子どもの“見えない暑さ”を色で察知!キリングループが免疫研究と「示温シール」を公開

  • 2026-9-4
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猛暑が一時的な異常気象ではなく、日常的に向き合うべき環境変化となりつつある。なかでも体温調節機能が十分に発達しておらず、自身の体調変化を言葉で伝えることが難しい子どもには、周囲の大人による早めの気付きが欠かせない。都内の武蔵野もみじの森保育園で実施された「キリン×ファンケル夏の健康啓発イベント」では、高温・脱水条件が免疫細胞に与える影響についての研究成果と、体表面温度の上昇を色の変化で知らせる「示温シール」が紹介された。発表後には、園児が実際にシールを貼って外遊びを体験した。

■猛暑の常態化で変わる夏の健康管理
最初に登壇したのは、キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業本部 経営企画部 主務の三和聖奈氏だ。キリングループが免疫ケアに取り組む理由と、近年の夏を取り巻く環境変化について説明した。

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キリンと聞くと、ビールや清涼飲料を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、同社は1980年代から40年以上にわたって免疫領域の研究を続けている。

免疫は、ウイルスや病原体などの外敵から体を守り、健康な生活を送るために欠かせない生体防御システムだ。その一方で、働きの状態を自分で把握しにくく、対策が後回しになりやすい。三和氏は免疫を「健康の土台」と位置付け、その重要性を広く伝えることには社会的な意義があると説明した。

今回のイベントの目的は、厳しい暑さが続くなか、子どもたちが夏を元気に過ごすために必要な健康管理について考える機会を提供することだ。キリンが蓄積してきた免疫研究の成果に加え、体調変化への気付きを支援する新たなツールを紹介する構成となった。

三和氏によると、2026年夏には気温40度以上の「酷暑日」が全国延べ36地点で観測され、過去最多となった。こうした暑さは一時的な異常ではなく、社会全体が前提として向き合うべき環境変化になっているという。

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暑さへの備えも変わり始めている。日本気象協会は、本格的な夏を迎える前から体を暑さに慣らす「暑熱順化」を呼びかけている。自治体でも、春の段階から休憩場所や給水スポットを設ける動きが進む。危険な暑さが予想される場合には、運動やイベントの中止・延期、実施内容の変更など、活動そのものを見直す判断も必要だ。

特に注意したいのが子どもだ。子どもは発汗をはじめとする体温調節機能が十分に発達しておらず、体重当たりの体表面積も大人より大きい。高温環境や強い照り返しの下では、深部体温が上昇しやすいとされる。

身長が低く、地面に近いこともリスクの一つだ。環境省の資料では、東京都心で高さ150cm地点の気温が32.3度だったとき、子どもの身長に近い高さ50cm地点では35度を超える場合があるという。同じ場所にいても、子どもは大人以上の暑さにさらされる可能性があるわけだ。

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三和氏は、夏の体調管理では、手洗いやバランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動といった規則正しい生活に加え、こまめな水分・塩分補給が重要だと説明した。特別な対策だけに頼るのではなく、日々の生活の中で健康的な習慣を積み重ねることが、夏を乗り切るための土台となる。

■高温・脱水条件で免疫細胞の働きが低下
続いて、キリンホールディングス R&D本部 キリン中央研究所の大塚早真氏が、免疫の仕組みとキリンの乳酸菌研究、高温・脱水条件下における最新の研究成果を紹介した。

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免疫には、生まれつき体に備わり、外敵と最初に戦う「自然免疫」と、侵入した異物の情報を記憶し、再び現れた際に効率よく対応する「獲得免疫」がある。子どもは大人に比べて外敵に関する学習や経験が少なく、獲得免疫も成長の途中にある場合が多い。

キリンにとって、乳酸菌研究はビール造りを起点とする身近な研究分野だ。乳酸菌は、かつてビールの品質を損なう存在として長年研究されてきた。その知見を健康領域へ広げ、同社は2010年、100株以上の中から免疫細胞pDCを活性化する乳酸菌を発見した。

pDCは「プラズマサイトイド樹状細胞」と呼ばれ、さまざまな免疫細胞へ指示を出すことから「免疫の司令塔」とも表現される。キリンは2012年、pDCに直接働きかける乳酸菌「L.ラクティス プラズマ」に関する研究成果を発表した。

その後、2020年には免疫機能に関する日本初の機能性表示食品が誕生した。2023年には「令和5年度全国発明表彰」において、食品企業として59年ぶりとなる最高位の「恩賜発明賞」を受賞している。

近年、同社が新たに着目したのが、夏特有の高温と脱水が免疫細胞へ与える影響だ。

高温条件の細胞実験では、ヒト由来のpDCを通常の37度と、夏の活動時における深部体温を想定した38.5度の環境で培養した。その結果、38.5度の高温条件では、pDCの活性指標となる抗ウイルス性物質「IFN-α」の産生量が低下した。一方、L.ラクティス プラズマを事前に加えた群では、その低下が抑えられる傾向が確認された。

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脱水状態を模した高浸透圧条件で行った細胞実験でも、pDCの働きが低下する傾向が見られた。L.ラクティス プラズマを事前に添加した群では、その活性低下が抑制されたという。

