- 2022-11-11
- ITビジネス
- なぜ、今、リスキリングが必要なのか? 25年の歴史を持つデジタル人材育成会社、トレノケートホールディングス代表取締役社長 杉島泰斗氏に聞く はコメントを受け付けていません
スイスの国際経営開発研究所(IMD)は2022年9月28日、「世界デジタル競争力ランキング2022」を発表した。総合ランキング上位の5カ国は、デンマーク、米国、スウェーデン、シンガポール、スイスであり、日本は前年から1つ順位を下げた過去最低の29位だった。
韓国が8位、台湾が11位、中国が17位など、東アジアの国・地域で比べても、日本の29位はかなり低い順位だ。日本は4年連続で順位を落としており、中でも「デジタル・技術スキル」や「ビッグデータやデータ分析の活用」といったDXに欠かせない分野における順位が特に低い評価となった。
なぜ、日本は、ここまでデジタル競争力が低いのか?
「世界デジタル競争力ランキング2022」の発表に先立ち、「日本のデジタル競争力に関する調査」を実施したトレノケートホールディングス株式会社の代表取締役社長 杉島泰斗氏よれば、競争力の高いグループとそうでないグループとでは、スキルアップやIT投資に関する取り組みで大きな差が見られるとのこと。
昨今、DX推進の意識の高まりに連動してリスキリングやデジタル化への関心が強くなっているが、これらの動きをより強めることができれば、おのずと競争力の改善にもつながるというのだ。そこで今回は、デジタル人材育成に詳しい杉島社長に、リスキリングの重要性や同社の取り組みについて聞いた。
■リスキングが必要な理由、ビジネスパーソンが身につけるべきスキルとは?
トレノケートホールディングス株式会社 代表取締役社長 杉島泰斗氏は、熊本県出身。東京工業大学を卒業後、SCSデロイトテクノロジーでITコンサルタント、不動産ポータルサイトLIFULL HOMESでWEBエンジニア、マーケティングに従事。株式会社クリスクで代表取締役を10年務め、日本と東南アジア4か国で事業を展開し、2021年より現職に至る。
編集部:なぜ、今、リスキリングが必要なのでしょうか?
杉島社長:一言で言えば、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現していくため」となります。クラウドなど、先進的なITインフラが整うことで、今まで専門職の人しか出来なかったことが多くの人に手が届く領域まで近付いてきました。代表的なものがデータ分析やAIの活用です。それらを自分や会社のビジネスに上手く活かしていくためには、これまでとは異なる知識やスキルが必要となります。そのため、リスキリングや学び直しが今求められているわけです。
編集部:リスキリングで、ビジネスパーソンが身につけるべきスキルは何でしょうか?
杉島社長:まず全員が必要なのはITリテラシーやDXの考え方など、ベースとなる基礎知識です。ここで言うITリテラシーは単にWordやExcelが出来るということではなくて、今世の中にどのようなIT技術があって、それは何に使えるのか、概要を把握するということです。
そこから先は、今のご自身の業務や、何がしたいかによって異なります。身近な業務改善のためであれば、定型のフォーマットを使うことが多い管理や事務系の方がRPAやPythonを学んで自動化に取り組んだり、営業の方がノーコードやローコードを活用して自分用のタスク管理ツールを作ったりなども出来ると思います。
編集部:世の中的には、どのようなリスキリングスキルが求められていますか?
杉島社長:上記でも触れたITリテラシーの向上は、トレノケートに寄せられる人材育成のご相談の中でもかなり増えているので、そこが求められているのはまず間違いありません。特に、IT部門ではない社員の方を育成したいというお声が多いですね。
また、先日弊社で行った「日本のデジタル競争力に関する調査」の中で今後身に付けたいスキルについても質問したのですが、既にデジタル技術に対応している企業ではプロジェクトマネジメントやリーダーシップなどのチームを牽引するスキル、これからデジタル技術に対応していく企業では現場のDX化に役立つようなIT企画やデータ分析、ローコードなどのスキルへの関心が高いようでした。
リスキングについて語る 杉島社長
■IT人材の育成に強み!日程や提供コース・分野も豊富
編集部:御社のサービスについて、ライバルとの違いを教えてください
杉島社長:大きくは、3点あります。
1つ目は、IT人材の育成に強みがあることです。DXが盛り上がってきた影響で、IT分野の研修を提供しはじめている企業が増えましたが、基礎的なコンテンツ提供に留まるところが多い印象です。確かに最初の入り口としてはITリテラシーだけでもいいのですが、より深く学びたい、業務に活かしたいとなった場合はそれだけでは不足です。我々はIT人材育成を専門に提供してきたので、ITの各専門分野とビジネススキルを合わせた、その先までの育成支援が可能です。
