初秋の京都でモシュ印とコケ寺リウムを楽しむ旅~初日、東福寺、旧三井家下鴨別邸、常寂光寺~

  • 2018-9-29
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JR東海の「そうだ 京都、行こう。」では、毎回、様々に趣向を凝らしたイベントなどを用意している。こうしたイベントは、一般の方々への公開前にプレス向けのツアーが行われることがあり、一般公開よりひとあし先に同キャンペーンを実際に体験し、その様子を記事にして紹介することができる。

今年は幸運にも初夏に『古都京都で青もみじ&御朱印めぐりをひと足先に体験!JR東海「そうだ 京都、行こう。」初夏ツアー』に参加することができた。さらに9月5日に『初秋の京都にオリジナル苔アートが登場。苔の名所 5寺院で「モシュ印・コケ寺リウム」展示』という記事で告知したツアーにも参加できる幸運に恵まれた。

古都京都は、一年を通じて四季折々の美しい顔を持っている。そうした季節によって見え方が大きく変わる京都の様子をお伝えできればと思っていたのだ。初夏の京都旅行に次いで、初秋の京都の旅を紹介したいと思う。

前述したように「モシュ印/コケ寺リウム」を楽しむプレスツアーに参加。旅の日程は2日間。初日は東福寺と旧三井家下鴨別邸、常寂光寺を訪ねたので、その様子をお伝えしよう。なお、本記事は前編と後編に分け、2日目の旅も、写真を多めにしてお送りする予定だ。

■新幹線だからこそのメリット「着いたらすぐ行動できる」
筆者は東京からの参加なので東京発7時50分の新幹線「のぞみ」で京都に向かう。朝10時過ぎには京都駅着。そして午前11時には最初の目的地である東福寺に筆者の姿があった。

なにしろ新幹線「のぞみ」に乗ってしまえば2時間弱で行けてしまう。たとえば都内にある自宅から幕張メッセまで行くのに2時間半強。それとほぼ同じ時間で自宅から東京駅まで出て京都に行けるのだ。

たとえば都内の移動でも私鉄、地下鉄、JRの乗り継ぎが悪いと行くのに余裕で2時間を超えてしまう場所がある。しかも、座れないラッシュの電車の中での2時間移動。対して新幹線ならゆったりと座ってリラックスしている間に着いてしまう。

しかもラッシュの電車と違い体力を消費せずに京都まで行けるので、着いたらすぐ行動に移れる。通勤時間よりちょっと早めに出発すれば、午前中に目的の5寺院のひとつを楽々回れてしまうというわけだ。

■市松模様が美しい「本坊庭園」が見られる東福寺
東福寺は、九條道家が創建した臨済宗東福寺派の大本山。唐様とも言われる日本の伝統的な寺院建築「禅宗寺院」では、日本最大級を誇る。作庭家 重森三玲氏が大方丈の東西南北に配した「本坊庭園」が有名な寺院で、筆者は前々から行ってみたいと思っていたが今回、念願がかなった。

お坊様によると、方丈というのは、住職の住まいを意味するそうだ。「本坊庭園」は国指定名勝に登録されており、大方丈の東西南北にそれぞれ庭が配置されている。

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「本坊庭園」がある、東福寺へ


東庭は「北斗七星」を模した円柱が配置され、白川砂、苔、背後の二重生垣のみによって天の川が表現されている。お坊様によると、円柱は東司の解体修理をした際に余材として出てきたものを再利用したとのこと。禅の世界では「一切の無駄をしない」という厳格な教えがあり、その教えを体現した庭となる。

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東庭は、北斗七星(円柱)と天の川(砂部分)を表現している


南庭は四つの神仙島※、京都五山、須弥山から構成されている。三神仙島(蓬莱、瀛洲、壺梁)には、6mほどの長い石を横に寝かせて配置しているが、御坊様によると、このような石の扱い方は古庭園における意匠では、ほとんど例がないそうだ。
※(蓬莱、瀛洲、壺梁、方丈)中国の伝説の仙人が住むとされる場所

