- 2026-7-17
- ITビジネス
- AIで紙を“残す”から“活かす”へ!PFUが新サービス「ScanSnap Cloud+」を発表 はコメントを受け付けていません
株式会社PFUは2026年7月14日、ScanSnapの新たな核となるクラウドサービス「ScanSnap Cloud+」の発表会を開催した。同日からサービスの提供を開始するとともに、スマートフォンのカメラで紙文書を取り込める新機能「ScanSnap Camera」も発表した。「ScanSnap Cloud+」は、手書き文字に対応したOCRやAIによるファイル名生成、カレンダー登録などにつながるリンク付きPDF生成を備えた有料サービスだ。紙をデジタル化して保存するだけでなく、その情報を探し、整理し、次の行動に結び付ける新たなスキャン体験を提供する。発表会ではPFUによるサービス説明とデモンストレーションに加え、アドビ株式会社によるAI時代のPDF活用に関するプレゼンも行われた。
■25年間追求してきた「カンタン・ワンタッチ」をAIで進化
発表会の冒頭には、株式会社PFU 取締役 常務執行役員の宮内康範氏が登壇した。
ScanSnapは2001年の誕生以来、「カンタン・ワンタッチ」を基本思想として進化を続けてきた。ワンプッシュでのPDF作成や自動画像処理を出発点に、OCR、Wi-Fi、クラウド保存、スマートフォン・タブレットとの連携など、その時代に求められる技術を取り込んできた。
近年では、公共の場所に設置されたScanSnapを利用できる「ScanSnap Spot」も展開している。40店舗で開始した取り組みでは、2カ月間の累計スキャン枚数が約6万枚に達したという。当初は1カ所当たり1日約2.5人の利用を想定していたが、実際にはそれを上回る需要が確認され、場所やデバイスの垣根を越えたスキャン体験の可能性が見えてきた。
さらにPFUが実施した「Scan to AI 価値創造アイデアコンテスト」では、前回と比較して約3倍の応募が寄せられた。家庭では保証書の期限や学校から配布されたプリントの締め切り、ビジネスでは業務書類の検索やナレッジ化など、紙の情報をAIで活用したいという具体的なニーズが集まった。
こうした背景からPFUは、ScanSnapが長年追求してきた「カンタン・ワンタッチ」をAIによってさらに進化させる方向性を打ち出した。紙を単に保存するものではなく、AIが読み取り、仕事や暮らしに役立てる情報源へ変えていく考えだ。
■手書きOCRやAIファイル名生成でスキャン後の手間を削減
「ScanSnap Cloud+」の詳細については、株式会社PFU ドキュメントイメージング事業本部 グローバル戦略統括部 商品企画部 マネージャーの三浦唯氏が説明した。
従来の「ScanSnap Cloud」は、スキャンしたデータをクラウドサービスへ直接保存し、紙のデジタル化から整理、活用までを支援してきた。新たな「ScanSnap Cloud+」では、AI機能「ScanSnap AI」を搭載し、スキャンした瞬間から紙の情報が「探せて・整って・動き出す」体験を目指した。
一つ目の特徴が、手書き文字にも対応したOCRだ。領収書やメモなどに書き込まれた手書き文字を認識し、活字と同じように検索できる。これまで目視で探す必要があった手書き資料も、キーワードから見つけやすくなる。
二つ目が、AIによるファイル名の自動生成だ。文書の内容をAIが理解し、日付や企業名、資料のテーマなどを反映したファイル名を付与する。利用者が一つずつ名前を入力する手間を省くだけでなく、後から目的のファイルを探しやすくする機能だ。
三つ目が、リンク付きPDFの生成だ。文書内に記載された日時、メールアドレス、電話番号、URL、住所、QRコードなどを検出し、内容に応じたリンクを自動的に付与する。PDF上のリンクをクリックするだけで、カレンダーへの予定登録、メールの作成、電話の発信、地図の表示、Webサイトへのアクセスといった次の行動に移れる。
発表会のデモンストレーションでは、紙の案内資料をスキャンし、手書き文字を含む内容が検索可能になる様子や、文書の内容に合わせたファイル名が生成される流れが紹介された。また、PDF内の日時情報からカレンダー登録へ進むなど、スキャンした情報が具体的なアクションにつながることも示された。
PDFを受け取った相手がScanSnapを使用していなくても、付与されたリンクから同様の操作を行える点も特徴だ。紙をスキャンした本人だけでなく、情報を共有された相手の作業効率化にもつながる。
