- 2019-2-6
- ITビジネス
- 見てきました!“夢のリゾートテレワーク”「ワークラボ八ヶ岳」でテレワーク実地体験 はコメントを受け付けていません
ワーカーホリックな時代は終わりをつげ“働き方改革”が叫ばれている昨今、オフィスに通勤して仕事をするのではなく、従業員の自宅や自宅近くのレンタルオフィスやコワーキングスペースなどで仕事をする「テレワーク」を模索している企業も増えてきた。
働き方の多様性のひとつの形としてテレワークの実施要求が高まる中、長野県では「信州リゾートテレワーク」を本気で提案している最中とのこと。リゾート地として知られる八ヶ岳の麓でテレワーク体験会を実施するというので、その様子を取材してきた。
■リゾート地の八ヶ岳にあるテレワーク施設で仕事体験
長野県のJR茅野駅に直結したビルの中にある「ワークラボ八ヶ岳」は、ビジネスの拠点や勉強・作業に集中する自分だけの空間として、誰もが気軽に利用できるコワーキングスペースだ。今回は「テレワーク体験」として、東京・府中に本社があるシグナイトの方たちがワークラボ八ヶ岳を訪れていた。その様子について取材してきたので、その模様をお届けしよう。
■テレワークにも対応可能なシステム開発企業
シグナイトはGoogle Maps API等を利用した地図ソリューションやWebデータベースを活用したシステム開発をしている会社だ。今回のテレワーク体験に参加したのは5名。普段からテレワークを行っているそうで、今回、府中と茅野に別れての仕事でも、スムーズに進んでいるようだった。テレワークを可能にするには、業務の内容も関わってくる。たまに打ち合わせができればよい程度なら、ビデオ会議(テレビカンファレンス、通称:テレカン)で事足りるからだ。こうした映像通話に人々が慣れていけば、わざわざ相手に会いに行く必要もなくなる。全社的なテレワーク実現には、各部署の仕事の内容を精査し、テレワークに適した形態へと整理する必要がありそうだと感じた。
■立地条件に加えネットワーク環境の充実がテレワーク実現の要
同社の平間理和さんは、普段は営業として仕事をしているそうだが、「ワークラボは駅直結だし、きれいだし、Wi-Fiの環境も整っています。当社ではテレビカンファレンス(以下、テレカン)をよくするのですが、すぐにできる環境があるのはいいですね」と語る。「お客様と弊社、自宅に勤務する者をつなげてテレカンをすることがあります。その延長線上なので特に問題はありませんでした」(平間さん)。今回、クライアントとのテレカンもワークラボ八ヶ岳で行ったそうだ。
■都会にはない澄んだ空気で気分も新たにテレワーク
平間さんは「空気が澄んだ茅野に来て、とてもいい体験ができた」とも。「テレワークの利点はそれぞれの都合に合わせて仕事ができることです。営業なのでお客様のところにも、会社にも行くことがありますが、それぞれに移動していると効率が悪いこともあります。そうした時にはテレワークが便利ですね。ただコミュニケーションをちゃんと取れていないと(各自が)何をやっているのかわからなくなるので、ツールを導入してコミュニケーションを取りやすく(進捗状況を共有する)必要があると思います」(平間さん)。
また小林小百合さんは「(テレワークは)働きやすさがベースにあると思います。前の会社では、出社しないと仕事ができませんでした。ただ子供が2人いますので、子供の行事に振り回されたり、インフルエンザで学級閉鎖になったりして家にいないと行けない状況では出社できません。個人的に仕事ができないのならなんとかなりますが、会社や取引先にも迷惑をかけてしまいます。テレワークという形で自宅勤務ができれば、日々の業務も円滑に進められるのでメリットがありますね」と語る。優秀だけど子供の世話で働きに出られないママは日本には大勢いる。そうした即戦力を導入するためにもテレワークの実現が重要だと感じた。テレワークの普及は、人材不足の解消、即戦力導入による事業効率のアップなど、大きなメリットがあるわけだ。
■仕事場に併設されているキッチンで夕食。そして温泉に
初日の仕事が終わったあとは、ワークラボ八ヶ岳に設けられている調理スペースを使って、地元のフレンチシェフが、地元産のジビエや山菜を使った体験料理教室を開催。フランス料理をベースに、信州風・アジア風にアレンジされた料理に参加者は興味津々で、レシピをメモしたり調理を撮影したりと楽しんでいた。
■八ヶ岳だからこそのリゾート体験で心身ともにリフレッシュ
