個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第三十回


■はじめに
今回は情報系の内容で行ってみたいと思います。既にご存じの方も多いと思いますが、GoogleとAdobeが共同開発したフォントに関するトピックです。

このフォントのリリースによって、電子書籍的ハッピーな環境の到来を夢見ることができるので、取り上げてみたいと思います。例によって情報に間違いなどございましたらご一報いただけると幸いです。

■Google、Adobe共同開発のフォント
2014年7月16日に、GoogleとAdobeが共同開発したフォントファミリーが発表されました。面白いのはフォント名が統一されておらず、別々の名前が付けられているところです。

Googleでは「Noto Sans」、Adobeでは「Source Han Sans」という名前でリリースされました。以後本エントリ内では「Notoフォント」と呼ぶことにします。

このNotoフォントファミリーは、同一のデザインテイストで多言語の文字(日本語、繁体字中国語、簡体字中国語、韓国語、ラテン文字、ギリシャ文字、キリル文字等)に対応している点と、7段階のウェイト(太さ)が用意されている点が大きな特徴です。

また、ライセンス面でもApache 2.0ライセンスという制限のゆるいライセンスの下に、無料配布されているのも見逃せません。

個人的な経験ですが、中国語の語学教育用の電子書籍の評価サンプルの制作をお手伝いしたことがあります。その評価サンプルでは、同じ文字の日本語字形、繁体字中国語字形、簡体字中国語字形を表示すべき部分がいくつもありました。

その時は、検索の必要性から画像での代替表示はNG、フォントの埋め込みもライセンス等の問題でダメ、ということで結局その部分は保留となりました。

当時Notoフォントがあれば、状況は違っていたと思われます。

さて、電子書籍で利用する場合、今のところフォントを電子書籍ファイルに埋め込む必要があります。しかし、制作者・読者双方のメリットを考えると、将来Notoフォントファミリーやそれと同様の字形を揃えたフォントファミリーが、スマホを含む主要なプラットフォームにデフォルトで入っている状況が理想的です。

Windows 8.1とMac OS X Mavericks両方に、游明朝体と游ゴシック体が基本フォントとして搭載されたときに一歩そこに近づいた気がしました。

GoogleやAdobeは革新的なサービスやアプリを多数リリースしてきましたが、今回はフォントといったやや地味でありながら、最も使用頻度が高く利用範囲の広い部分に手を入れてくれました。

影響力のあるグローバル企業がリリースしてくれたことで、主要なプラットフォームにデフォルトで搭載される、という状況が一気に進むのではないかという願望が個人的に大きくなっています。

政治的な問題などもあるのかもしれませんが、その日が来ることを期待したいと思います。

■参考サイト:
Notoフォントダウンロード(英語)
Adobe社プレスリリース
Adobe社岩本氏のブログ
Adobe社開発担当ブログ
個人サイトStocker.jpさまのまとめ

■最後に
ご容赦ください、以下宣伝です。

今年3月にiBooksストアでリリースした電子写真集「もうひとつの“イプシロン・ザ・ロケット”」のライト版がKindleストア他でリリースされました。

iBooksストアでリリースしたフル版は、動画やlightbox風のメニューを採用したものでしたが、ライト版は写真のみのスタンダードなものとなっています。その分価格はお安めになっています。

チェックしてみていただけると幸いです。

●「もうひとつの“イプシロン・ザ・ロケット”」(ライト版)書誌情報
企画/制作/発行:株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズ
写真/解説文:西澤 丞
協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
価格:800円(税込)

電子書籍ストア:
Reader Store
Kindle
ブックパス
eBookJapan
BOOK☆WALKER
BookLive!
Fujisan.co.jp

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi

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