なお、AI処理はクラウド上で行われるが、アップロードされたスキャンデータをAIモデルの学習目的に利用することはないとしている。
■スマートフォンをScanSnapにする「ScanSnap Camera」
今回の発表では、「モバイル版ScanSnap Home」の新機能として「ScanSnap Camera」も披露された。スマートフォンのカメラで会議資料や外出先の書類、自宅に届いた紙文書などを撮影し、デジタル化できる機能だ。
基本機能として、自動クロップ・台形補正、向き補正、背景除去、カラー自動判別を無料で利用できる。斜めから撮影した書類や周囲の机が写り込んだ画像でも、紙面部分を認識して見やすく整える。
「ScanSnap Cloud+」の有料プランと組み合わせると、撮影時にできた影を抑える「影けし」や、折れやカーブによる紙面の歪みを整える「フラット補正」も利用できる。発表会のデモでは、折り目や影のある書類が補正され、読みやすい状態へ変換される様子が紹介された。
用途ごとに複数のスキャン設定を登録する機能も用意する。会議資料、領収書、学校のプリントといった目的に応じて設定を切り替え、普段と同じ条件で素早く取り込める。
「ScanSnap Cloud+」は利用量に応じた3プランを用意する。Sプランは月額980円でAI処理を月100ページまで、Mプランは月額1,980円で300ページまで、Lプランは月額2,980円で600ページまで利用できる。価格はいずれも税込みだ。Sプランには1カ月間の無料トライアルも設けられる。
「ScanSnap Camera」を利用するには、iOS・iPadOS 18以降またはAndroid 12以降の対応端末と、バージョン4.0.0以降の「モバイル版ScanSnap Home」が必要だ。
■AI時代に重要性を増す「活用できるPDF」
アドビ株式会社 製品マーケティング本部 プリンシパルプロダクトマーケティングマネージャーの立川太郎氏は、「AI時代のPDF活用」について語った。
PDFは1993年に登場し、ScanSnapが発売された2001年以降、紙文書をデジタル化するための主要な形式として広く普及してきた。立川氏は今後について、「人間よりもAIがPDFを読むことが多くなる」との見方を示した。
企業が独自のAI活用を進めるうえでは、汎用的な生成AIを導入するだけでは十分ではない。社内に蓄積されたPDF、メール、そのほかのデータを、AIが検索・活用できる状態に整えることが重要だという。
PDFは「編集できないように固めるためのフォーマット」と捉えられがちだが、実際にはテキストや画像、フォームデータ、注釈、添付ファイル、メタデータ、電子署名などを格納できる「情報のコンテナ」だ。見た目が同じ文書であっても、1枚の画像として保存されたデータと、テキスト情報を持つPDFでは、検索やAI活用のしやすさが大きく異なる。
画像内の文字を直接読み取れるAIも増えているが、企業の業務基盤として安定的に活用するには不十分な場合がある。紙の書類をOCRによってテキスト化し、検索可能なPDFに変換することが、RAGやAIエージェントを活用するための土台になるとの説明だ。
紙に記録された情報は、企業や個人にとって重要な知識資産である。高性能なスキャナーとOCR、AIを組み合わせ、紙を「AIが使えるPDF」へ変換することの重要性が強調された。
■紙とAIをつなぐ入口としての進化に注目
今回の発表で印象的だったのは、ScanSnapがスキャナーという機器の枠を越え、紙とAIをつなぐ情報基盤へ進化しようとしている点だ。紙をPDFに変換するだけなら、すでにさまざまな手段がある。しかし、手書き文字を含めて検索できる状態にし、内容に合った名前で整理し、次の行動まで促す仕組みは、スキャン後に残されていた細かな手間を大きく減らす可能性がある。
企業には紙でしか残っていない業務ノウハウがあり、家庭にも学校のプリントや保証書、各種案内など、行動につなげるべき情報が数多く存在する。「ScanSnap Cloud+」は、こうした紙の情報を眠らせず、必要なときに取り出して使えるデジタル資産へ変えるサービスだ。AI時代におけるScanSnapの新たな役割を示す発表だった。
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代表取締役・ITライフハック代表
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