- 2014-7-14
- ITビジネス
- AWS, cloudpack, FlyData, Redshift, ビッグデータ
- Amazon Web Servicesを賢く使える「FlyData×cloudpackビッグデータセミナー」 はコメントを受け付けていません
Amazon Web Services(AWS)とは、amazon.com が提供している仮想サーバー、ストレージ、データベースなどのインフラ系クラウドサービスの総称で 、非常に多様な各種サービスが提供されている。
特にビッグデータを活用できるインフラとして利用できるような、サービスが多く用意されている。その中でも「Amazon Redshift」はクラスタのスケーラビリティの容易さやコストパフォーマンスにも優れていることから、さまざまなユーザーが導入しているという。
こうした背景を基にcloudpackはAmazon Redshift のデータ統合パートナーである FlyDataと共同でビッグデータを上手に活用する方法をマスターできる「FlyData × cloudpack ビッグデータセミナー」を開催した。
同セミナーでは、ビッグデータをとことん活用するための様々なデモや解説がなされた。たとえば「ビッグデータ基盤の構築」、「継続的なデータロード」、「データ分析」といったシチュエーションにおいて各場面で利用可能な最適なソリューションや製品の紹介、実際のデモなどだ。非常に勉強になったので、その様子をお伝えしよう。
■最小コストで運用を可能にする「FlyData Inc.」
FlyData Inc.には「FlyDataによるエンタープライズビッグデータ統合 / Redshiftを最短で活用開始・最小コスト運用を可能に」と題したセッションを行った。
Amazon Redshiftは「Hadoop」などの技術と比べてより簡単に利用できるデータウエアハウス(DWH)クラウドだ。
たとえばオンプレミス環境からのデータフィードやデータ移行を継続的に行う場合には、最適なソリューションが必要となる。FlyDataはこの問題を解決し、継続的にリアルタイムでオンプレミスなどにあるログデータや既存データベース(DB)などのビッグデータをRedshiftに容易に統合できる。
セッションでは、FlyData製品の概要を説明し、サンプルデータを用いてデータ統合のデモンストレーションが行われた。
FlyData製品は、企業内およびクラウドにあるデータを自動でなおかつ継続してAmazon Redshift にアップロードするサービスを提供する。大量のユーザー環境(データセンター・オンプレミス、またはクラウド)のサーバから、JSON やApache 形式のログデータまたは、MySQL を始めとするRDBMS の変更データ(トランザクションログ)を自動的に収集する。
セキュリティやデータ整合性を担保しながら、継続的にAmazon Redshift を始めとしたクラウド上の大規模処理コンポーネントに、最適化されたパフォーマンスでデータインテグレーションをほぼリアルタイムに行う。これによりユーザーは開発・運用費用を抑えつつ、正確で迅速なデータ分析が可能となる。
会場で行われたFlyData Syncのデモでは、MySQLにデータを追加すると、Amazon Redshiftにも、その追加データが自動的に反映されるというものだ。
講師であるFlyData Inc.創業者の藤川幸一氏はFlyData Syncのフリートライアルをまずは試してみて、気に入ったら導入を検討してほしいと自信を持って語っていた。
cloudpackとの連携について藤川氏は、「たとえばゲーム会社は非常に動きが早い。我々も何社かのゲーム会社さんに製品を提供しているが早さという意味では、ベンチャー企業とか、ゲームであったり、アドテクであったり、Webサービス系の企業が間違いなく早いだろう。」と企業の腰の軽さや対応の速さに触れ、さらに「ただ、もっと大規模な産業の顧客も課題は抱えているので、そこは時間が掛かったとしても、順調にクラウド対応を進めており、導入が進むはずだ。」と、ベンチャーや小規模の企業だけでなく、大企業にも同社製品が対応できるということに自信を見せた。
初年度の目標は10社程度だそうだ。数もさることながら、産業用途や、新しい産業の顧客を獲得できるのかが重要なミッションとなる。日本の会社の中でも、トラディショナルな会社の用途を満たせることを証明していくとのことだ。超一流企業に同社製品が納入されることを期待したいところである。
