■はじめに
前回の最後に「今年は改めてEPUB書籍の制作手順も解説していこうと思っています。」と書きました。これは、EPUBの仕様に関する部分にも触れる、少し難しめの話に取り組むつもりで書いた言葉です。
それと同時に、Mac、Windowsどちらでも使える、便利なEPUB制作ツールがあれば、その紹介もしていきたいと思っています。
今回は「少し難しめの話」を扱おうと思っていたのですが、予定を変更して「便利なEPUB制作ツール」の紹介をしたいと思います。
■でんでんエディターの概要
本ブログでは、昨年EPUB制作Webサービス「でんでんコンバーター」を取り上げたことがありました。
でんでんコンバーターはテキストファイルをEPUBに変換してくれるサービスで、テキストデータに見出し、ページ分割、リンク、画像埋め込み等を表すマーク(でんでんマークダウンというマーク記法を使います)を記述することで、コンテンツの構造を設定することもできます。
EPUBはコンテンツ部分をHTMLで制作するので、でんでんコンバーターを使わない場合にはそれらの設定はHTMLタグで行う必要があります。
でんでんコンバーターではHTMLを知らなくても、より簡便なでんでんマークダウンでコンテンツを制作できるというメリットがあります。
また、でんでんマークダウンだけでなくHTMLタグを混在させることもできるので、EPUB制作の初心者の方だけでなく、熟練者の方でも便利に使える奥の深さがあります。
一方、でんでんマークダウンはでんでんコンバーター用の記法なので、記述内容の表示については実際にEPUBに変換してみるまでは分かりませんでした。
そこで、でんでんコンバーター用のエディターとして「でんでんエディター」というWebサービスが登場しました。
でんでんエディターはブラウザ上ででんでんコンバーター用の原稿を記述でき、プレビューを確認したり、変換後のHTMLタグを確認したりできます。
さて、今回と次回はサンプルデータを用いて実際にでんでんエディターを試してみようと思います。サンプルデータはグリム兄弟の「おおかみと七ひきのこどもやぎ」を使います。以下のリンクからダウンロードしてください。
このzipファイルには、「元原稿.txt」と「ookami_koyagi.txt」という2つのプレーンテキストファイルが含まれています。「元原稿.txt」は開始ファイル、「ookami_koyagi.txt」は今回分の作業終了後のファイルです。
なお、この原稿データは青空文庫よりダウンロードしたものに少し手を加えたものです。
■でんでんエディターを使ってみる
サンプルデータを解凍し、「元原稿.txt」をメモ帳(Windows)やテキストエディット(Mac)などのテキストエディターで開きます。
内容を全て選択し、クリップボードにコピーしてください。
次にWebブラウザで、でんでんエディターを開いて、エディット画面にペーストします。
では1行目の書籍タイトルを見出し1に設定してみます。「おおかみと七ひきのこどもやぎ」を選択し、上部[H]ボタンから「h1」を選択します。
同様に、コンテンツ内の「一」「二」「三」の部分を見出し2(「h2」)に設定してください。
さらに、「二」の前と「三」の前に、ページ分割のマークを記述します。ページ分割のマークは半角「=」を3つ以上続けます。今回は一見して分かりやすいように多めに記述してあります。
ここまでマークできたら[Preview]タブをクリックして、表示を確認してください。
とりあえず、今回はここまでの作業をテキストファイルに書き出してみます。左上の入力欄にファイル名を入力し、[ファイルに保存]ボタンをクリックします。
次に[ファイルのダウンロード]ダイアログが表示されるので、[Download]ボタンをクリックするとファイルがダウンロードされます。
今回はここまでにしておきます。
興味のある方はこのファイルをでんでんコンバーターでEPUBに変換してみてください。
■最後に
次回はカスタムCSSや画像の追加なども行う予定です。でんでんエディターとでんでんコンバーターは、今後も機能や連携の強化などがあると思うので、必要に応じて本ブログでもお知らせしていこうと思っています。
■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi
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