わずか20ccの血液で抗がん剤を選別!CancerFree Biotechの「EVAセレクトサービス」

  • 2026-7-17
  • わずか20ccの血液で抗がん剤を選別!CancerFree Biotechの「EVAセレクトサービス」 はコメントを受け付けていません
TAIWAN057

がん治療では、同じ種類のがんであっても、患者によって薬剤への反応が異なることがある。治療効果を期待できる薬剤を早い段階で選び、効果が見込めない薬剤の使用を避けることは、患者の身体的・精神的負担を軽減するうえで重要な課題だ。「TAIWAN EXPO JAPAN 2026」に出展した台湾のバイオテクノロジー企業CancerFree Biotech Ltdは、患者由来のがん細胞を体外で培養し、複数の抗がん剤に対する反応を調べるスクリーニングサービス「EVAセレクトサービス」を展開している。患者本人に薬剤を投与する前に体外で薬効を評価し、医師による治療方針の検討を支援するサービスだ。

■患者の代わりに治療法を試す「アバター医療」
EVAセレクトサービスの基盤となるのが、患者の検体やデータから体外に個別化された腫瘍モデルを構築する「アバター医療」という考え方だ。患者本人の代わりとなる腫瘍モデルに薬剤を投与し、がん細胞がどのように反応するかを観察する。

CancerFree Biotechでは、約20ccの血液から患者由来の循環腫瘍細胞を取り出して培養し、体外に“がんの分身”を構築する。この腫瘍モデルを使って薬剤テストを行うことで、患者が自ら複数の薬剤を試すことによる負担やリスクの軽減を目指している。

同社は2018年12月に設立された。患者を第一に考え、治療中の苦痛やリスクを軽減するとともに、治療機会を生かすための投薬精度向上を目標に掲げている。

TAIWAN052


■化学療法薬から分子標的薬まで幅広く評価
EVAセレクトサービスでは、化学療法薬、ホルモン療法薬、分子標的薬などを対象に、患者由来のがん細胞に対する薬効を調べる。単剤だけでなく、複数の薬剤を組み合わせた場合の反応も検証できる点が特徴だ。

検査対象となる薬剤は、医師が患者の状態や治療方針に応じて選択できる。1回の検査では、培養できた細胞数に応じて4~10種類、最大15種類の薬剤を試験できるという。結果を比較して薬剤の効果を順位付けすることで、治療薬を検討するための情報を医療従事者に提供する。

血液サンプルのみで検査できるため、腫瘍組織の採取が難しい患者や高齢者にも利用しやすいとしている。局所の組織だけでなく、血液中を循環する腫瘍細胞を用いることで、転移を含むがん細胞の多様性を捉えることも狙いだ。

001


■遺伝子検査とは異なる「細胞の反応」を確認
がんの個別化医療では、遺伝子変異を解析し、その変異に対応する候補薬を探す遺伝子検査が活用されている。一方、EVAセレクトサービスは遺伝子情報だけでなく、患者由来のがん細胞に薬剤を直接作用させ、その反応を評価することができる。

遺伝子検査がDNA変異と既存の薬剤情報を照合するのに対し、EVAセレクトサービスは細胞全体の挙動に着目する。実際のがん細胞に対する増殖抑制効果などを体外で確認できるため、異なる角度から治療薬の選択を支援できる。

両者は競合するものではなく、組み合わせて利用することも可能だ。遺伝子検査から得られた候補薬をEVAセレクトサービスで試験することで、遺伝子レベルの情報と細胞レベルの反応を治療方針の検討材料にできる。

002


■個別化がん治療の意思決定を支援
CancerFree Biotechによると、EVAセレクトサービスは新たに固形がんと診断された患者の薬剤選択や、術後の補助薬物療法、再発時の治療、標準治療で十分な反応が得られない場合などでの活用を想定している。

ただし、体外試験の結果が、患者の体内における治療効果や安全性をそのまま保証するものではない。実際の治療では、がんの種類や進行度、患者の全身状態、既往歴、副作用の可能性なども含め、医師が総合的に判断する必要がある。EVAセレクトサービスは治療そのものではなく、その意思決定に役立つ情報を提供するサービスという位置付けだ。

CancerFree Biotechは、がん患者の支援者であると同時に、医療従事者のパートナーになることを目指している。体外で薬剤反応を可視化する同社の技術は、経験や統計に加えて患者固有の細胞データを治療選択に取り入れる取り組みだ。

TAIWAN062


抗がん剤は、効果だけでなく副作用も患者の生活に大きな影響を与える。限られた時間の中で、より適切な薬剤へたどり着くための情報を増やすことには大きな意味がある。EVAセレクトサービスは医師の判断を置き換えるものではないが、患者ごとの細胞反応を治療選択に生かすという点で、パーソナライズされたがん医療の可能性を広げる技術だ。

CancerFree Biotech Ltd

TAIWAN EXPO JAPAN 2026 特設サイト
TAIWAN EXPO JAPAN 2026 特設サイト - ITライフハック

ITライフハック
ITライフハック X(旧Twitter)
ITライフハック Facebook
ITライフハック YouTube

ITビジネスに関連した記事を読む
経産省主催・IVS2026オフィシャルサイドイベントを開催。「CTOが語る、これからのグローバルエンジニアチームの作り方〜グローバル人材の活用で切り拓く、AI時代の開発組織戦略」
超豪華ゲスト8名が集結!オフィシャルサイドイベント「新規事業しくじりBAR vol.9」
政治家・起業家・投資家・経営者が登壇!IVS2026、「IVS CORE」の注目セッションを発表
延長保証は“売って終わり”を変えるか。テックマークジャパンが挑む「ノンメカニカル保証」
Headline Japan・京都府・京都市「IVS2026」開催に向けての共同記者会見を実施





最新版 台湾 旅人地図帳
片倉真理
ウェッジ
2026-04-20

関連記事

コメントは利用できません。

カテゴリー

アーカイブ

ページ上部へ戻る