ワークラボ八ヶ岳でのテレワーク体験はこれにて終了。そして下諏訪駅に移動する。宿泊予定のマスヤゲストハウスに荷物を置いたら、近くの温泉へ。下諏訪町には源泉が20か所もあり、湧出量は毎分5100リットルと豊富な湯量を誇る。弱アルカリ性単純泉、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉、含鉄-アルミニウム-硫酸塩泉と泉質も豊富。肩こりや筋肉痛、冷え性、病後疲労回復といった効能もあり、仕事の疲れを癒すにはもってこいだろう。毎日温泉で心身ともにリフレッシュできるのはリゾート地ならではだ。
■下諏訪町の魅力を発見
翌日は朝早くに起きて近所を散策したあと、下諏訪周辺にある諏訪大社などを訪ねることに。案内してくれたのは下諏訪町地域おこし協力隊の綿引遥可さんだ。
まずはゲストハウス近くの「Eric's Kitchen」に。カナダ出身のエリックさんが開いたお店だ。2016年3月にオープンしたお店だが、下諏訪の新しい名所として人気を博しているそうだ。ここではモーニングとランチをいただける。メニューはその時々に合わせた食材で作られる。
次に訪れたのは諏訪大社下社の春宮。参拝の折には下乗下馬したために名付けられた「下馬橋」を過ぎたら春宮にたどり着く。
そこからすぐ近くにある「万治の石仏」にもお参り。この石仏は、春宮に石の大鳥居を作るとき、この石を石材にしようとノミを入れたところ、そこから血が流れ出した。それを恐れた石工は仕事を辞めてしまったのだという。そのため阿弥陀如来を祭って記念にしたのがこの万治の石仏だ。願い事を心で唱えながら石仏の周りを時計回りに三度回ると御利益があるのだそうだ。
そのあとしばらく歩いて慈雲寺へ。ここは大祝金刺満貞が、鎌倉五山の一つである建長寺住職の一山一寧禅師を招いて正安2年(1300年)に開山したお寺。武田信玄ゆかりの寺ということでも知られている。
昼食をはさんだあと、今度は下社秋宮を訪ねる。秋宮には「御神湯」という手水用の湯口があり、竜神伝説にちなんで竜の口をかたどっている。竜の口から流れる温泉は「長寿湯」という。ちなみに諏訪大社がいつできたのかはわかっていないが、最古の神社の一つであることは間違いない。
■都会でのテレワークとリゾートテレワークの違い
ここまで回ったところで、同社の渡辺敦さんに昨日と今日の感想を聞いてみた。テレワークについては普段行っているので違和感がなかったというが、「仕事場も仕事が終わったあとも、いつものところとは場所が違うのでリフレッシュできました」と語る。隣町の出身なので茅野はよく来ていた町だったそうだが、仕事できたのは初めてなので新鮮だったとか。「今まで見ていたときとは違った姿でした。仕事と余暇を楽しむことができたのは、普段のリモートワークとは違いますね。観光もできたので、また来週頑張ろうという気になりました」(渡辺さん)。
小暮みのりさんは「整ったところでテレワークをするのは初めてだったのですが、会社以外の人がいる環境での仕事は、思ったよりピリッとする感じでした」と語る。「また茅野に来て仕事をしたいです」(小暮さん)。
最後は上諏訪に移動して、近くの酒蔵で試飲タイム。地酒を飲みつつツアーを終えたのだった。
■いろいろな発見ができるリゾートテレワーク
今回の体験を総括して、同社の専務取締役である山田健太郎さんに話を聞いた。
――リゾートテレワークに期待するものはありますか
山田さん(以下、敬称略):普通のテレワークはやっていますが、そこにリゾートを加えることで、どういうメリットがあるのか模索中です。一番我々としてやりたいのは、チームビルディングみたいなものを目的として、チームの結束を強めるためにリゾート地へ行き、一緒に“同じ釜の飯を食う”ことで、各々の役割の特性を見出せるような気がしています。特に組織的に考えると、リーダーシップをどう見い出していくかということもありますので、今後やっていきたいものとしては、リーダーを評価する仕組みとして、リゾートでテレワークをすることに取り組んでいきたいという気持ちはあります。
――2日間の感想を聞かせていただけますか
山田:1日目にしてみれば、東京にもあるようなデザインが洗練されていて働きやすい、いろいろなタイプのコワーキングスペースだけでなく、会議室のブースがあったり、個別のブースがあったり。そういう意味ではいろいろな働き方に対する対応ができると思います。我々は外に漏らせない情報を扱うときもあるので、閉ざされた空間で仕事ができるというのはメリットがありますね。あとは個別の仕事というと、集中して1時間、2時間で仕上げる仕事もあるので、ブース型のスペースで仕事ができるのはよいですね。
