- 2014-12-2
- ITビジネス
- 2014年第3四半期, Zendesk, Zendeskベンチマーク, 集計結果公表, 顧客満足度レポート
- 長期に渡る満足度も徹底調査!「Zendeskベンチマーク2014年第3四半期顧客満足度レポート」公開 はコメントを受け付けていません
「顧客満足度に影響を与える行動とは? Zendeskのベンチマーク調査でわかったこと」という記事でも紹介したように、Zendeskは膨大なデータを有効活用できる次世代分析ツール「インサイト(Insight)」をはじめ、様々なサービスを展開している。そして参加企業が自社のサポートのパフォーマンスを同業他社と比較する手段として「Zendeskベンチマーク調査」を2012年3月に初めて導入した。
「Zendeskベンチマーク調査」は、アンケートを通じた意識調査や専門家の所見ではなく、調査への参加に同意した140か国、2万5000社以上の企業における実際のサポートおよびカスタマーサービスにおけるやり取りに基づいて測定している。いわば顧客の生の声をダイレクトに吸い上げて分析した調査結果だ。そこに含まれる内容は非常に貴重なものであることは容易にわかるだろう。
Zendeskでは、この調査データにより、カスタマーサポートの効率性、セルフカスタマーサービスの動向、カスタマーの関与の度合いに関する重要な指標を測定し、サービスの改善に役立てている。
今回、Zendeskベンチマーク2014年第3四半期が行われ顧客満足度レポートが集計された。同調査において、非常に興味深い結果が出たので、ここで紹介したいと思う。
■Zendeskベンチマークのネットプロモータースコア(NPS)とは?
今回の「Zendeskベンチマーク2014年第3四半期顧客満足度レポート」では、Zendeskに新たに導入された「ネットプロモータースコア(NPS)指標」について詳しく解説されている。
NPSは長期的に見た際の顧客ロイヤルティを計測する指標だ。NPSを長期に渡って追跡することで、企業は顧客に与える印象を定量化でき、企業の長期的な成功に欠かせない貴重なフィードバックを収集することができる。
これまでZendeskが提供してきた顧客満足度調査のアンケート機能は、直近のやりとりに関しての顧客満足度を計測することが可能な一方で、長期的な満足度の計測という点では限界があった。そこで、Zendeskでは、 従来の顧客満足度調査アンケートを補完するツールとして、長期的な顧客ロイヤルティを計測するため、NPSアンケートツールを新たに導入した。
NPSのアンケートは、リピートと推奨の両方の可能性を予測できる「X社(この場合Zendesk)を知人に勧める可能性はどのくらいありますか?」という質問を顧客に問いかけることをベースにしている。
この質問に対し顧客は「0」から「10」までの評価で回答する。この11段階の評価にもとづいて顧客を以下のように『推奨者』『中立者』『批判者』の3つのグループに分類する。
スコア0~6=「批判者」:その企業に不満を持つ顧客。たいていの場合、友人や同僚がその企業の製品やサービスを使用することを止めさせようとする。
スコア7~8=「中立者」:その企業のことを他人に積極的 には勧めることのない顧客。
スコア9~10=「推奨者」:その企業の製品を今後も購入し、他人に積極的に勧める可能性が高い顧客。
このスコアが出たら、次に推奨者の割合から批判者の割合を差し引いてスコアを算出する。推奨者が批判者よりも多ければNPS数値はプラスになり、逆に批判者が推奨者よりも多ければマイナスになるといった具合だ。このように簡単に運用できるロジックである点が特徴であり、NPS数値を長期に渡り追跡し、不満点を改善をしていくNPS値を上げていくことができる。
■「Zendeskベンチマーク」で明らかになったこと
さて、NPSについて理解してくれたと思うので話しを元に戻そう。今回行った「Zendeskベンチマーク2014年第3四半期顧客満足度レポート」では、下記のことが調査結果として明らかとなった。
・Zendeskの顧客企業のNPS値(グローバルスコア)は「33」
Zendeskに対し22か国と16業種の企業から収集したデータからは「33」というNPS値が得られた。NPSの分布を見ると、評価は11段階の評価の両端に偏る傾向があり、回答者の54%が「0」または「10」を付けている。NPSの各カテゴリ(推奨者、中立者、批判者)の割合に応じて評価をグループ分けすると回答者の55%が推奨者であることが分かる。
・アンケート回答者の53パーセントが、自由記入式のフィードバックコメントを残している
NPSアンケートと顧客満足度調査では、会社を評価できるだけでなく、評価の理由について顧客が自由にコメントする機会を提供している。
コメント率という点で、NPSアンケートを一般的なアンケート調査(顧客満足度)と比較したところ、自由記入式のフィードバックコメントを残した顧客の割合を見ると、NPSアンケートの全体的なコメント率は、一般的な顧客満足度調査のほぼ2倍になっていることがわかった。
たとえばNPSアンケートへの回答率が、一般的な顧客満足度調査の半分であっても、NPSアンケートに回答する顧客は、回答への説明を記入する傾向にあり、それはそのまま企業にとって貴重なフィードバックになるわけだ。
・良いカスタマーサービスを受けた経験が、長期的な顧客ロイヤルティに影響を与える
今回のベンチマークでは、カスタマーサービスとNPSフィードバックとの関係を理解するために、サポート後の顧客満足度を測定する顧客満足度データを調査した。
カスタマーサービスとのやりとり後に顧客が残した満足度評価に基づいて、推奨者、中立者、批判者を分類してみると、過去にカスタマーサービスに好意的な評価をした(「満足」と回答をした)顧客の62%は、NPSアンケートの結果でも推奨者として分類されるということがわかる。これとは対照的に、過去のカスタマーサービスのやり取りで悪い評価を付けた(「不満」と回答をした)顧客が推奨者となる割合はわずか17%となった。
顧客の意見を知ることは、企業にとって改善すべき点、そして改善策を見出す重要な手引きとなる。また、問題が発生する前に顧客をフォローアップしたり、対話を始める機会にもなったりする。フィードバックへの感謝を述べたり、詳しい情報の提供を求めたり、コメントで報告された問題を解決することが、顧客との対話のきっかけとなるだろう。
今回、10万3000件ものNPSアンケートの回答に基づいてNPSデータの初回分析を行った結果、以下のようなことも判明した。
1)NPSアンケートでは従来の顧客満足度調査と比べ自由記入のフィードバックを得られる割合が高い
2)カスタマーサービスは長期的な顧客ロイヤルティに大きな影響を与える
3)良いカスタマーサービスを受けた顧客はクチコミを広める傾向が高い
Zendeskは、今回のレポートの結果から得られた知見を活かし、今後もZendeskを利用される顧客がより良いサービスを提供できるよう支援していくとしている。このように自社製品のパフォーマンスを定期的に計測し、問題点や改善点を見付けていくZendeskの意識がサービスの品質を高め、それがさらに顧客満足度を高めていく原動力になっているわけだ。かなりシビアな結果も正直に掲載している点で好感が持てる。そして今後も発表されるベンチマークレポートの結果も楽しみだ。
同社のサービスを利用しようと思っているのであれば、まずはこういったデータをチェックしてから検討するようにしてもらいたい。