前回に続き、注目できる小型株を取り上げる。
エスアールジータカミヤ<2445>、エニグモ<3665>、前田工繊<7821>の3銘柄を取り上げる。
■SRGタカミヤ
エスアールジータカミヤは、建設用の足場や軽仮設機材のレンタルを事業とする。仮設建材業界で唯一の上場企業だが、昨年夏に仮設機材の販売・買取りサイト「仮設マーケット」を立ち上げるなど、IT(情報技術)の活用にも意欲的だ。同社の事業戦略は、レンタル会社から「環境創造商社」への変革。メガソーラーをはじめとする太陽光発電関連品など、環境関連事業も強化しており、M&A(合併・買収)にも熱心だ。
2013年3月期の営業利益は26億3000万円で、2011年3月期の7億2200円に比べ4倍弱と順調に成長している。東日本大震災からの復興、住宅市場の回復、さらに東京オリンピックの需要もあり、向こう数年は仮設建材の伸びが期待できそうだ。すでに述べたようにエネルギー事業などへの経営多角化にも踏み出しており、中長期戦略にも抜かりはなく、同社の成長への期待は高い。
株価は1月に入り大きく上昇、直近の株価下落で大きく調整したが、ここは絶好の買い場と判断したい。
■エニグモ
エニグモは、服飾を中心とする通販サイト「BuyMa(バイマ)」などを運営する。「バイマ」の特徴は、誰でも売り手と買い手になることができるソーシャルショッピングサイトであるという点で、売り手、買い手の双方から手数料を得て利益としている。このほか、広告主の発表をブロガーが記事化するプロモーションシステム「プレスブログ」、不要のものを必要な人にシェアできるソーシャル・シェアリングサービス「ShareMo(シェアモ)」、消費者参加型のCM制作ネットワーク「filmo(フィルモ)」などを運営している。
現在の事業はまだメジャーな存在にはなっていないが、ユニークで遊び心のあるインターネットサービスを次々に開発していることは注目に値する。以前は、オンラインで購入した雑誌をWebブラウザで閲覧できるサービスも展開しようとしたが、業界団体のクレームで閉鎖したほど。企画力には定評があるだけに、安倍政権が「成長戦略」で進めようとしている規制改革の成果を生かすことも期待できそうだ。
株価は昨秋以降調整局面に入っているが、5000円前後の株価は魅力十分。丹念に安値を拾ってみたい。
■前田工繊
前田工繊は福井県を中心とする環境資材・産業資材の専門メーカー。産業資材・盛土補強・軟弱地盤安定材などを製造、販売する。繊維とプラスチックを原料とする高分子繊維をもとにした「ジオシンセティックス」(土地合成製品)技術により、土と繊維を組み合わせた土木インフラをつくりあげるノウハウを持ち、トンネル・ダム・高速道路・公園などのインフラづくりや環境保全に貢献している。最近では、リサイクル材料の活用にも積極的に取り組んでいる。
こちらも、既存の建築物や橋梁、道路の耐震性強化の需要の高まりが業績に反映している。2014年9月期の予想営業利益は26億8800万円で、2011年9月期の10億800万円からは急拡大となっている。
子会社の再編による効率化も進めている。先日は、完全子会社のワシ興産とワシマイヤー、その完全子会社である日本BBSの3社を統合させた。これは、自動車用軽合金鍛造ホイール事業を効率化させ、ブランドを浸透させる狙いからのも。このワシ興産、ワシマイヤーの両社は、かつて経営悪化で会社更生法の適用や法的整理下にあったものを、前田工繊が支援スポンサーに名乗り出て子会社化したもので、前田工繊の積極的なM&Aの姿勢があらわれたものだ。
株価は昨年9月高値示現後、高値圏での保ち合い商状に。直近はこの保ち合い放れを模索しており、注視してみたい。
今回取り上げた3社とも、分野は違うが、他社がマネできない製品やサービスを展開する、特色のある企業である。小型株には、このような銘柄が多数あることを忘れないようにしたい。
(小沼正則)
※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。
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