地方銀行とスタートアップがFinTechで協業!「TSUBASAアライアンス Finovation Challenge 2018-2019」を開催

  • 2019-3-15
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地域が抱える様々な課題をフィンテックの活用により解決に結びつけることをテーマとして企画された「TSUBASAアライアンス Finnovation Challenge 2018-2019」が、T&Iイノベーションセンター主催で行われた。


2回目となる今回は「銀行ビジネスのトランスフォーメーション」がテーマ。地方銀行が持つビッグデータやシステムインフラ、顧客ネットワークなどの経営資源を最大限活用しながら、銀行ビジネスそのものを変革しうるようなアイデアやプランを、2018年10月から募集した。
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今回は100件以上の応募が集まり、選考を通過した6社がブラッシュアップし、プレゼンテーションを行い最優秀社を決定することになる。
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■地方銀行の広域連携により改革をもたらしていく
TSUBASAアライアンスは千葉銀行、第四銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、北越銀行の7社が参加する地銀広域連携の枠組みで、フィンテック企業等の外部事業者が利用できるオープンAPIも提供している。今回のコンテストでは武蔵野銀行、滋賀銀行からも特別協賛を得て実施された。

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開催にあたり、千葉銀行 取締役頭取の佐久間英利氏より挨拶。現在は平成が終わり、新たな時代が始まる節目の年だが、次世代を見据えると、地域金融機関にとって人口減少や高齢化進展している中で、地方銀行には今後も地域経済の持続的成長という使命をしっかりと果たす必要があるだろう。

そのためには従来の枠組みにとらわれず「ビジネスの変革に向けて、先進的な知見や技術を持った外部の皆様の協力を得て新たな価値を創造していきたい」と語る佐久間氏。さらに、TSUBASAアライアンスは地銀最大の枠組みで、メガバンクに匹敵する規模になっており、「フィンテックにとどまらず様々な分野で連携を進めており、参加の企業の皆様は、地域金融機関とのビジネスチャンスにつなげて欲しい」とした。

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T&Iイノベーションセンター代表取締役会長 森本昌雄氏

主催者のT&Iイノベーションセンターから、同社代表取締役会長の森本昌雄氏がコンテストの概要と経過について述べた。

このコンテストを主催するT&Iイノベーションセンターは、TSUBASAアライアンスの各銀行と日本IBMがフィンテックに関する調査研究を目的に共同出資して設立したもの。TSUBASAアライアンスに参加している銀行と同社が作り上げた「TSUBASAフィンテック共通基盤」の構築、運営を行っているが、今回のようなコンテストも活動の一つ。「コンテストを通じ共通基盤を活用し、各企業と連携し新たなサービスを生み出して行きたい」と語った。

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■選定企業によるプレゼンテーションも
今回のコンテストは2018年10月から募集が始まり、100件以上の多種多様なアイデアが集まったとのこと。事前の書類審査で18件まで絞られ、その中から6社が選定された。その後、メンターと共にアイデアのブラッシュアップを行い、今日のDamo Dayを迎えた。これからはプレゼン内容についてご紹介していこう。

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オンライン完結型のファクタリングを提供しているOLTAは、代表取締役CEOの澤岻優紀氏がプレゼンし、中小企業の運転資金需要に応える売掛債権買取サービスをアピールした。

年商数億円未満のファクタリング市場は3兆円超のマーケットだが、上限金利もありリスクも高い。同社は2社間ファクタリングを提供しているのが特徴で、オンラインで24時間以内に請求書を現金化でき、手数料も最低2%から9%なのが強みだ。ビッグデータに基づくスコアリングモデルを構築しており、このモデルを日々強化している。

「TSUBASAアライアンス各行の地域金融機関としての高い信用力と、オンライン完結型のサービスを使い、審査のみを提供するOEM型を含めて連携していきたい」と澤岻氏。さらに「オンラインから、成長した会社に対して対面への融資にもつなげることができる」と語った。

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人工知能によるSNSユーザー分析で個人の趣味嗜好をプロファイリングしているAIQからは、CCOの髙島孝太郎氏が、SNSデータと銀行のデータをマッチングする「AIライフプランサポートプランALPS」をプレゼンした。

現状では、多くの人はお金や制度に関する知識が乏しく、若年層の銀行離れもあり、それぞれのコミュニケーションが不足が課題になっている。それぞれ異なるタイミングでやってくるライフイベントに最適な金融商品の提供が必要だが、これを解決するのが今回の提案だ。

趣味嗜好などの人の内面データはSNSから、資金や住所などの人の外面のデータは銀行からと、それぞれのデータをAIにより分析することで、最適なタイミングで金融商品などの提供ができる。「このデータを活用することで、新たな絆作りやマーケティングにも生かせる」と話した。

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2025年に国内で1364万人が認知症になると予想されている中で、認知症予防総合サービスを開発しているベスプラから代表取締役CEOの遠山陽介氏が、認知症の予防と地域金融機関の関わりについてプレゼンした。

認知症は予防することで発症率が50%に下がるが、予防策については政府も注目しており、認知症予防の大綱を策定する予定となっている。これを踏まえて遠山氏は、以下のような点を中心として、予防や検査に取り組んでいきたいと語る。

まずは、認知症検査について。75歳以上のドライバーは認知症機能検査が義務化されたが、検査は事前に体験できない。病院などへ検査キットを導入するよう、地域基盤を持つ金融機関から働きかけてもらうことが重要となる。

