日本車による完全自動運転実現へ!国内最高ランクを獲得したスバルのアイサイト


言うまでもないことであるが、車を持つ、自動車を運転する、ということは道交法第70条にある“安全運転の義務を負う”ということである。この義務は、大まかに「安全操作の義務」と「安全確認の義務」に分かれる。そしてこの義務を怠ると、当然のことのように交通事故の発生確率が飛躍的に高まってしまう。

車には、人の移動、荷物運搬に対する高い利便性を持つ代わりに、常に事故の発生がつきまとう。そして車の安全性の保護の対象として見られてきたのは、その車を運転するドライバーたちである。歩行者や対象物に対しての安全性よりもドライバーの安全性を高める努力をメーカーは行ってきた。そのため軽佻な事故であれば、ドライバーの命の安全が保たれるようにまで自動車の(ドライバーへの)安全性は高くなった。

■ドライバーだけでなく歩行者への安全確保へ
ドライバーの安全がある程度確保できるようになると、次に安全性を高める対象に歩行者や、別の自動車、二輪車、自転車といった自車以外の対象にも安全を確保できる仕組みが求められるようになってきた。ドライバーの安全性を確保すると同時に加害者にしないという自然な流れである。

そこで運転支援という仕組みが考えられ、対象物に追突したりせずに、どうやって車とドライバー、歩行者、対象物等を守るか? といったことに対し、各自動車メーカーがITを駆使し、安全な自動車開発のために頑張ってきている。その究極的な例が「完全自動運転車」の完成だ。つい先日、Googleが開発したプロトタイプがアメリカ国内、カリフォルニア州シリコンバレーのマウンテン・ビューの公道で試験走行を始めたというニュースが流れた。

こうした自動車の安全の実現に注力し続けてきたことで、ここ10年ほどは、自動車の安全性能が飛躍的に向上した。そのおかげで交通事故および事故自体の数に加え、ケガをした人や死亡者も減り続けてきている。

しかし、いっぽうで目立ってきているのが高齢者による交通事故のニュース。特に高齢者が事故の加害者になるケースが増えてきている。「高速を逆走してしまった。」「車線変更時に安全確認を怠ってしまった。」といったうっかりミスによって、大事故へと発展してしまうケースも多くあるという。

■日本国内の交通事故発生確率を劇的に減らすと期待される「運転支援システム」
必ずしも“高齢であること”が事故原因となっているとは言えないものの、認知症の発症などもあり高齢であるほど事故の発生率が高いのもまた事実である。

今後、日本全体が高齢化社会へと進んでいく中で、さらに事故が増える可能性も予想されている。となると自動車に対する要求として、ドライバーおよび周囲に対する安全対策が求められることとなる。

その1つとして、いま最も注目を集めているのが、自動車に搭載されはじめた「運転支援システム」だ。そうしたシステムの中でも特に「自動ブレーキ機能」などは、事故を起こすことを防ぐ仕組みとして熱い期待が寄せられている。

しかし、運転支援システムとは何か? 自動ブレーキとは、どういった仕組みなのか? といったことで、誤った理解が安全への過信を引き起こすことを懸念する声もマスコミや専門家の間で聞かれている。いったいどの程度、運転支援システムについて理解しているのだろうか?

■ドライバー1000名に「運転支援システムに対する認知・理解度調査」を実施
様々なデーター集計のプロであるオリコンでは、5月20日の「交通事故死ゼロを目指す日」に向け、運転免許を保有する全国の10~60代の男女1000名を対象に、「運転支援システムに対する認知・理解度調査」を実施した。また調査に関して専門家の意見も聞いた。

■調査概要
調査名:「運転支援システムに対する認知・理解度調査」
調査期間:2015年5月1日(金)~5月8日(金)
調査地域:全国
調査対象:普通自動車運転免許保有の10~60代男女計1,000サンプル
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ
調査企画:株式会社oricon ME

その調査結果は以下のようになった。

■調査結果と傾向
1)82.7%が「ヒヤリ・ハット」を経験、原因は歩行者、自転車の飛び出しによるもの
2-1)「自動ブレーキ機能」の存在を知っている人は79.6%
2-2)次に車を購入する際、本機能を搭載した車が欲しいという人は78.3%
3-1)「自動ブレーキ機能」の性能に違いがあることを“知らない人”が46%
3-2)人、自転者などどのような対象に対しても作動すると考えている人が33.7%も
4)自動車評論家まるも亜希子氏/「日経Automotive」編集長林龍彦氏
「自動ブレーキ機能の性能にはメーカーや車種ごとに大きな差異がある」
5)専門家注目の運転支援システム、国産メーカーは「スバル」、海外は「ボルボ」
6)まるも氏/林氏「今後、全車両に搭載されることによって事故発生数の軽減が期待される」