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南庭は四神仙島(蓬莱、瀛洲、壺梁、方丈)、京都五山、須弥山から構成されている


西庭は大市松模様「井田の庭」だ。サツキの刈込と葛石によって、日本の伝統的な市松模様を表現している。本坊内に使われていた敷石の縁石(カズラ石)を再使用して作られたとのこと。

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綺麗に手入れされたサツキの刈込と、白川砂とのコントラストが美しい。


北庭は小市松模様の庭園だ。こちらも勅使門(ちょくしもん)から方丈に向けて敷きつめられていた切石を再利用したものだ。

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フカフカな立体感の苔と、交互に配置された敷石が作り上げる見事な市松模様


お坊様によると、大方丈を囲む庭は珍しいとのこと。庭全体は、北斗七星、蓬莱、瀛洲、壺梁、方丈、京都五山、須弥山、市松の八つの意匠を盛り込んでいる。これが釈迦の入滅を表す「釈迦八相成道」にもあたることから、「八相の庭」と名付けられたそうだ。
東福寺のモシュ印は「大仏宝殿」だ。モシュ印とは、苔の英訳「moss(モス)」と「御朱印(ごしゅいん)」をかけ合わせた造語で、御朱印の文字の部分を苔で描いたオリジナルアート。「モシュ印」アートクリエイターの杉田悦郎さんによると、ひとつのモシュ印を作るのに、10日ほど掛かるとのこと。青々とした緑は、実は色を塗っているとのこと。大事に扱えば、10年くらい持つそうだ。

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「モシュ印」アートクリエイターの杉田悦郎さんと、東福寺のモシュ印


東福寺では、3種類の「コケ寺リウム」を見ることができる。コケ寺リウムとは、ガラス容器の中に、各寺院の象徴的な建物などのジオラマと庭園を苔で再現したミニチュアアートだ。以前紹介した通り、京都市内にある対象5寺院で苔庭をモチーフにした「コケ寺リウム」を展示している。

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「コケ寺リウム」苔アートクリエイター今田裕さんと、東福寺のコケ寺リウム ※コケ寺リウムに手を振れないこと


コケ寺リウム作者の苔アートクリエイター今田裕さんによると、こちらも制作に10日くらい掛かるという。本物の苔を利用しているので、今田氏が定期的にメンテナンスで各寺院を巡回しているそうだ。

■美しい庭園を見ながら「泉仙」の弁当を味わえた、旧三井家下鴨別邸
旅の楽しみのひとつに「食」がある。同ツアーは、心に残る食事が体験できることでも定評がある。今回は、旧三井家下鴨別邸で昼食を取ることができるという、かなり貴重な体験ができた。

玄関棟では、ガイドさんが、旧三井家下鴨別邸についての詳しい話を聞かせてくれる。旧三井家下鴨別邸は三井家11家の共有の別邸として、北家総領家第10代の三井八郎右衛門高棟によって建築されたという。現在の主屋は大正14年に三井家木屋町別邸にあった明治期の建物を移築したもので、玄関棟などは移築時に増築したそうだ。

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旧三井家下鴨別邸の外観


旧三井家下鴨別邸は高い歴史的価値が評価され、平成23年に重要文化財に指定されている。そんな重要文化財の中で京の精進料理「泉仙」の仕出し弁当を食した。

今回の仕出し割烹は点心の亀甲弁当(3,000円)。点心というのは、簡略化された懐石料理と思えば、わかりやすいだろう。茶懐石や寺院での食事を表す。六角形の二重箱になっており、味はもちろんのこと、見た目にもこだわりが感じられる料理だった。

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京都で精進料理の老舗「泉仙」のお重亀甲弁当


主屋の1階座敷は、障子に大正ガラスが嵌め込まれてあり、旧三井家下鴨別邸のガラス越しにゆらめく庭園を楽しむことができる。

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主屋の1階は、喫茶休憩ができるスペースになっている。


食事のあとは、庭園を見学させてもらう。先日の台風21号の倒木被害により、見ることができるエリアは限られていたが、それでも素晴しい景色の庭園を堪能できた。再度来訪させてもらった際には、全エリアを回ってみたい。