2つめは認知症予防の普及だ。認知症予防アプリの普及には予算の問題がある。そこでソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を使い、医療費の削減分を投資家に配当する仕組みを作り上げ、資金を集めるといった方法を採ればよい。

3つめは家族への普及だ。認知症予防アプリの中には家族との写真共有機能があり、孫の写真を見るために認知症予防アプリを利用させるという仕組みを活用することもあるだろう。さらにTSUBASAアライアンスのフィンテック共通基盤を使い、お小遣いの送金や特殊詐欺対策にもつなげ、家族も利用することで予防アプリ活用を促進する。これらの取り組みで認知症予防に取り組んでいきたいとした。

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クラウド在庫管理ソフトを提供するZAICOからは代表取締役の田村壽英氏が、どこからでも簡単に使える在庫管理ソフトを活用することでの、企業と銀行間の関係強化に関してプレゼンを行った。

銀行は今後の成長が見込める中小企業との取引を増やしたいが、限られた時間の中で信頼関係を築くのが難しいという課題があ。中小企業にとっても、銀行からの借り入れはハードルが高く難しいという問題がある。

そこで、銀行から在庫管理ソフトを紹介して顧客の業務効率改善を提案し、顧客との関係作りをする。さらに、企業が銀行へ在庫データを開示すれば、在庫データから企業の状況把握が可能になり、様々な提案もできるだろう。優良な企業へはデータに基づいた積極的な融資提案も可能になるはずだ。

こうした中で、企業も自社の業務内容を理解した銀行からの提案を利用できるようになり、銀行との新たな関係作りが可能な事を解説した。

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高齢者と銀行、家族や地域社会を繋ぐロボットについて、ユカイ工学COOの鈴木裕一郎氏がプレゼンを行った。

現在一人暮らしの高齢者が増えているが、お金については家族以外に相談する相手がいないという問題がある。

高齢者はATMではなく、窓口や外交員の様な人とのコミュニケーションを好む傾向にあるが、銀行の窓口は減る傾向にあり、銀行と高齢者の接点が減少している。資産を持っている高齢者との接点が減っているのは銀行としても問題だろう。

そこでロボットのBOCCOを活用する。ただし単にロボットを提供するのではなく、ロボットを使って高齢者と家族をつなぎ、家族と企業を繋ぎ、一人暮らしでも安心して使えるプラットフォームを提供することで、銀行の活用につなげていく。

シンプルなBOCCOならコストをかけずに、家族との対話やその先の銀行とのコミュニケーションが簡単に取れるようになることを解説した。

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家族のお金と自分のお金を管理できるウォレットアプリを提供しているOsidOriから代表取締役CEOの宮本敬史氏がプレゼンを行った。

家族間のお金のやり取りには課題が多く、月末になると家賃や生活費など家族のお金のやりとりをATMで行っている場合もあり、この作業は複雑で面倒。ここにビジネスチャンスがあるとして、ウォレットアプリを活用した提案を行った。

アプリを使って、銀行口座やクレジットカードデータを取り込み、お金を見える化することで、家族のお金と自分のお金の使い分け、支払い明細の一部のシェア、共同貯金が簡単に出来るようになる。

TSUBASAアライアンスの基盤を活用することで、家族間の請求と送金も簡単になる。従来はATMで行っていたことがアプリで自動化が可能になり、カードの使い分けなども不要になる。銀行にとっては家族の口座獲得や、データから新しい提案が出来るようになる事を解説した。
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■金融のオープンイノベーションをテーマにしたパネルディスカッションも
プレゼン後に今回のプログラムでメンターを務めた方々などによる金融のオープンイノベーションをテーマにしたパネルディスカッションが行われた。

その中で、今回のコンテストでは、メンターとのブラッシュアップなどを経た事で、各スタートアップの提案内容の実現性が当初より格段に上がったことも話題になった。

ブラッシュアップ期間があったことで、スタートアップと金融機関などとオープンなやりとりが行われ、通常はなかなか接点の両者はそれぞれの知見を得られることで、ビジネス提案の解像度が上がり、参加した各社にとってオープンイノベーションを加速する非常に良い場になっていたことがディスカッションされ、このようなコンテストの重要性も語られた。

T&Iイノベーションセンター株式会社から代表取締役会長の森本昌雄氏が今回のコンテストの総評した。

プレゼンは今回のDemo Dayで3回目となったが、毎回よくなり、今回が最高のプレゼンになった。これは1か月という短いブラッシュアップ期間ながら「スタートアップがメンターや銀行と真剣な議論を交わしたことが今回の結果になった」からで、募集からここまでの短期間で高い仕上がりになり、有意義なコンテストになったと総括した。

さらに「これが終わりではなく中間点、これからがスタートで各銀行と協議して今後の協業につなげていただきたい」としてまとめた。

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最後にT&Iイノベーションセンター株式会社から代表取締役社長の藤木和彦氏が閉会の挨拶を行い、直前まで打ち合わせをするなど、心配していたこともあったがこのような素晴らしい結果になって良かった。各賞に名前はついているが「順位を付けるコンテストではなく、各銀行と協業に向けて実際のアクションを起こして行きたい」そして、「銀行ビジネスのトランスフォーメーションをどう行っていくかが重要、弊社もそれをサポートしていきたい」と語った。

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上倉賢 @kamikura

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