リゾートという視点で考えると、いろいろな経緯のある方がお客さんとしていらっしゃる。初めてあった人と食事したり、飲みに行ったり。それがあることで新しい気づきを与えてくれる。リゾートに行くというイメージは、高級ホテルがあって、いろいろなアクティビティがあってということを考えますが、今回のような試みは、地域のポテンシャルをすごく感じました。そういう意味では、地元の人やそこをよく知っている方と交流することで新しい気づきがある。そこからビジネスのヒントをもらうこともたくさんあります。そういう意味ではリゾートテレワークは、新しい発見をする場としては有益なのだと思います。
特に昨日感じたのは、下諏訪にはかなりディープなスポットもあるし、48度くらいの高温な温泉もあるといった特徴を持っているものの、華やかなリゾート地と比べると一見見劣りがします。しかしいろいろなワークスタイルを持った人たちが集まってきているので、そこから得るもの、そこで新しい発見をする、ワークスタイルを気づくといったことでは、すごく勉強になった2日間でした。皆さんがいろいろな情報を提供してくれることによって、リゾートで働くというイメージを変えられるポテンシャルを持っていると思います。
ゲストハウスについても、普通のホテルと比べると抵抗があったのですが、スタッフの方や泊まっている方と交流することで、今までの常識を変えることができました。それは今やっている働き方改革や新しい働き方へのヒントがつまっている状況です。これでいいと思っていた働き方は、もっと斬新で違ったやり方があるかもしれない、という気づきを与えてもらいました。それが非常によかったですね。
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都会の無味乾燥で感度の薄い世界から飛び出し、リゾート地でテレワークを実施。心身ともにリフレッシュし、次のプロジェクトに備えるということが実現できれば、仕事効率も高まり、メンバー全員のモチベーションも高まることは間違いないと感じた体験会であった。
■長野県リゾートテレワーク体験イベント概要
日程:2019年1月24日(木)~25日(金)(1泊2日)
内容:ワークラボ八ヶ岳で「仕事」をし諏訪エリアで「余暇」を過ごすプログラム
定員:5名
参加費用:無料
主催者(企画運営):森ビル株式会社
事務局(イベントコーディネート):一般社団法人蓼科塾
協力:
【下諏訪コース】下諏訪町役場、下諏訪 mee mee center Sumeba
【蓼科コース】蓼科観光協会
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本稿を読んでリゾートテレワークが気になったという人に朗報だ。3月1日に首都圏の企業に向けて、リゾートテレワークのメリットや実践事例に加え、信州の魅力を紹介する「信州リゾートテレワークフォーラムIN東京」を開催することになっている。概要は以下の通りだ。
■信州リゾートテレワークフォーラムIN東京概要
開催日:平成31年3月1日(金)16:00~19:00(受付開始15:00)
開催場所:大手町サンケイプラザ3階(東京都千代田区大手町1-7-2)
プログラム:
(第一部 フォーラム) 16:00~17:35
【知事挨拶/長野県プレゼンテーション】長野県知事 阿部守一
【基調講演】
①グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表 阿部 伸一 氏
②NTTコミュニケーションズ株式会社
経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 湊 大空 氏
【モデル地域プレゼンテーション】茅野市、軽井沢町、白馬村
(第二部 交流会) 17:45~19:00
【信州感動健康料理のプレゼンテーション】
料理研究家 おいしい信州ふーど公使 横山 タカ子 先生
【主催】長野県
【共催】茅野市、軽井沢町、白馬村
【後援】一般社団法人日本テレワーク協会
■参加方法:専用サイトより申し込み(事前申込制、定員100名、参加費無料)
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