- 2014-11-29
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- Android, iPhone, Klee, ガーブー, クレー, 藤崎ルキノ
- ハロウィン当日、渋谷で開催された「リアル宝探しイベント」を仕掛けたガーブーにインタビュー はコメントを受け付けていません
『深夜のハロウィン騒動で沸いた渋谷! 昼に開催された「リアル宝探し」イベントに挑戦!』という記事で紹介したように、2014年10月31日(金)に渋谷でユーザー参加型のリアル宝探しイベント『総額30万円が東京渋谷に舞う!リアル宝探しイベント「藤崎ルキノ×Klee(クレー)」』が開催された。
同イベントは渋谷の街中30か所に隠された小さな宝箱をイベント参加者に探してもらうという一見シンプルだが、実際は難易度の高い企画であった。ただ、誰でも自由に参加できることに加え、総額30 万円相当のお宝をゲットできるということもあり、イベントは大盛況となった。
このイベントがどういう経緯で実施に至ったのか、そもそもどこが仕掛けたのか気になる人もいるだろう。そこで今回の企画を手掛けた仕掛け人である株式会社ガーブーのプランナーである水谷 翔氏に直撃インタビューを実施、本イベントについての裏話などを聞き出すことができたので紹介しよう。
■ユーザーに楽しんでもらうことが好感度につながる
先述したように『総額30万円が東京渋谷に舞う!リアル宝探しイベント「藤崎ルキノ×Klee(クレー)」』は、渋谷の街中30か所に隠された小さな宝箱を、参加者が探し出すといういたってシンプルな企画だ。隠し場所のヒントは、公式アカウントから随時Twitterに投稿されるので、参加者はそのヒントを頼りに宝箱を探して渋谷中を動き回った。
隠し場所は飲食店やアパレルなど多種多様な店舗と、宝箱を持ったコスプレイヤーさんが待つ公園などもあり、全30か所とはいえ、かなりの範囲を動き回る必要があった。
水谷氏によると「公式アカウントによるツイートからのヒントとは別に、参加されているコスプレイヤーさんの個人アカウントからのツイートもヒントになるので、いろんな確度から楽しんで頂ける企画になったのではと思います。Kleeの特異な世界観に魅かれたファンの方々との相性も良く、非常に好評でした」とのことだ。以降、編集部とのやり取りを紹介しよう。
編集部:米国でのHiddencashムーブメントをヒントにされたとのことですが…。
水谷氏:ええ、ただそのままの形で輸入するのは不可能だと判断しました。米国は、良い意味でノリがよくポジティブなお祭りごとには公的機関も寛容な文化です。対して日本はいわゆるシャイで生真面目なお国柄なので、米国とは180度違うというのが理由です。そういった意味で、ローカライズではなくカルチャライズにあたるような苦労もありました。
企画の設計はユーザーインサイトをどこまでシミュレーションできたかにかかっていると思います。やはり米国のソーシャル性は日本のそれとは大きく違います。その辺の空気感は、私の前職だった日本固有の某SNSで培ってきました。
例えば、日本のソーシャル設計で大事なのは”言い訳感”です。たとえば日本の人たちって、目の前にただお金が落ちていても拾いません。ましてや「やったー、お金拾った」と喜んでTweetもしないと思うんです。それを迷わず拾わせる仕掛け、喜んでTweetさせる仕掛けを作ることが重要でした。
行動させる言い訳、言い換えるとモチベーションの後押しを演出してあげる。ここが本企画をカルチャライズさせる上で大変だったところです。が、とてもおもしろくもありましたね。一度火をつけたら、拡散力は世界一の国民性ですから。お金を街に隠すだけなら誰でもできますが、ただ道ばたに落ちているお金からはじまるストーリーを作るのはソーシャルマーケティングを手がけてきた我々だからこそできたのではないかと思います。
編集部:本質的な広告効果とは別の文脈で語られることが多いPRイベントという存在ですが、ソーシャルマーケティングを手がけてきたガーブーさんが今回のPRイベントを手掛けた理由は?
