- 2015-6-25
- ITビジネス, 電子書籍
- 五十一回, 個人出版, 林 拓也, 連載, 電子出版, 電子書籍
- 個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第五十一回 はコメントを受け付けていません
■はじめに
2015年6月15日にAdobe社のクリエイティブツール製品群、Creative Cloud(以後「CC」)の2015年版がリリースされました。
ということで、今回はそれに伴ってAdobe関連の電子書籍周りのトピックを扱います。・・・が!正直微妙でございます・・・。
■Digital Publishing Suiteは?
Digital Publishing Suite(以後「DPS」)は、Adobe社独自の電子書籍ソリューションです。DPSの電子書籍は、InDesignで制作する固定レイアウト型で、スマホ・タブレット用アプリのかたちでとして配信します。
縦向き用と横向き用のレイアウトをそれぞれ設定でき、インタラクティブなオブジェクトやビデオを配置できたり、オンライン上のWebコンテンツを埋め込んだりできるので、主にリッチな電子雑誌として利用されています。
さて、DPSはInDesignを制作ツールとした電子書籍ソリューションではあるものの、直接的にCCの製品群ではありません。そのためか6月15日のCC製品群と同時のアップグレードではないものの、DPSのアップグレードがこの夏に予定されているというアナウンスがありました。
・「Adobe Digital Publishing Solutionベータ版を発表」
正直なところ、この記事を読んでもよく分からず、他の記事なども見てみましたがどうも現時点ではあまり現在のDPSとの違いが分かりませんでした。とりあえず、以下のような変更点があるようです。
・名称が「Digital Publishing Suite」から「Digital Publishing Solution」に
・スマホの小さい画面に最適化された記事単位の配信がサポートされる
・InDesignだけでなく、Adobeおよび他社製のHTMLデザインツールでも制作できる
どうやら、スマホ向けに最適化されたコンテンツを配信する機能を「Adobe Publish」という名前でDPSの追加機能とする予定だったようですね。それが混乱の元になるのを避けるために、既存のDPSに統合する形で名称を「Digital Publishing Solution」に変更する、といったことのようです。
「Digital Publishing Solution」なら、従来と同じ「DPS」という略称も使えるし混乱も少なく済みそうです。個人的にはHTMLベースのデータが利用できるらしいという点が興味を引きました。
現在のDPSでも、HTMLオーバーレイを利用することで誌面をHTMLで作成することは可能ではあります(裏ワザ的なのかもしれませんが)。とはいえ、結局はInDesign上でオーサリングすることになるので、InDesignは不可欠なのですが、Digital Publishing SolutionではInDesignが無くてもコンテンツの配信が可能になるかもしれないので、注目してみたいと思います。
■InDesignのEPUB書き出しは?
CC製品のアップグレードに伴う電子書籍関連の気になる点といえば、やはりInDesignのEPUB書き出し機能でしょう。CC製品のアップグレード時には、そのアプリの新機能紹介のページを見るのが分かりやすいので、InDesignの新機能紹介ページを見てみました・・・特にEPUB関連の記述はありません。
そこで、InDesig CC2014.2とCC2015の両バージョンで、簡単なinddファイルからのリフローEPUBの書き出しを試してみました。リフローEPUBの書き出し時には、書き出し設定用のウィンドウが開きます。
両バージョンでどんな違いがあるのかチェックしてみました。書き出し設定用のウィンドウのデフォルト画面である[一般]カテゴリを比べてみます。
結論としては、ピクセル単位で全く変わっていませんでした。
他のカテゴリについてもそれぞれスクリーンショットを撮って比べてみましたが、同じく全く変更点はありませんでした。それぞれのカテゴリの比較画像を掲載しようとも思いましたが、全く同じ画像を2枚ずつ載せることになるので思いとどまりました。
それでは、書き出されたEPUBのコードはどうでしょうか?
あくまでシンプルなデータ1つで試しただけなので全くもって詳細な検証結果ではありませんが、私が試した範囲では全くと言っていいほど変化なしでした。固定レイアウトの書き出しは未チェックですが、もし何か有意な変化が見られたら報告しようと思います。
■最後に
InDesignからのリフローEPUBの書き出しがほぼそのまんまというのは少々意外でした。変更点の確認はすべきですし、したら報告すべきだろうと考えて今回の記事に採用しましたが、結果的に微妙な内容になったということで若干気まずい感じもあります。
ですが、とりあえずCC2015の初版ではCC2014.2からのリフローEPUBの書き出しに関する機能強化は無いとみて差し支えないと考えています。この微妙な情報を役立ててくださる方がいらっしゃることを願います。
■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi
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