- 2025-4-23
- ITビジネス
- 契約管理の新たな時代へ!「Docusign IAM for CX」発表会 はコメントを受け付けていません
ドキュサイン・ジャパン株式会社は、2025年4月9日に報道関係者向けのメディアラウンドテーブルを開催し、2025年度の事業戦略およびAI搭載のインテリジェント契約管理システム「Docusign IAM for CX」の日本ローンチについて発表した。同社は、電子署名サービス分野で世界シェアNo.1を誇るDocusignの日本法人であり、インテリジェント契約管理のリーディングカンパニーでもある。説明会には、取締役社長の竹内賢祐氏とマーケティングリードの寺村翔氏が登壇し、2025年度の事業方針について説明を行った。
■契約プロセスの近代化はビジネスの効率化と顧客満足度向上に大きく貢献できる
まず、ドキュサイン・ジャパン株式会社 代表取締役の竹内氏が登壇し、同社の事業戦略について以下のように説明した。
同社は、「すべての契約に揺るぎない信頼を」というキャッチフレーズのもと、事業を展開している。ビジネスの世界において、あらゆる取引は契約によって成り立っているが、日本では長らく口約束による合意が一般的であった。近年ようやく、法務部門のプレゼンスが高まり、契約を正式に締結する文化が定着しつつある。さらに、紙の契約書から電子契約への移行も進行している。
同社は、電子署名サービスの提供から事業を開始し、現在では同分野において世界シェアNo.1を誇っている。大企業から中小企業まで、世界で166万社以上の顧客に採用されており、契約の電子化や文書の一元管理といったソリューションを通じて、ビジネス変革のパートナーとなることを目指してきた。特に日本では、コロナ禍を契機に契約の電子化が急速に進み、これを皮切りに、すべての業務プロセスを段階的にデジタル化することの重要性が高まっている。
同社は、世界中のビジネス変革を支援しており、現在180カ国以上でサービスが利用されている。また、日本を含む8カ国を重点投資国と位置づけ、ローカライゼーション対応や人材の配置など、積極的な投資を行っている。今回発表された新製品「Docusign IAM for CX」についても、米国での発売から1年以内に日本語版の提供を実現している。
ポイントは、AIの活用にある。AIはさまざまな分野で導入が進んでいるが、契約の世界においても活用が始まっており、今後さらに広がっていくと考えられる。契約内容の要約やデータの抽出、リスク分析といった作業にAIを活用することで、契約ライフサイクル全体の効率的な運用が可能になり、プロセス全体を加速させる効果が期待されている。
契約プロセスの近代化は、ビジネスオペレーションの効率化と顧客満足度向上に大きく貢献できると考えている。ドキュサイン・ジャパンの戦略方針は、エンタープライズ領域への重点投資を行うことで、まずは大企業の皆様に契約プロセスの変革を実行していただきたいと思っている。そしてパートナー様と市場共創を行い、コンサルなどパートナー様との協業を開始している。ローカライゼーションについては、日本にデータセンターを設置しており、金融業界や政府系など、そういったところのアプローチもできるようになっている。
■幅広い企業に適合するインテリジェント契約管理システムの提供を開始
続いて寺村氏が、新製品の「Docusign IAM for CX」についてプレゼンを行った。その要旨は以下の通りだ。
2025年4月30日(水)に日本市場でローンチされるインテリジェント契約管理システム(IAM)についての説明があった。
AIの普及により、今後はあらゆる企業がAIを活用する時代が到来し、「AIを使っている」ということ自体の差別化要素は次第に薄れていく。同社はそのような状況を見据え、AIの活用そのものではなく、「AIが行き届きにくい領域」でいかに優位性を築くかという視点に注目した。
本システムの最大の目的は、契約業務の自動化にとどまらず、ビジネスオペレーションの効率化によるスピード向上や、顧客体験の質的改善といった、AIだけではカバーしきれない領域の課題に対応する点にある。
同社は、これまで電子署名サービスのベンダーとして世界的に認知されてきたが、「電子署名という単一機能の提供にとどまる企業」との印象を持たれることも少なくなかった。今回投入される「Docusign IAM」は、契約の電子化にとどまらず、契約プロセス全体の革新を目指すものであり、同社にとっては戦略的転換を示す重要なマイルストーンとなる。
