世界的には、ロシアによるクリミア半島の自国への編入が問題となり、オバマ米政権は各国を回って制裁などの根回しに躍起になっている。
だが、世界でもっとも「危険な」のはクリミア問題ではなく、実はあの国なのである。
■最大の問題は不良債権
その国とは、中国である。2月末、オーストラリアのシドニーで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がすんなりと終わった理由の一つも、中国リスクの拡大である。当時、新興国からの資金流出が問題となっていたが、会議が近づくにつれ、参加者はより深刻な中国リスクに気づいたのである。
ただ、この会議の際は、中国代表が「問題ない」旨の発言を行ったため、それ以上の質問などはなかったようだ。参加国はいずれも主権国家であるから、相手が「大丈夫」と言うものをそれ以上には追及できないのである。
その中国経済の問題は、一言でいえば不良債権問題である。バブル崩壊後、とくに2000年代初頭の日本、あるいは2008年のリーマン・ショック直後の米国経済と似ている。
現在、中国企業は全体で、国内総生産(GDP)の120〜130%もの債務(借金)を抱えているという。通常の先進国では50〜70%らしいので、その4倍以上である。中国企業はまさに「借金漬け」で、借金を返すために借金を繰り返しているのである。
■理財商品のリスク
問題は、中国企業の借金が、通常の銀行融資だけでなく、理財商品といわれる金融商品で調達されていることである。理財商品は高金利の金融商品で、一般国民にも販売されている。金融ブローカーが高金利を売り物に債券を販売して資金を集め、それを企業に融資するという構図だ。当然ながら金利は高く、10%以上はザラだ。
現在、中国では不動産バブルが崩壊し、企業倒産が起きている。理財商品で資金を調達した企業が倒産すれば、そこに投資した投資家には資金は戻ってこない。問題は、理財商品の販売過程で、「元本保証」などのサギ的宣伝が横行していることだ。理財商品の債務不履行(デフォルト)が頻発すれば、投資した国民は「こんな話ではなかった」と怒ることは間違いない。倒産した企業の従業員にとっても、投資家にとっても悲劇だ。
やっかいなのは、国有企業が倒産した場合である。中国の国有企業は社会主義時代の名残から、退職した元従業員への年金や住居など、多くの社会保障などを抱えている。これが倒産すれば、多数の高齢者にも影響が出る。
中国政府としては、効率の悪い企業は助けず倒産させる方針のようだが、国有企業だけを救えば批判が出るので、その基準は誠に難しい。下手をすれば、習近平政権自身への批判になりかねない。
中国経済をめぐっては、「理財商品の影響は大きくはない」という楽観論もあれば、「それでも重大なショックになり得る」という悲観論の両方がある。どちらにしても、脅威の高度成長を続けてきた中国経済が曲がり角に来ていることは間違いない。
中国という国をどう見るかは別にして、隣国の日本にも大きな影響がある。注視を怠らないようにしたい。
(編集部)
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