つまり、デフレ傾向がいまだ残っている。
この状況下、金融緩和措置を急速に縮小・停止すれば、景気の「腰折れ」となりかねない。緩和の継続はバブル要因ではあるが、「腰折れ」よりはましである。これまでも述べてきたが、金融緩和の早期の縮小はあり得ず、「毎月100億ドルの縮小」も、すんなり進むとは限らない。つまり、秋に終了しない可能性もある。
次期議長となるイエレン氏の課題は、景気動向を見ながら暫時、緩和措置を縮小に向かわせ、肥大したFRBのバランスシート(貸借対照表)を調整すること、すなわち「長期的な出口戦略」を明らかにすることになろう。
逆にいえば、昨年5月以来懸念された、新興国からの資金流出などの世界的な資金移動の激変は起きず、順次進行する可能性が高い。そうなれば、米国、ひいては日本の株式市場は今年も続き豊富な緩和マネーの恩恵を受け、活況が続く可能性が高いということだ。この下で、実体経済も着実に回復しつつある。中国や欧州経済などのリスクは残るが、全体としては、今年の市場動向は明るいものとなりそうだ。
(編集部)
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