この調査において、何度も登場している「自動ブレーキ機能」は、運転支援システムの最重要ポイントと言えるものだ。一般の人たちは「自動ブレーキ機能」という仕組みがあることを知ってはいるが、実際はこの機能が、どういったことまで対応できるのかについて知らない人が大半であることがわかった。

ということで自動車評論家のまるも亜希子氏と「日経Automotive」編集長である林達彦氏に実際のところ、自動ブレーキ機能にはどの程度の差異があるのかを聞いた。

自動車評論家まるも亜希子氏:
「自動ブレーキ機能とひと口に行っても、自動車によってその機能はまるで違います。大きな違いを生み出しているのが前方のセンシング方式です。ミリ波レーダーや赤外線レーダー、カメラ方式があり、それぞれ長所と短所を持っています。」(まるも氏)。

「ミリ波レーダーは、高速走行に向いており、天候や明るさなどに左右されにくいですが、障害物の形や大きさを判別するのは不得意です。赤外線レーダーは、低コストでコンパクトな構造が強みですが、監視できる距離が短く、高い速度域では作動が難しいという弱みを持ちます。」。レーダー式がミリ波と赤外線の2種類、これにカメラ式となるそうだ。

「カメラ方式、特に2台のカメラを使用するステレオカメラ方式は、障害物が車両なのか歩行者なのか、あるいは自転車なのかを詳しく判別することが可能で、車線や道路標識を読み取ることもできます。以前は、逆光や霧などの悪環境での作動に難がありましたが、これも最近は改善されています。」とカメラ式には、カメラが見ている対象を特定できるほどのインテリジェンス性を持つに至っていることを説明。

「これらのセンシング方式のどれが採用されているかは、メーカーによっても違いますし、車種によっても違います」と、「自動ブレーキ機能を搭載していても、その機能は自動車によって大きく違うとのことです。」とメーカーや車種によって自動ブレーキ機能の性能がまだまだ完全ではないと説明していた。

まるも
自動車評論家:まるも亜希子氏
大学在学中に声優デビューする傍らクルマの魅力に目覚め、卒業後は自動車雑誌のエディターを務める。2003 年、カーライフ・ジャーナリストとして独立し、雑誌・Web・ラジオ・TV・イベント等で活動中。

「日経Automotive」編集長林達彦氏:
「タイプを大きく分けると、車両だけを検知するものと、歩行者や自転車なども検知できるものがあるし、各メーカーによって、作動する条件、例えば速度範囲や対象物などが違うが、ユーザーがそれを把握できているか疑問」とセンサー方式が異なっているだけでなく、同じ「自動ブレーキ機能」という表現でアシスト程度で最後のブレーキは自分で踏むケース、車両の停止までシステム側でコントロールするものといった違いに対し懸念の声をあげる。

A車が完全停止するので、B車も同様だと思っていたら、止まりきれずに追突といったように安全向上のために開発された自動ブレーキ機能も誤った理解で使用すると、かえって危険を軽く見る結果となりかねないのだ。

nikkei
「日経Automotive」編集長 林達彦氏
1988 年日経BP 社入社、「日経メカニカル」「日経デジタルエンジニアリング」「日経パソコン」など機械、コンピューター系の雑誌を経て、2005 年より「日経Automotive Technology」編集部。2014 年より「日経Automotive」編集長

■専門家大注目の「運転支援システム」は、国内メーカーではスバルの「アイサイト」
自動ブレーキの性能に大きな違いがあるとすれば、最も知りたいのは「どれがいちばん性能が良いのか?」といったことだろう。ということでどのメーカーの自動ブレーキ機能がより安全性が高いかという点について、まるも亜希子氏、林達彦氏に聞くと、即座に「スバル」(富士重工業)との声が返ってきた。

自動車評論家まるも亜希子氏:
まるも氏曰く「いま注目している自動ブレーキ機能は、高い速度域でも作動するものや、実際に事故率が高いシーンで効果を発揮するものです。予防安全性能アセスメント(JNCAP)の予防安全性能評価では、スバル(富士重工業)の「EyeSight」(以下、アイサイト)はすべての評価車種で満点に近い得点をあげ、最高ランクを獲得しています」。