水谷氏:僕たちはこれまで数百万人ものユーザーが参加するようなWebキャンペーンを年間100本以上やってきました。なので数字は最も大事にしている指標の1つではあります。UUだけ見た場合、動員1人当たりのコスト的にはWeb上のキャンペーンと比べ、従来型のイベントは非合理かもしれません。なので、今回のような同時多発型を考えました。1か所に向かって100人が謎解きを始めたとして、例えば100か所隠し場所があったらそれだけで1万人参加のイベントになります。
今回PR対象とした『Klee』というゲームは、コアなユーザー層に物凄く高い評価を得ていながら、まだまだその価値が広く世に届けられていない。可愛いキャラや親しみやすい世界観とか、あまりゲームに没頭しない層にも楽しんでもらえる造りになっているので、それを未リーチ層に伝えるために、「渋谷×リアルゲーム×ハロウィン」といったゲームと親和性の高いテーマを選びました。
僕たちはソリューションニュートラルと言いますか、ソーシャルおよびデジタルマーケティングが得意だと思っている一方で、そこに固執するつもりなどまったくなく、目的に対して最も意味があると思ったソリューションを提供していく。リアルなイベントが必要だと思えば今回のように従来型のイベントを選ぶということになるわけです。
編集部:今回、どういった点が苦労されましたか?
水谷氏:参加者の興味を引くようなヒント作りや、イベントを無事に完遂させるための詳細なマニュアル作りなどは、かなり苦労しました。外注には一切出さず、全部オートクチュール(編注:特注品の意)で作っていったので、地道な作業も多数ありました。
あとは、当日の天候。街中で行うリアルイベントだったので、雨が降った場合のシミュレーションなどは大変でした。雨には本当に降ってほしくなかったですね。ほら、太陽の光だけは無料じゃないですか。
編集部:ところで、『Klee』とはどういうゲームなのでしょうか?
水谷氏:Kleeは100万人以上のユーザーが利用する、スマホで楽しめる本格的なMMORPGです。フル3Dのオープンワールドを仲間と冒険します。たくさんの人が集まるタウンではかわいいアクションやチャットでコミュニケーションを楽しむことが可能なゲームです。
編集部:水谷さんは『Klee』で遊んでいるのでしょうか?
水谷氏:実は今まで『Klee』をプレイしたことがなかったのですが、このイベントを企画するにあたってはじめてみたところ、すっかりハマってしまいまして…。とにかくキャラクターがかわいいですし、建物や音楽などKleeの世界観も新しい感じがして、とても気に入っています。
僕は普段あまりゲームをしないのですが、やってみたらどんどんのめり込んでしまいました。今では『Klee』の友達(クレとも)もたくさんできてギルトを作って、メンバーとわいわい遊んでいますね。空き時間があればすぐさま『Klee』って感じです。
編集部:最後に、水谷さんの今後の目標をお聞かせ願えますか?
水谷氏:僕個人の目標としては、とにかく多くのユーザーに楽しんでもらえる、印象に残るような企画をたくさん作っていきたいです。会社としてはパートナー目線や代理店目線ではなく、マーケティング主体者としての目線で企画やプロジェクトに携わって、クライアントの利益を最大化していければと思っています。そのためにもユーザーに楽しんでもらえる企画を作っていくことが大事だと思います。運営側の都合でユーザーにとって煩わしい導線やメッセージを置いてしまうことは結果的にクライアントの利益にならないので、とにかくユーザーに楽しんでもらう。それがクライアントやブランドの好感度につながると思っています。今後の企画もぜひ期待してください。
ユーザーとクライアントの間に立って面白いイベントを企画し実施するのは、なかなか大変なことだと思う。特にユーザーに楽しんでもらうことを第一に考えているとのことだが、クライアントの利益とユーザーの利益が必ずしも一致するとは限らないわけで、同社が今後、どういった形で新イベントを仕掛けてくるのか、今から楽しみでならない。
■株式会社ガーブー 会社概要
株式会社ガーブー gaaboo Inc.
設立:2014年8月1日
代表:辻 正隆
事業内容:ソーシャルメディアマーケティング事業、デジタルソリューション事業、サービス・事業開発支援事業
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-16-3 第1ミネギシビル8F
http://gaaboo.net/
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