- 2026-2-19
- ITビジネス
- なぜ、デジタルガレージは音楽レーベルを立ち上げたのか?「Studio Garage」に見る“コンテクスト経営”の実験 はコメントを受け付けていません
株式会社デジタルガレージは2026年2月14日(土)、東京渋谷区の代々木公園で開催された「DG New Context Festival 2026」において、新音楽レーベル「Studio Garage」の立ち上げを発表した。ステージにはMIYACHI、jan and naomi、Ryu Matsuyamaらジャンルを横断して活躍するアーティストが集結。音楽と映像、ドローンなどのテクノロジー演出が融合するライブが展開され、都市・渋谷の空間そのものが巨大な表現装置へと変貌した。
無料開催ながら大規模な演出を伴う本イベントは、多くの観客を惹きつけ、強いメッセージを発した。ステージ前方には早い時間から人垣ができ、パフォーマンスが始まると歓声が一斉に上がった。スマートフォンのライトが揺れ、ビートに合わせて体を揺らす観客の姿が広がる。
注目すべきは、その豪華さや話題性だけではない。オンライン決済やフィンテック、スタートアップ投資を主軸とするテクノロジー企業であるデジタルガレージが、なぜ音楽レーベルを立ち上げるのか。本プロジェクトの核心に迫る。
■音楽×テクノロジーが生み出す“体験の再設計”
当日のライブは単なる音楽イベントではなかった。映像演出や空間設計、さらには日暮後のドローンとの連動演出など、複数のテクノロジーが横断的に組み込まれていた点が特徴的だ。観客はステージを「見る」だけではなく、都市空間全体を通じて体験する構造になっていた。テクノロジーが主役になるのではなく、文化体験を支える基盤として溶け込んでいる。
デジタルガレージは2025年に30周年を迎え、長年にわたりオンライン決済やフィンテック、スタートアップ投資を手がけてきた。いわばBtoB中心のインフラ型企業で、一般消費者からは見えにくい存在だ。しかし今回の「Studio Garage」は、その“見えにくい技術”を体験へと翻訳する試みとも言える。
同社が掲げる「From Context to Impact ―文脈をつなぎ、社会を動かす」というテーマは、単なるスローガンではない。音楽という最も感情に訴えるメディアを通じて、テクノロジーを社会実装する。その具体的な実験場が、このイベントだった。
■なぜテック企業が音楽レーベルを持つのか
では、なぜデジタルガレージは音楽レーベルという形を選んだのか。通常、こうした企業が自社ブランドでカルチャー領域に踏み込むケースは多くない。
背景にあるのは、AI時代における競争環境の変化だ。技術そのものは急速にコモディティ化し、差別化が難しくなっている。アルゴリズムやインフラだけでは企業の独自性を打ち出しにくい。そこで問われるのが「どのような文脈で技術を使うか」である。
音楽は、国境を越え、世代を超え、感情を共有できるコンテンツである。さらにライブというリアルな場は、コミュニティを形成する力を持つ。企業がそのプラットフォームを持つことは、単なる広告やスポンサーシップとは異なる意味を持つ。企業自体が文化の発信主体へと踏み出すからだ。
新レーベル「Studio Garage」は、事業の多角化というよりも、企業ブランドの再定義に近い。テクノロジー企業がカルチャーの文脈を内包することで、自社の存在意義を拡張しようとしているのである。
■「Japan Outbound」とコンテクスト経営
今回のイベントは「AIの時代、日本から世界へ― JAPAN Outbound―」をコンセプトに掲げる。坂本龍一氏へのトリビュートも象徴的だ。坂本氏は日本発の音楽を世界に届けた存在であり、テクノロジーと芸術の接点を体現してきた。
デジタルガレージは、その姿勢を現代に置き換えようとしている。AI全盛の時代において、日本発のテクノロジーやカルチャーをどう世界へ発信するのか。その問いに対する一つの回答が、音楽レーベルの立ち上げである。
企業活動を「事業ポートフォリオの拡張」として捉えると、音楽レーベルは周辺領域に見えるかもしれない。しかし、同社が目指しているのは、都市・技術・文化を横断する“コンテクストプラットフォーム”の構築。都市で実装し、文化として体験させ、そこから新たな価値を生み出す。この循環を設計することこそが、同社の戦略の中核にある。
音楽はその最も象徴的な装置である。ライブは人を集め、共感を生み、物語を共有する場となる。そこにテクノロジーが組み込まれることで、企業は単なる機能提供者から、文化の設計者へと立場を変える。
■音楽とアーバンスポーツで描く“新しい文脈”の実装
Studio Garageのローンチライブには、レーベル始動を象徴するアーティストとして ラッパーの MIYACHI 氏をはじめ、 ジャンルやバックグラウンドを越えて活躍するアーティストが登場し、代々木公園の空間に多彩な音楽体験を生み出した。
「URBAN SPORTS」では、ブレイキン、BMX、パルクールといった世界的に広がるアーバンスポーツやダンスを、和楽器など「和」の表現と掛け合わせて展開。
代々木公園という都市の中心で、グローバルなストリートカルチャーと日本の伝統文化が融合し、今までにない新しいコンテクストと創造が生まれた。文化と技術、人と人をつなぎ、境界を越えて社会へ広がる "力"へと変わっていく可能性を示した。
■企業は“機能”から“文化装置”へ
AI時代において、企業の競争力は単なる技術力だけでは測れない。どのような世界観を提示し、どのような文脈を生み出すのかが問われる。
「Studio Garage」は、音楽事業への参入というよりも、企業そのものを文化装置へと進化させる試みだ。決済や投資といった機能的事業を土台にしながら、その上に都市規模のカルチャー体験を重ねる。そこから生まれるのは、単なる売上ではなくブランドとしての存在感である。
テクノロジーを社会の中でどう体験させるのか。都市の空間で、音楽というメディアを通じて提示する。その実験が「Studio Garage」だとすれば、デジタルガレージは今、企業の役割を再定義しようとしているのかもしれない。
音楽レーベルの立ち上げはゴールではない。コンテクストを設計し、社会に実装するという長期戦略の一歩に過ぎない。AI時代において、技術を“文化”へと昇華できる企業がどこまで世界に影響を与えられるのか。その答えは、「Studio Garage」の今後の実装プロセスの中で明らかになる。
テクニカルライター 脇谷 美佳子
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代表取締役・ITライフハック代表
ITライフハック編集長・ライター
ITライフハック副編集長・ライター