■「cloudpack」でビッグデータインテグレーションを実現
同セミナーの共催企業であるcloudpackは「cloudpackで実現するビッグデータインテグレーション」と題したセッションを行った。
同社は2010年からAWS専業でインテグレーション・MSPサービスを開始しており、すでに400社以上との取引があるという(2014年6月現在)。その甲斐あってAWSパートナーネットワーク(APN)において、日本初のAPNプレミア コンサルティング パートナーの1社として認定されている。
cloudpack とFlyData で締結したパートナーシップにより、ユーザーは FlyData を用いたビッグデータ基盤の構築・運用において、インターネットを介さずよりセキュアなデータ連携が可能な「bigdatapack for FlyData」の利用が可能になった。
また、ビジネス環境の変化に柔軟に対応するために、いかにビッグデータを活用するか、可視化するかという点についても、SOLID AIR(Executive Cockpit)や、各種BI(ビジネス・インテリジェンス)ソリューションの導入・コンサルティングを行っているという。
講師であるcloudpackエバンジェリスト吉田真吾氏は「優れた製品をサービスとして提供していることが大前提、それを導入するということは、顧客への製品の品質(サービスレベル)が担保できるという話になる。それが一番で、顧客にとって価値がある。」と自社優先ではなく顧客の価値を優先する姿勢が基本にあると説明していた。
さらに「今回、(FlyDataと)提携した背景には、会社の規模的に両社が近いものがあり、インタラクティブにやっていけるだろうという考えがあった。提携してみて今のところたぶん間違いはないだろうと思っている。」と提携が正解だったことを強調。
「せっかくよい製品であっても、大きい会社との提携だと両社間のコミュニケーションのミスマッチが起きやすいという懸念がある。そういう意味では、サイズ感が近いFlyDataというのはよいと思っている。」と、FlyDataとの連携が両社にとって非常にバランスの取れたものだと説明していた。
■グローバルに拡散するデータを可視化
SITE4Dは「ユーザー目線の視覚化の本質とアプローチ方法について」と題したセッションを行った。
SITE4Dとcloudpackはここ数年、協業によりグローバルに拡散するデータを可視化しより直感的に経営状況を把握するための経営コクピット「SOLID AIR」や、各種KPI(重要業績評価指標)ツールをリリースし顧客に好評を得てきた。中でも ユーザーに情報を伝えるには「何を視覚化するか?」ではなく「どう視覚化するか?」が重要だという。
ビッグデータにより、取り扱う情報の量や粒度は増えたが、単純にグラフ化するだけでは理解しにくいこともある。そのデータをどう視覚化し、次の行動につなげたいかをしっかりと考え抜いてから、見え方をデザインする必要があるというのだ。
セッションでは、今までの固定観念を取り払い、表現の幅を広げ、そのデータの持つ真の価値を引き出すアプローチ方法について解説があった。
SITE4D Inc.は、膨大な経営データを経営陣の思考に合わせて、わかりやすくビジュアル化することで、これによりグローバル経営における意思決定を支えることが可能になる。データ設計をはじめとしたUI(ユーザーインターフェイス)開発を同社が担当する。
集めたビッグデータをAWSへ自動で送り、そしてそれを分析し、最終的に「使えるデータ」、「見えるデータにする」という一連の流れがFlyData、cloudpack、SITE4Dによって可能になるわけだ。
以上、「FlyData × cloudpack ビッグデータセミナー」の内容を紹介した。長い間に積み上げられてきたビッグデータ。これらを見えるだけでなく、使える形へと整え、さらに使ったあとの結果を、事業に反映するために見える形にすることの重要性が理解できたセミナーであった。
そしてセミナーで紹介された製品を使えば、こうしたビッグデータを利用できる形に簡単に整えることができるということも理解できた。AWSを利用していて、データの使い方がうまく行っていないという企業は、今回紹介したサービスをチェックしてみるといいだろう。