見る距離に合わせてピントを自動調整!ViXionのオートフォーカスアイウェア【IVS2026】

  • 2026-8-25
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年齢を重ねるにつれて、小さな文字が読みにくくなったり、手元と遠方の切り替えに時間がかかったりすることがある。こうした「見えにくさ」をテクノロジーで解決しようとしているのが、ViXion(ヴィクシオン)株式会社だ。国内最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS2026」の会場では、見る対象までの距離を測定し、約0.1〜0.2秒でピントを自動調整するアイウェア「ViXion2」が展示されていた。実際に装着すると、名刺の細かな文字が瞬時に鮮明になり、その効果を実感できた。世界共通の社会課題である「ピント調整不全」に挑む、日本発の技術を紹介しよう。

ブースに掲げられていたメッセージは、「『ピント調整不全』という世界的な社会課題に挑む。」だ。同社は、見る対象までの距離に応じてピントを自動調整するアイウェアを通じ、加齢や目の状態などによって生じる「見えにくさ」の軽減を目指している。

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会場では、2026年4月に発売された「ViXion2」をはじめ、形状や用途の異なる複数のモデルを展示。来場者が実際に製品を装着し、遠方と手元を交互に見ることで、オートフォーカスの動作を体験できるデモが行われていた。

■約0.1〜0.2秒でピントが合う、オートフォーカスの速さを体験
ViXionのオートフォーカスアイウェアは、本体中央部に搭載されたセンサーで対象物までの距離を測定し、その距離に合わせてレンズのピントを自動調整する。

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ブースでの説明によると、ピントが合うまでの時間は約0.1〜0.2秒だという。実際に装着して手元の小さな文字を見ると、瞬時に文字が鮮明になり、オートフォーカスの速さを体感できた。

筆者自身も、小さな文字が見えにくくなってきたと感じていたが、名刺などに記載された細かな文字が見やすくなり、思わず「めちゃくちゃクリア」と驚きを口にした。見る距離が変わるたびにメガネを掛け替える必要がなく、細かな手元作業や読書など、特定の場面での利用が想定されている。

同社によると、シリーズの初代モデルは2020年に発売され、会場に展示されていた現行モデル「ViXion2」は2026年4月17日に発売された。シリーズ累計販売台数は約1万5,000台に達しているという。

利用者へのアンケートでは、毎日使用する人がいる一方、週に2〜3回程度、必要な場面に限って使う人も多いことが分かった。常時装着する一般的なメガネの代わりというよりも、精密作業や模型制作、読書、パソコン作業など、細かなものを見たい場面を支援するアイウェアとして活用されている。

なお、現行製品は装着時に視界の一部が遮られる可能性があるため、自動車や自転車などの運転には使用できない。取材時にも、現行モデルを装着して自動車を運転することは難しいとの説明があった。

■専用アプリで左右の設定や使用状況を確認
ViXion2は、電子基板やBluetoothモジュール、バッテリーを本体に内蔵しており、スマートフォン向け専用アプリ「ViXion Connect」と連携できる。

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アプリのコントロール画面では、接続している製品の温度やバッテリー残量のほか、LEDの輝度やブザー音量、左右それぞれの設定値などを確認できる。会場で見せてもらった画面にも、本体温度やバッテリー残量、LED輝度、ブザー音量などが表示されていた。

使用開始時には、利用者の見え方に合わせたキャリブレーションを行う。設定値はアプリから変更でき、左右を個別に調整することも可能だ。

さらに担当者によると、自分の目に合わせた設定値や、どの程度の距離を見ていたのかといった利用データを継続的に記録できるという。こうしたデータは、製品の利用傾向やキャリブレーション値の変化を確認する材料となる。

ただし、アプリに表示される数値は、医療上の診断結果を示すものではない。ViXion2自体も医療機器ではなく、見え方を補助するアイウェアとして提供されている。

左右のレンズは、それぞれ個別の設定に対応している。また、オートフォーカスレンズだけでは補正できない乱視などについては、外側のアウターフレームに利用者の視力に合わせた度付きレンズを装着することで対応できる。アウターレンズには、乱視補正のほか、偏光やブルーライトカットなどの機能を持たせることも可能だ。

■視野を約2.4倍に拡大した「ViXion2」
ViXion2は、従来モデルからレンズ径を9mmに拡大し、視野面積を約2.4倍に広げたモデルだ。焦点調節範囲は5cmから無限遠までに対応しており、手元から遠方まで、対象物との距離に合わせてピントを自動調整する。

本体は、オートフォーカス機構を備えたインナーフレームと、その外側に取り付けるアウターフレームで構成される。アウターフレームは着脱でき、利用者の見え方や用途に応じたレンズへ交換できる設計だ。

会場には、一般向けのViXion2に加え、精密作業などを支援する専門職向けモデル「ViXion2 Pro」や従来モデルも並べられていた。それぞれ形状やレンズ周辺の構造が異なり、同社が視野の広さや装着性、用途に応じた製品開発を進めてきたことが分かる展示となっていた。

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■NEDOのSBIR推進プログラムで大口径レンズを開発
ViXionが次の開発課題として取り組んでいるのが、オートフォーカスレンズのさらなる大口径化だ。

担当者は、現在の製品について「よくできてはいるものの、レンズは引き続き課題」と説明し、より大きなレンズの開発に注力していることを明かした。大口径化によって、オートフォーカスで見られる範囲をさらに広げることが狙いだ。

この研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する2025年度「SBIR推進プログラム」の一気通貫型に採択されている。採択された研究開発テーマは、「老眼や弱視に伴う視覚課題を解決するオートフォーカスアイウェアの大口径レンズ開発」だ。

現行のViXion2も従来モデルから視野を広げているが、同社はその先を見据え、さらに広い範囲を自然に見られるオートフォーカスアイウェアの実現を目指している。

■世界共通の「見えにくさ」に日本発の技術で挑む
小さな文字が読みにくい、見る距離が変わるたびにピントを合わせにくいといった悩みは、日本だけのものではない。

取材の終盤、担当者は「本当に世界共通の悩みだと思う」と語り、今後の世界展開にも意欲を示した。ViXionは、老眼や弱視などに伴う視覚課題に向き合いながら、より広い視野と使いやすさを備えたオートフォーカスアイウェアの開発を進めている。

目のピント調整をテクノロジーによって補うViXionの取り組みは、これまで見えにくさを理由に諦めていた作業や趣味を、再び楽しむための選択肢になり得る。IVS2026のブースは、その技術がもたらす視界の変化を実際に体験できる場となっていた。

ViXion株式会社

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新井 一
東洋経済新報社
2025-02-19

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