- 2025-11-25
- ITビジネス
- 日本ブランドを“選ばれる価値”へ!Kitchen & Company、新サービス「Creative Growth Services(CGS)」始動 はコメントを受け付けていません
多くの日本企業には優れた技術力や独自の美意識がありながら、世界的な知名度を十分に獲得できていないブランドが少なくない。こうした状況を踏まえ、「バルミューダ」など日本発ブランドの企業価値をグローバル市場で高めてきた株式会社Kitchen & Company(以下、K&C)は、日本ブランドの埋もれた価値を掘り起こし、プレミアムブランドとして昇華させ、世界市場での創造的成長を支援するサービス「Creative Growth Services(以下、CGS)」を開始した。本稿では、この新サービス「CGS」の概要を紹介する。
■世界市場での成長を支援するサービス「CGS」 とは?
Creative Growth Services(以下CGS)とは、「自社商品をグローバル市場で、プレミアムブランドとして成長させたい」と考える日本の中小企業を支援するサービスだ。ブランド成長を目的に、川上から川下までの全工程――ブランのド設計・戦略・営業・販売・流通開拓までをK&Cが一貫して担う点が特徴である。
多くの中小企業は「自社ブランドが欧米市場でプレミアム商品として受け入れられるのか」という不安を抱えている。しかし実際には、世界に誇る技術や美意識を持ちながら、その価値が十分に海外へ届いていない企業も多い。結果として、価格競争に巻き込まれるという構造的課題が生まれている。
K&CがCGSで目指すのは、“伝わらなかった価値”を“選ばれる価値”へと転換することだ。ブランドの本質を守りながら、売上責任まで含めて伴走するという考え方のもと設計されたのが「CGS」である。
■C G S第1弾プロジェクトは世間をざわつかせたバルミューダのランタン
K&CのCGSモデルが初めて欧米で実装されたのが、デザインファームLoveFrom(ラブフロム)とBALMUDAが共同開発したLEDランタン「Sailing Lantern」(2020年9月リリース)だ。
■海外のレビューで大絶賛!
雰囲気をつくる美しい照明だ ――Esquire ※1
キャンプにも室内にも馴染む洗練されたデザイン ――Newsweek ※2
目に直接光が当たらない柔らかい灯り ――Crate & Barrel(米国インテリアショップ )※3
※1 https://www.esquire.com/lifestyle/a39690653/balmuda-lantern-review-endorsement/?utm_source=chatgpt.com
※2 https://www.newsweek.com/balmuda-lantern-review-designer-light-that-works-outdoors-inside-1624288?utm_source=chatgpt.com
※3 https://www.crateandbarrel.com/balmuda-led-rechargeable-outdoor-lantern/s562154?utm_source=chatgpt.com
さらに、2025年9月にはLoveFromとBALMUDAのコラボレーションモデルがローンチし、大きな話題を呼んだ。デザインを手がけたのは、iMacやiPhoneなどAppleの主要製品を担当してきたジョナサン・アイブ率いるLoveFrom。1,000台限定・価格550,000円(税込)の特別モデルとして発表され、世間の注目を集めた。
アメリカ、イギリス、ヨーロッパ各国、韓国、日本を中心にグローバル展開され、高い関心を集めている。
■日本企業のうち輸出に関わる割合はわずか8%という現実
そもそもプレミアムブランドとは何か? その定義を整理しておきたい。プレミアムブランドとは、最高品質や独自性、卓越したサービス、さらに希少性などによって、高い付加価値を提供し、消費者にそう認識されるブランドを指す。
高い品質と戦略的な価格設定に加え、ブランドストーリーや特別な体験を提供することで、消費者にステータスや憧れ、満足感をもたらす点も特徴だ。K&C代表の中道大輔氏は、日本にはこうした潜在的なプレミアムブランドが数多く存在すると話す。
「私はアディダス ジャパン、ナイキジャパン、フォルクスワーゲン ジャパンなど、世界的ブランドのプロデュースを数多く手掛けてきました。日本にはプレミアムな価値を持つブランドが数多くあるにもかかわらず、世界へ進出できていないのが実情です。お茶や焼酎といった分野にも埋もれたブランドが多く存在します。これほど多くの企業が良いモノをつくっているのに、世界に届けられていないことが本当に悔しい。だからこそ、売上にも責任を持つという考え方で設計したのがCGSです」(K&C代表・中道さん)
■日本の中小企業が海外市場で直面する3つの課題
日本企業の9割以上を占める中小企業は、海外展開において共通する3つの課題を抱えている。
課題1. 資金不足(54.9%)※
海外進出に必要な初期投資や現地での運営資金を確保できず、事業が思うように進まないケースが多い。特に製造設備、現地マーケティング、物流コストは負担が大きく、銀行融資や補助金への依存が避けられない状況にある。
課題2. 人材ギャップ(52.1%)※