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左の大きな建物が主屋、右の小さな建物が茶室


今回は見学できなかったが、上の写真でもわかるように同邸の主屋には「望楼」と呼ばれる3階がある。スタッフによると、四方がガラス窓になっており、360度景色を見渡すことができるとのこと。「期間限定で、3階を公開することもある」との話なので、チャンスをねらって是非ともまた訪れたい。

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庭園側から見た、旧三井家下鴨別邸の主屋


■大変珍しい風景!竹林の中の苔を見られる、常寂光寺
常寂光寺(じょうじゃっこうじ)は、小倉山の中腹に寺域を占める日蓮宗の寺院だ。ご住職によると、慶長年間に本圀寺の日しん上人の穏退所を寺にしたという。こちらは初夏ツアーに続き二度目の来訪。

名前の由来だが、寺域が幽雅閑寂(※1)で、天台四土にいう常寂光土(※2)の観があるところから寺号となった。古来よりもみじの名所として知られるだけあり、青々とした紅葉が旅人を迎えてくれる。
※1:物静かで趣がある※2:仏が住む極楽浄土

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初夏とは違う顔を見せる常寂光寺の仁王門。


ご住職によると、一番の見所は竹林の中の苔とのこと。地面に落ちた竹の葉を毎日小まめに清掃して、何年も手入れをしないと、この美しい苔の景色は作れないのだという。苔の専門家である、苔アートクリエイター今田裕さんの話では、竹林の中に苔がある景色は大変珍しいそうだ。

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竹林の中に苔がある景色は、苔が多い京都でも珍しいとのこと。


庭園を散策すると、あちこちで美しい苔の景色を堪能することができる。

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灯篭の上の苔も美しい


常寂光寺のモシュ印とコケ寺リウムは、山門を潜ってすぐに左手の階段を上った展示場にあった。
モシュ印の隣に3つ並んでいるのがコケ寺リウムだ。

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モシュ印と3つのコケ寺リウム


コケ寺リウムは、その寺院の特徴的な場所をテーマに作られている。常寂光寺には、あの印象的な仁王門のコケ寺リウムが用意されていた。

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コケ寺リウムと一緒にポーズをとる苔アートクリエイター今田裕さん ※コケ寺リウムに手を振れないこと


コケ寺リウムの中をのぞいてみた。常寂光寺の仁王門が、苔ともみじで見事に再現されている。

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苔が左右に配置され、もみじの奥に仁王門が見える。ミニチュアの極意だ。


前回詳しく紹介しなかった常寂光寺の山腹にある「多宝塔」。これ実は江戸初期建築の重要文化財だ。元和6年(1620年)、京都町衆によって寄進されたと伝えられている。高さは約12m。釈迦、多宝二仏を安置しているが、内部は常時非公開になっている。

それでも歴史的文化財だけあり、外観には何とも言えない風格がある。少々山登りをすることになるが、足を運ぶことをおススメしたい。

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重要文化財に指定されている常寂光寺の「多宝塔」


以上、「初秋の京都でモシュ印とコケ寺リウムを楽しむ旅」の1日目をお届けした。なお、今回のJR東海の「そうだ 京都、行こう」では、苔名所ガイドブック「コケと苔庭 京都旅」が付くとともに地下鉄・バス一日券が付く特別旅行商品が発売されている。お寺回りの移動には便利な商品なので、利用してみるとよいだろう。

また対象5寺院を巡ってモシュ印とコケ寺リウムをInstagramに投稿するとAmazonギフト券がプレゼントされる「モシュ印 / コケ寺リウム キャンペーン」も行われる。

これから紅葉を迎える京都。静かな秋のひとときを、モシュ印とコケ寺リウムを楽しみつつ、5寺巡りをしてみてはいかがだろう。後編2日目は金戒光明寺と圓光寺、三千院を美しい写真と共にお届けしよう。

「そうだ 京都、行こう。」京都“苔”名所ガイド
「そうだ 京都、行こう。」

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