これまでは、電子署名や本人確認、文書作成など、契約における特定の業務に対するソリューションを個別に展開してきた。しかし、契約プロセス全体を合理化・最適化したいという顧客ニーズに応えるべく、昨年、日本市場に契約ライフサイクル管理(CLM)を導入した。
CLMの導入により、これまで分断されていた各機能を横断的に連携させ、プロセス全体を俯瞰しながら、「どこに課題があるのか」「どの部分を合理化できるのか」「どの工程が自動化可能か」といった議論が可能となった。
CLMは、契約の始まりから締結、管理、更新に至るまで、全体を通して合理化を実現できる優れたアプローチである。一方で、その高い柔軟性ゆえに、要件の定義や既存の契約プロセスの棚卸といった準備作業が必要となり、導入には時間とコストを要する。そのため、大企業では導入が進んだ一方で、中小企業にとっては導入のハードルが高く、恩恵を受けにくいという課題があった。
こうした背景を踏まえ、CLMのコンセプトをより広く、あらゆる企業が享受できるよう設計されたソリューションが「IAM」である。
IAMは、「IAM for Sales」「IAM for Procurement」「IAM for Legal」「IAM for HR」など、「IAM for ○○」という形で、部門や業務ごとに特化した形でサービスを展開していくロードマップとなっている。今回、その第1弾として日本市場に投入されるのが、2025年4月30日にローンチされる、顧客体験の向上を目的とした「IAM for CX」である。
「IAM for CX」には、主に以下の3つのメリットがある。
1. コンバージョン率の改善
2. 面倒な手続きの解消
3. さらなる信頼の獲得
代表的な機能として挙げられるのが「Docusign Maestro」である。これは、Docusign IAMシリーズの中核を担う機能であり、契約のワークフローをドラッグ&ドロップで簡単に設計できる。カード型のUIを採用しており、視覚的かつ直感的にプロセスの構築が可能となっている。
2つ目の主要機能は「Docusign App Center」である。SalesforceやGoogleドライブなど、さまざまなサードパーティ製アプリケーションとシームレスに連携することが可能であり、業務全体の連携性と柔軟性を高めている。
3つ目は「ID Verification」で、オンラインによる本人確認を実現するデジタル認証機能である。日本最大手のeKYCベンダーであるLIQUIDとの共同開発により提供されている。
最後に紹介したのが「Data Verification」である。これは、顧客が契約時に入力した情報に誤りがあった場合、即座に通知を行う機能である。たとえば、存在しないメールアドレスや電話番号が入力された場合、即時に検知・通知されることで、契約プロセスの手戻りを防ぎ、顧客のストレスを軽減する。なお、ベーシック機能はすでに提供されているが、完全版の提供は2025年度中を予定している。
「IAM for CX」の具体的なユースケースとして、以下の3つの例が挙げられる。
1つ目は、銀行における新規口座開設である。これは、現在最も分かりやすく、かつ同社が注力している領域の一つだ。従来は銀行窓口に出向き、煩雑な手続きを経る必要があったが、「IAM for CX」を活用することで、セルフサービスかつデジタルで、自宅にいながらすべての手続きを完結できるようになる。
2つ目は、メンバーシップ登録や自動支払い承認などの手続きの効率化である。「Docusign Maestro」を活用することで、これらのワークフローを柔軟かつスムーズに実現できる。これまでは契約書を郵送する必要があり、誤記や不備があれば再送の手間が発生していたが、「IAM for CX」によってこうした非効率を解消し、顧客体験を大幅に向上させることが可能となる。
3つ目は、顧客オンボーディングの効率化である。商品やサービスの購入契約が完了した後に必要となる各種手続きを、このプラットフォーム上で一貫して行えるようになる。これにより、企業側は迅速なオンボーディングを実現でき、顧客はスムーズにサービスを利用開始できる。
テクニカルライター 石井 英男
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