クラウド型サービスが「花盛り」で、関連銘柄が注目を集めている。インターネット関連のソフトウェアやサービスは次々にクラウドにシフトし、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末もさまざまなクラウドサービスを利用できるようになってきている。
ネット系企業とクラウド系企業の区別がつかなくなっている現実もあるが、基本的には、「クラウドはネット系企業によるネットを使ったアプリケーションサービス、およびその提供方法」と定義されるかもしれない。
なぜクラウドが注目を集めるようになったのかといえば、米国でスマホやタブレットを媒介に普及しているということが第一である。加えて日本では、東日本大震災を契機にデータ保守への関心が高まったことと、緊縮財政を余儀なくされた自治体による利用が広がったことがある。クラウドのメリットは、コストの削減とデータ保護が大きいからである。
現在のところ、100人以上の企業を中心に普及が始まっているが、利用されている形態の大部分は、基幹システムのクラウド化とデータのバックアップである。企業によっては、情報システムやデータを複数のデータセンターに分散しているところもあるが、まだ少数。個人によるクラウドサービスの利用も増えているが、まだ「先進層」にとどまっている。
■関連企業の取り組み
こうした中、富士通<6702>は、自社製パソコン(FMV)の標準機能に個人向けクラウドサービス「マイクラウド」を組み込み、普及を図っている。マイクラウドは、画像や映像ファイルなどのバックアップのほか、電子書籍やインターネットショッピング、さらにアポートまでも組み込んだ総合的なもので、自社のデータセンターやソフトウェアを使った企業向けサービスで強みを発揮している富士通ならではのものだ。傘下のニフティ<3828>も、米アマゾンと類似の、サーバーリソースを貸し出すサービスを手がけている。
インターネット関連企業としては老舗であるインターネットイニシアティブ(IIJ)<3774>が手がけるのは、スタンダードなデータ保存(ストレージ)やデータベースサービス。社内ファイルサーバや遠隔地バックアップなど、法人向けサービスをさまざまに取りそろえている。
個人向けでは、ヤフー<4689>が面白い。インターネットの普及初期から、ホームページを無料で簡単に作成できるサービスなどを提供していたが、個人向けのストレージ「ヤフー・ボックス」が普及し始めている。企業向けにも、サーバーリソースを貸し出すサービスにも進出している。
インフォテリア<3853>は、スマホやパソコン向けにマニュアルやカタログなどを手軽に作成・配信・閲覧できる統合サービス「ハンドブック」を提供、支持を集めている。青山学院大学などの大学のほか、企業でも500社以上が採用しており、国内のモバイルコンテンツ管理では随一だ。
■今後のクラウドの行方
今後は、サーバーリソース・サービスを活用した多彩なクラウド企業群が登場することに期待したい。日本のクラウド企業は、まだ「インフラ提供型」の企業が多数派だが、米国ではそのインフラを使った中小のサービス企業が次々に登場している。
データの自動同期で世界的に利用者の多い「ドロップボックス」や「シュガーシンク」、容量無制限の「ビットカサ」、クラウド上でオフィス文書を作成・保存できる「ボックス」、クラウド型のメモサービス「ドロップラー」などである。
クラウドは来年の大きなテーマとして浮上する可能性が高い。売り上げに占めるクラウドの比率などを考えると、IIJ、インフォテリアなどの妙味があると思われる。今後の動きに注目してみたい。
(小沼正則)
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