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さらに、脱水条件に置かれた後で水を加え、細胞を取り巻く高浸透圧状態を緩和した実験では、低下したIFN-αの産生量は回復しなかった。この結果は、脱水によって低下したpDCの働きが、その後に水を加えるだけでは改善しにくい可能性を示している。

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ただし、今回紹介された研究成果はいずれも細胞実験によるものだ。人体で同じ現象や効果が生じることを直接示したものではなく、L.ラクティス プラズマが熱中症を予防・治療することを示すものでもない。

大塚氏は、今後も環境ストレスと免疫機能の関係について研究を進め、L.ラクティス プラズマの科学的価値を深めていく考えを示した。水分や塩分の補給、体の冷却に加え、規則正しい生活やバランスの良い食事、十分な睡眠など、日頃から免疫を意識した健康習慣を続けることが重要だ。

■体表面温度の上昇を色で知らせる「示温シール」
ファンケル 経営企画本部の松田妙氏は、体表面温度の上昇を色の変化によって視覚化する「示温シール」を紹介した。

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ファンケルグループは、創業理念に「正義感をもって世の中の『不』を解消しよう」を掲げている。今回着目した「不」は、見た目だけでは体温の変化に気付きにくいことや、子どもが自分の体調をうまく言葉にできないことだ。

暑さ指数を測定するWBGT測定器やウェアラブルデバイス、ファン付きベストなど、暑さ対策を支援する機器はすでに存在する。しかし、価格や運用面を考えると、すべての保育園や教育現場で気軽に導入できるとは限らない。そこでファンケルは、誰もが安価で簡単に使え、子どもの体調変化に気付くきっかけとなるツールを目指した。

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示温シールは、TOPPANが持つ肌に貼ることができるフィルムと、熱によって色が変化するインクを組み合わせたものだ。約3cm四方のシールを腕などに貼ると、体表面温度が34度付近に達した段階から色が変化し始め、紫色の中に絵柄が浮かび上がる。

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最大の特徴は、測定機器の数値を確認しなくても、本人や周囲の大人が変化を直感的に把握できる点だ。シールは肌から剥がれにくく、活動の妨げになりにくい素材を採用している。

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一般的に深部体温は体表面温度より1~2度ほど高いとされる。ただし、示温シールは深部体温を測定する体温計や、熱中症の発症を判定する医療機器ではない。色が変化した際に、休憩や給水、冷却、体温測定など、次の行動へ移るための目安として活用するものだ。

これまでの実証では、放課後等デイサービスの子どもたちのほか、炎天下で野球部を応援するブラスバンド部員、夏季の屋外ビアガーデンで働くスタッフなどにも導入された。

参加した教育現場からは、子どもは自分の体の状態を言葉で伝えることが難しいため、管理する側もシールを見て状態を確認できる点が助かったとの声が寄せられたという。

松田氏は、保育園での日常的な健康観察や屋外活動、夏のイベントなどで示温シールを活用することにより、子どもの安心・安全と、保育者の負担軽減につなげたいと語った。今後も教育現場で気軽に利用できるよう、継続的に検討を進めていく方針だ。

■園児が示温シールを貼って外遊びを体験
発表会終了後には、園児を対象とした示温シールの体験が行われた。園児たちは腕にシールを貼り、そのまま屋外へ移動して外遊びを楽しんだ。

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シールを貼るだけで利用できるため、装着に特別な機器や複雑な操作は必要ない。遊んでいる間も園児の動きを妨げにくく、保育者はシールの色や絵柄の変化を目で確認できる。

子どもは遊びに夢中になると、自分から暑さや疲れを訴えないことがある。幼い子どもの場合は、体調の変化を感じていても、それを適切な言葉で大人に伝えること自体が難しい。

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示温シールの変化は、子どもの体調を診断するものではないが、大人が声をかけるタイミングを判断するための分かりやすいサインとなる。シールの変色をきっかけに「水を飲もう」「日陰で休もう」「体温を測ろう」といった行動につなげられる点に、このツールの価値がある。

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猛暑が日常となった現在、夏の健康管理には、水分・塩分補給や冷却といった従来の対策に加え、日頃の生活習慣を整え、わずかな変化へ早く気付く視点が求められる。キリンの免疫研究とファンケルの示温シールは、科学的な知見と直感的な分かりやすさという異なる方向から、夏の健康課題へアプローチする取り組みだ。

子どもを暑さから守るうえで重要なのは、特別な機器だけに頼ることではなく、大人が小さなサインを見逃さず、休憩や給水などの行動へ結び付けることだ。体調変化を「見える化」する示温シールは、園児と保育者の間をつなぐ新たなコミュニケーションツールとしても可能性を秘めている。

<企画概要>
名称:キリン×ファンケル 夏の健康啓発イベント
日時:2026年9月3日(木)
会場:武蔵野もみじの森保育園
内容:
第1部 キリン:夏の健康セミナー
第2部 キリン:高温・脱水における免疫機能低下に関する研究結果(細胞実験)について
第3部 ファンケル:体表面の温度変化が見える示温シールについて

資料提供:キリングループ

キリンホールディングス株式会社

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