「スバルのアイサイトは、ステレオカメラ方式を採用しており、これまで識別が難しかった動く歩行者や、自転車、バイクも識別できるため、大きな期待を寄せています。」とまるも氏。国内メーカーの自動ブレーキ機能はスバルが圧倒的に高い安全性を持つそうである。これまで識別できなかった対象を識別できるため、それに合った対応が可能になり、より細かな制動制御が行えるようになっているというわけだ。

日本車以外での注目は「ボルボが開発した自動ブレーキ機能は、事故率が非常に高い交差点における出会い頭での衝突を防止するもので、画期的だと思います。」とのことだ。

「日経Automotive」編集長林達彦氏:
林氏にどういった点で自動ブレーキ機能に注目したのかと聞くと「車両だけでなく、歩行者や自動車などを検出でき、かつ高い精度でブレーキが機能するものがより事故を低減できると見ている。」と、やはり様々な対象物を、見極めることができる識別機能という答えが返ってきた。

さらにそうした点に注目しつつ、ご自分が編集長を務めている「日経Automotive」において検証試験を行ったという。『スバル(富士重工業)と、ボルボ社の自動ブレーキ機能が、弊誌が実施した「ぶつからないクルマ実車試験」で、最高ランクに入りました。』(林氏)。

今後、全車両に搭載されることによって、事故発生数の軽減が期待される最後に、技術がさらに進む中で、運転支援システムがどのように進化していくか、今後の予想を二人に聞いた。

スバルのどこがすごいのか? に関しては、Youtubeにアップロードされている。予防安全性能アセスメント試験の動画を見れば一目瞭然だ。このテストにおいてスバル車は、対象物にぶつかることなく停止しているのがはっきりと見て取れる。



この予防安全性能アセスメント試験において、40点満点の満点を出した5台のうち3台がスバル車であったということからも、スバルの運転支援システム「アイサイト」の性能の良さが理解できるだろう。

資料

以上、運転支援システムの中で自動ブレーキ機能を中心に紹介してきた。もちろんこういったシステムは、まだまだ発展していく余地は大きく残されている。現在、あまり良い成績を出していないシステムであっても、5年後、10年後には、信頼できるシステムに成長していくことだろう。今後、こうしったシステムがどうなって行くのか? についてだが、

自動車評論家まるも亜希子氏:
「近い将来には、性能差はあっても全車にこのシステムが搭載されるでしょう。作動する速度域も高くなってきて、高速道路などでの大きな衝突事故が軽減されるのではという期待があります。そして、ABS やエアバッグの有無で保険料が変わったように、自動車の任意保険にも割引が適用されるようになるのではないでしょうか。 」と、まるも氏は、すべての車にこういったシステムが搭載されると予想

また、まるも氏は、こうしたシステムの導入によって自動車の安全性が高まることで「運転支援システムには数多くの機能が追加されてきているので、高齢者が運転できる期間が延びたり、将来的には免許取得年齢を現在の18 歳から引き下げられたりといったことも検討できるかもしれません。」と締めくくった。

「日経Automotive」編集長林達彦氏:
林氏は、自家用車だけでなく大型車両までを見込む。「日本で大型バスやトラックへの自動ブレーキ機能の搭載が義務化されたことで、関越道でのバス事故のような重大事故が減ることが期待できます。また、こうした機能が普及し、運転支援システムが発展していくと、半自動運転(高速道路や渋滞時などでの手放しでの運転)が進む可能性もあります。さらに技術が発展すれば、完全な自動運転に向かうでしょう。」と完全とは言わないまでも、ほとんどの運転を車にまかせることができる日が来ると予言。

ただ、Googleのような完全自動運転が日本で実現するかに関しては「法整備や道路インフラ、事故時の責任の所在などの課題もあり、完全な自動運転がすぐに実現するかはわかりません。」とのことである。

以上のように運転支援システム、自動ブレーキ機能に関しては、スバルの「アイサイト」が他社を圧倒していることがわかった。これまで車を購入する際に大事なポイントとなっていた基準に「事故を防ぐための安全機能の性能」が追加され、そして現状ではスバル車が最も魅力的な製品であると言えるだろう。

アイサイト
予防安全性能アセスメント(JNCAP)

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