- 2020-8-6
- カルチャー
- 10今いちばん売れている児童書、「なぜ僕らは働くのか」(監修:池上彰)のヒットの秘密に迫る はコメントを受け付けていません
学研プラスは、2020年3月19日に発売した池上彰さん監修「なぜ僕らは働くのか」が、発売4か月あまりで早くも12刷30万部に到達したことを発表した。
■発売4か月あまりで30万部到達
「こども六法」(弘文堂)、「さらにざんねんないきもの事典」(高橋書店)、「鬼滅の刃 ノベライズ 炭治郎と禰豆子、運命のはじまり編」(集英社)など、魅力的な本が並ぶ児童書ジャンルにおいて、今いちばん売れている本が池上彰さん監修の「なぜ僕らは働くのか」(学研プラス)だ。
出版販売会社の大手、日販の児童書部門ベストセラー第1位(20年4~7月日販オープンネットワークWIN調べ)、紀伊國屋書店全店ランキング児童書部門1位(20年4~7月紀伊國屋パブライン調べ)など、各種のランキングで一位を記録。3月19日(木)に発売されてから4か月あまりで12刷まで重版を重ね、早くも30万部に到達した。
■子どもたちに伝えておきたい内容がギュッと詰まった一冊
「なぜ僕らは働くのか」は、将来への漠然とした不安を胸に抱えた男子中学生が主人公。はっきりとした将来の夢がなく、自分に自信を持てずにいる少年が、ある本との出合いをきっかけに精神的に大きく成長していく物語だ。「仕事とはなにか」「“働く”とお金の関係」「生活にかかるお金」「好きを活かす仕事の見つけ方」「幸せな働き方」「AI時代の仕事」「人生100年をどう生き抜くか」など、扱っているテーマは多種多様。時代によって変わらない大切な心構えと、いまの時代だからこそ知っておきたい最新の情報をストーリー仕立てで学ぶことができる。
<立ち読みもできる本書特設サイトはこちら>
https://gakken-ep.jp/extra/nazehatarakunoka2020/
フジテレビ「ノンストップ!」で【子供の可能性どう広げる?なぜ僕らは働くのか?】と本書が特集されると、「こういった伝えるのが難しい内容を子どもたちにわかりやすく伝えられる本が欲しかった」とインターネット上で大きな反響が起こり、ネット書店では在庫切れが起こるほどだった。
■子どもたちの将来のために“働く”をちゃんと教えたい。
“働く”というテーマは重厚で、子どもたちに伝えるのは難しい。こういった難しいテーマの書籍をなぜ作ろうと思ったのか、編集担当の宮崎純氏に聞いた。
「2000年代の初頭からキャリア教育の重要性が学校現場で叫ばれていますが、子どもたちが知っている職業の中から将来就きたい職業を選ばせたり、職業図鑑の中から興味のある仕事を調べたりするだけでは、キャリア教育とは言えないのではないかと思っていました。子どもたちの将来のために“働く”“生きる”の大事なことをしっかり教えられる本を作りたいと思っていました。」
では、宮崎氏の考えるキャリア教育とは何か。
「まずは子どもたちに“世の中のしくみ”をわかりやすく教えることがキャリア教育のいちばん大事なことだと思うんです。ちょっと見方を変えれば、子どもたちの目に見える範囲にも仕事はいろいろ隠れている。お金の動きにも目を向ける必要があるでしょう。お金のやり取りがあるということは、そこに仕事があるということです。そうした世の中の見方を教えたうえで、子どもたちが自分の人生に向き合う覚悟を持てるように、優しく諭すことを心掛けました。そうして作った本書が学校の先生から「子どもたちの指導にすごく役立ちます。こういう本が必要でした。」と言ってもらえているのは嬉しいです。」
■ヒットの秘密は「読者のために」を徹底した本づくり
さらに話を聞くと、そこには「読者のために」を徹底した本づくりの姿勢が浮かび上がった。本書は200名近くの小学生~高校生と、50名程度の教育関係者や保護者に製作途中の紙面を読んでもらい、意見をもらったという。これはとても手間がかかるため、出版業界ではなかなかない試みだ。
宮崎氏は次のように語る。
「この本を読んでどう感じましたか? どの部分が印象に残りましたか? 気になった点や直してほしい点はありますか? ほかに触れてほしいテーマはありますか? など、いろいろなことを聞きました。製作側がいい本にできたと思っていても、子どもたちや子どもたちの成長を見守る大人たちが満足してくれるかどうかはわからない。だから実際にいろいろな人に紙面を郵送し、読んでもらって、意見をもらいました。
編集部としては読んでもらう前に「これで完成だ」と思えるくらいのクオリティに仕上げていたのですが、気づきを与えてもらえて、内容の充実度や精度を上げることができました。ご協力いただいたみなさんのお名前は、本の巻末に記載しております。協力してくれた子どもたちも、本づくりという仕事の一部を体験できたことを喜んでくれているといいなと。」
本書は読者から多くの感想が送られてきているという。下記はその一部だ。
・「誰かが誰かの役に立つ。そのお返しとしてお金をもらう。」という文章が心に残りました。この本を読んで将来なにになろうか、考えました。(10歳 小学生)
・多様な面から“働く”ということについて書いてあり、ただ働くだけでなく「幸福」という点にも触れてあるのがよかったです。(14歳中学生)
・周りの子たちは将来の夢を見つけていて、それに遅れているのが悔しいと思っていました。この本のおかげで、あせらずゆっくりでいいんだと気づくことができました。この本を読んで周りの大人たちってカッコいいと思いました。(15歳 高校生)
・働くことは大変で面倒なことだと思い込んでいたが、読んだ後には働くことへの意識が変わりました。将来が楽しみになりました。(15歳 高校生)
・勉強の大切さを伝えながらも、学歴を積み上げること以外の重要性も伝えるなど、多様性を認め合う時代に対応した本だなと感じた。「いい学校に行っていい会社に入れば幸せになれる」というような時代ではないからこそ、道は一つではないと伝えてくれる、こういった本は必要だと思う。(22歳 大学生)
・子どものころに読む本としてこんなに良いものはないと思う。かけてくれたら嬉しいと思えるフレーズがたくさんあった。子どもは近い大人からの進言は素直に受け入れられないものだし、狭い世界がすべてだと思い込みがち。だから第三者が自分を認めアドバイスしてくれることが救いになる。この本はその役割を果たしてくれる大切な本だと感じた。(35歳 マーケティングリサーチャー)
・何のために勉強するのか、そしてなぜ働かなくてはいけないのか。こうしたことを子どもたちが真剣に考える機会を与えてくれる本です。職業観などを親子や家族で話し合うきっかけにもなると思います。自分の娘たちに薦めたいです。(52歳 出版取次会社勤務)
子どもたちの未来を思う熱い気持ちと、愚直なまでに真摯な本づくりの姿勢が、多くの人の心を動かし大ヒットとなっている「なぜ僕らは働くのか」。この夏、子どもといっしょに読んでほしい一冊だ。
商品概要
「なぜ僕らは働くのか」
監修:池上彰
定価:本体1,500円+税
発売日:2020年3月19日(火)
判型:A5変型判/228ページ
電子版:同時配信
ISBN:978-4-05-205171-5
発行所:(株)学研プラス
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