次に、日程や提供コース・分野が豊富なことです。特に日程については、開催頻度が少ないと予定と合わずに受講できないということが起こりますので、目立たないですが受講者の皆様に高評価をいただいている点です。他社より多く開催できる理由は、社員の半数以上が講師として在籍していることと、独立系の企業であるためです。同じIT研修を提供している他社は大手のIT企業の関連会社であることが多く、講師や会場などをグループ企業の研修でも共有しているケースがあります。対して弊社は、全ての講師・会場をお客様だけのために割り当てることが可能です。
最後に、弊社は日本だけでなく、米国、オーストリアまたアジアの各国を含め15か国でサービスを提供しています。グループとしてのカバーエリアとしてはアジアでNo.1だと自負しています。AWSやCisco、Google、Microsoftなど、グローバルなITプレイヤーから世界的な賞を多く頂いており、最先端のITトレンドを意識した研修ラインナップをご提供しています。変化の速いIT業界において、世界的なITプレイヤーの近くにいるというのは大きな強みだと考えています。
編集部:講師陣について、教えてください
杉島社長:IT分野とビジネス分野から1名ずつご紹介します。
ITスキル担当 山下光洋氏:
AWS(Amazon Web Services)の認定トレーナーです。AWSはここ数年で非常に人材育成のニーズが高まっている分野の1つで、弊社も提供するコースラインアップや対応できる講師の人数を年々拡大しています。その中でも山下は、取得しているAWSの認定資格の数も多く、また非常に積極的に社内外で情報発信を行っています。コース実施の量と質も圧倒的で、AWS 認定インストラクターアワードを3年連続で受賞し、殿堂入りとなったほどです。
ビジネススキル担当 田中淳子氏:
研修を実施するだけではなく、人材開発やキャリア開発の分野にも詳しいです。国家資格のキャリアコンサルタントの資格も持っていて、お客様の人事担当のみなさまからも厚い信頼をいただいています。最近は、音声メディアのVoicyでアカウントを開設し、人材育成などに関連した番組を放送しています。
その他の講師も、みな「人の成長」が好きな人間ばかりで、どう人材育成をするのが良いのか?クライアント様へ貢献できるのか?というのを追求してくれています。その姿勢が普段のコース実施にも反映されていて、受講者の方から「常に質疑がないかの確認や演習へのマメなサポートがあり、分かりやすい」「質問へのレスポンスのよい回答、知識に裏付けされた回答など、非常に信頼できる」などの声を多数いただいています。
■IT初心者~上級者に至るまで、幅広くサービスを提供
編集部:御社のサービスを提供した、企業の事例を教えていただけますか?
杉島社長:リスキリングやDXに関連した事例ですと、直近では流通業の企業にて、現場の販売員をIT・デジタル人材として育成した事例や、製造業の企業でのキャリア転換の支援を行った事例があります。
前者はITシステム開発の基礎やIT企画に加え、クリティカルシンキングや交渉スキルなどITとビジネススキルの両面を組み合わせました。
後者は主にキャリア開発の研修実施に加え、キャリアカウンセラーが研修の前後も伴走したことで、社員の方が長期的なキャリアを描くことができ、モチベーションを維持して新しい活躍の場に移ることができているとのことです。
また、海外ではアジアのデカコーン企業のIT人材に対して、AI、ビッグデータなど最先端のITスキル研修を行っていたり、アメリカでは退役軍人に向けてITトレーニングを行ってグローバル大手IT企業への就職を支援したりなど、IT初心者~上級者に至るまで幅広くご提供しています。
編集部:御社の展望や目標について教えてください
杉島社長:「IT人材育成で世界を変える」というビジョンを持って活動しています。「世界」という言葉を使っているとおり、世界中の方へ人材育成を届けたいと考えていますので、今は15か国の展開ですが、これを更に広げていく予定です。
またその過程で世界一のITトレーニング企業になることも目標として持っています。今はアメリカにある企業が世界一ですが、これを5年くらいで抜きたいと考えていますし、そのプランも持っています。
その一方で「IT人材育成を主導し、喜びと感動を世界中の人へ」というミッションも掲げています。この「喜びと感動」が更に届けられるよう、サービスラインナップ、品質の強化にも取り組んでいきたいと思っています。
編集部:最後に読者へのメッセージをお願いします
杉島社長:ITライフハックの読者さんは、ITをうまく使いこなしている方が多い印象を持っています。デジタル競争力の世界ランキングで日本が29位と低迷している今、皆さんのようなITをうまく使いこなしている方に、周りの方含め日本を引っ張り、更なる高みを目指していただきたいです。そして、我々がその支援をできると嬉しく思います。「世界と戦える日本へ」再び返り咲けるよう、日本中で一丸となって取り組んでいければと思っています。
今回の取材を通して、日本はデジタル競争力が弱いものの、今からIT人材を育成すれば、世界と戦える日本へと再び返り咲くのもそう遠い未来の話ではないことがわかった。DX化の推進にともない社員のデジタルスキルを伸ばしたいと考えている企業は、25年の歴史を持つデジタル人材育成会社であるトレノケートホールディングス株式会社に一度、相談してみるとよいだろう。
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