語学力や現地商習慣の理解、海外取引や規制対応の知識など、海外ビジネスに不可欠なスキルを持つ人材の確保が難しい。結果として、進出計画が遅れるケースが多い。
課題3. 販売ネットワークの弱さ(47.6%)※
製品を現地で販売するための流通網やパートナー企業の不足も深刻だ。信頼できる代理店や販路がなければ、商品は市場に届かず、その価値を発揮できない。さらに、海外市場に関する情報不足も、適切なパートナー選定を難しくしている。
※内閣府経済白書より
■日本企業が「プレミアム・ライフスタイル市場」を狙うべき3つの理由
理由1. 量ではなく質で日本は競争できる
日本が世界に提供できる強みは、「深みのある品質」と「文化に根ざした美意識」だ。人口規模や資源量で競争できない現在において、“質の深さ”こそが最大の競争力となる。
・日本の輸出構造は、量産型よりも高付加価値型(精密機器・工業製品・クラフト)。
・プレミアムマーケットの成長の80%以上が“価格上昇”によるもので、数量増は限定的。※4。
・欧米では“クラフトマンシップ”や“文化体験”への支出が継続的に増加※5。
理由2. 世界的に見ても平均点が高い日本の独自価値
多くの国では「突出した才能」と「低品質」という振れ幅が大きい一方、日本は製造・サービス・ホスピタリティの平均水準が世界トップクラスにある。安定的に高い品質を提供できる点は、プレミアム市場における“信頼の証”となる。
理由3. 日本がまず欧米市場から始めるべき理由
欧米における評価基準は「生活の質」や「文化的基準」に根ざしており、世界の消費者が“質”を測る際の参照点となる市場でもある。
・欧米のプレミアム家庭用品市場は、今後8年で約5.24%成長見込み※6。
・高級ブランド・体験型業態の多くは欧米発。
・アジアの富裕層も欧米基準を通じて“本物”を判断している。
※4 McKinsey『State of Luxury 2025』
※5 Julius Bar, Wealth Report
※6 Europe Homeware & Kitchenware Market Report 2025.
■K&Cが向き合うのは、誰も成果を出せていない「60兆円のホワイトスペース」
中道代表は、次のように語った。
「私たちは、日本発ブランドを“Quality Story”としてグローバル市場に翻訳するオペレーターです。誰も成果を残せていない60兆円規模の空白市場に対し、K&Cは確実にアプローチできると考えています。
製品と体験の両面から“違いがわかる層(Discerning Customers)”に価値を届け、日本発の“ジャパニーズ・プレミアム・ライフスタイル”という新たなカテゴリーをつくりたいと考えています。」
K&Cが見据える市場は、グローバルのプレミアム・ライフスタイル領域の中でも、成長余力と未開拓性の高いセグメントだ。
・Home & Kitchen:約 $40–60B(約 6〜9兆円)
・Food & Beverage:約 $300–500B(約 45〜75兆円)
・Lifestyle / Apparel:約 $430–590B(約 65〜90兆円)
総計 約110〜170兆円規模 の巨大市場のうち、K&Cが狙う“Accessible Premium”セグメントは、市場可能性(SAM)で20〜35兆円、広義では最大60兆円(TAM) に達する。
中道代表は、この市場を支える顧客層について説明した。
「“違いがわかる層”とは、単なる消費者ではなく、品質・思想・背景といった目に見えにくい価値に敏感な人々です。価格やスペックだけでなく、ブランドの哲学に共鳴する。私は、日本のプレミアムブランドはこの層に確実に受け入れられると考えています」
■Kitchen & Companyが日本の「見えない価値」を事業成長につながる“市場言語”へ翻訳する
2013年の設立以来、Kitchen & Companyは「価値観の再定義」を軸に、市場に新たな需要を生み出すクリエイティブエージェンシーとして成長してきた。表現やデザインにとどまらず、ブランド戦略・事業構造・グローバル展開までを一貫して設計できる点が同社の強みである。
日本企業がこの30年で世界市場における存在感を落としてきた背景には、技術力の低下ではなく、“価値を翻訳できるプレイヤー不在” という構造的な課題があった。言語の壁や文化文脈のズレにより、日本発ブランドの本質が市場で正しく評価されないまま埋もれてきたのである。
Kitchen & Companyは、創業から12年間で築いた基盤と、新たなマネジメントチームが持つグローバルネットワークを武器に、この“翻訳の断絶”を埋める役割を担おうとしている。
日本の深い品質・文化的価値を、世界の顧客が理解できる 「Quality Story」 に変換し、欧米市場の“違いがわかる層”へ届ける。そこには、まだ誰も成果を残せていない最大60兆円規模のホワイトスペースが広がっている。
今、世界は“質のあるブランド”を求めている。そして日本には、まだ伝わっていない価値がある。その価値を「世界で選ばれるブランド」に転換できるかどうか。その問いに対するひとつの解として、K&Cは東京から意図的な変化を起こそうとしている。
テクニカルライター 脇谷 美佳子
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代表取締役・ITライフハック代表
ITライフハック編集長・ライター
ITライフハック副編集長・ライター
