- 2026-8-28
- ITビジネス
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国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2026」が、2026年7月1日から3日まで京都で開催された。会場にブースを構えたのが、ウェハー洗浄装置で世界トップシェアを誇るSCREENだ。印刷・写真製版を原点とする技術は、どのように半導体製造装置へと発展し、ライフサイエンスや水素、量子関連分野へ広がっているのか。ブース担当者に、SCREENの歩みと今後の挑戦を聞いた。
■ 印刷所から半導体製造装置へ、SCREENの技術の原点
SCREENグループの歴史は、1868年に創業した石田旭山印刷所から始まった。その後、1934年に写真製版用ガラススクリーンの国産化に成功。研究開発部門が独立する形で、1943年に大日本スクリーン製造株式会社が設立された。現在の「SCREEN」という社名も、このガラススクリーンに由来する。
同社が掲げる「思考展開」は、社名の由来ではなく、創造と発展に挑み続ける創業の精神を表したものだ。
ブース担当者は、現在の装置技術と印刷とのつながりについて、「塗る」「削る」「洗う」「きれいにする」といった印刷工程の発想が、半導体やディスプレーなどの製造装置にも生かされていると説明した。
一見すると、印刷と最先端の半導体製造は異なる分野に見える。しかし、材料の表面に薬液を均一に塗布したり、不要な物質を取り除いたり、微細な図形を正確に描いたりする技術には共通点がある。
SCREENは現在、「表面処理技術」「直接描画技術」「画像処理技術」をコア技術として、さまざまな事業に応用している。
■ 先端半導体の複雑な製造工程を支えるウェハー洗浄装置
SCREENグループの主力事業の一つが、ウェハー洗浄装置をはじめとする半導体製造装置だ。
ブース担当者によると、最先端半導体の製造工程は2,000を超える場合があり、そのうち約3分の1が洗浄に関連する工程だという。
半導体の製造では、成膜や加工などの工程を繰り返す中で、ウェハーの表面に微粒子や有機物、金属などの汚染物質が付着することがある。回路の微細化が進むほど、わずかな汚れも歩留まりや性能に影響するため、工程の途中でウェハーを繰り返し洗浄する必要がある。
SCREENの公表によると、同グループは枚葉式洗浄装置、バッチ式洗浄装置、スピンスクラバーの各カテゴリーで世界トップシェアを持つという。同社の洗浄技術は、最先端半導体を含む幅広いデバイスの製造工程を支えている。
■ ディスプレーやプリント基板、先端パッケージにも広がる技術
SCREENの技術は、半導体のウェハー洗浄だけにとどまらない。
ディスプレー製造分野では、ガラス基板などに感光材料を均一に塗布し、露光後に現像するコータ・デベロッパを展開している。ここでも、印刷や写真製版の分野で培われた「塗る」「現像する」といった技術が生かされている。
プリント基板分野では、回路パターンを形成する直接描画装置や検査装置などを提供している。また、半導体の先端パッケージ分野でも、再配線層などの形成に用いる塗布乾燥装置や直接描画露光装置を展開している。
こうした製品群は、印刷・写真製版を起点に発展してきた表面処理技術や画像関連技術を、異なる製造工程へ応用したものといえる。
■ ライフサイエンス、水素、量子関連分野へ
SCREENは、既存のエレクトロニクス分野に加え、ライフサイエンス、水素、先端パッケージなどを新たな成長領域に位置付けている。
ライフサイエンス分野では、画像処理技術を応用した細胞関連装置や、直接描画技術を活用したインクジェット式錠剤印刷機などを展開している。水素関連分野では、燃料電池などに用いられる膜電極接合体「MEA」の製造をはじめ、水素の製造や利用に関する技術開発を進めている。
ブース担当者は、半導体や先端パッケージの顧客が関わるコンピューティング分野の将来を見据え、量子コンピューティングを含む量子関連領域にも目を向けていると説明した。
SCREENは2026年3月、量子インターネットの実現に向けた量子通信システムや量子中継器を開発するスタートアップ、LQUOM株式会社への出資を発表した。既存の装置事業で培った技術や事業基盤を生かしながら、次世代のコンピューティングを支える領域との接点も広げている。
■ 京都の企業として、大学やスタートアップとの接点を探る
ブース担当者は、SCREENが京都に根付いた企業であることにも触れた。
京都には、多くの大学や研究機関、技術系企業、スタートアップが集まっている。今回のIVS2026への出展についても、京都市をはじめ、大学やスタートアップなどとの新たなつながりを生み出す機会として捉えているという。
SCREENが出展した「IVS」エリアは、京都市勧業館「みやこめっせ」とロームシアター京都を中心に展開されたオープンなエリアだ。スタートアップの経営者や事業会社、投資家だけでなく、これから新たな挑戦を始める人々にも開かれ、展示やセッション、交流の機会が設けられた。
150年以上にわたり、培ってきた技術を応用しながら事業領域を広げてきたSCREEN。印刷を原点とする技術と、スタートアップや研究機関が持つ新たな発想が結び付くことで、次の事業が生まれる可能性もある。
ウェハー洗浄装置で世界トップシェアを持つ企業が、IVSという場でどのようなパートナーと出会い、次の「思考展開」につなげていくのか。今後の取り組みが注目される。
■株式会社SCREENホールディングス(SCREEN Group)
■IVS2026 公式サイト
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代表取締役・ITライフハック代表
ITライフハック編集長・ライター
ITライフハック副編集長・ライター
