リモートアクセス市場を牽引!e-Janネットワークス坂本社長に聞くテレワークツールの最前線

  • 2021-7-21
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e-Janネットワークス坂本社長に聞くテレワークツールの最前線

2020年は、新型コロナウイルスによる感染症の拡大により、政府から全国的な緊急事態宣言が発せられるなど、感染対策の観点での出勤者削減を目的として、多くの企業がテレワークの推進を迫られた。上場企業を中心に、テレワーク前提の働き方への移行が加速している一方で、中小企業においては、テレワークで実施できる業務が少なく、ICT環境の整備とともにテレワークの普及について時間を要しているのが現状だ。

また、制約の多かった地方自治体におけるテレワークについては、総務省によるセキュリティ対策ガイドラインの見直しなどを背景に拡大傾向にある。リモートワークが前提の働き方を定着させる上では、従業員の私物デバイスの業務活用(BYOD)やコミュニケーションツールのセキュアな利用、テレワークにおける労働時間の把握など、企業は新たな課題への対応が求められている。

このような課題を解決する手段のひとつがテレワークツールだ。今回、テレワークツール「CACHATTO(カチャット)」「NinjaConnect(ニンジャコネクト)」を提供するe-Janネットワークス株式会社 代表取締役社長 坂本史郎氏に話を聞くことができた。

■セキュアなリモートアクセスができる「CACHATTO」
e-Janネットワークス株式会社は、2000年3月に設立以来、『テレワークにセキュリティを』を標榜し、テレワークプラットフォームおよび関連製品の企画・開発・販売・運営を中心として事業を展開してきた。そんな同社が100名以上の法人向けに提供するテレワークツールが「CACHATTO」だ。

CACHATTOは、スマートデバイスやパソコンなどのマルチデバイスに対応し、セキュアブラウザでのモバイル利用から、在宅勤務に適したリモートデスクトップ接続まで、データを端末に残さないセキュリティを一貫して実現する。

CACHATTOの通信の仕組み

CACHATTOは、以下の機能を備える。
〇リモートデスクトップ
社内のパソコンやVDI(仮想デスクトップ)に接続し、遠隔操作がおこなえる。在宅勤務時、自宅にある私物のパソコンを利用して社内と同じように業務をこなせる。

〇メール
会社のメールの利用はもちろん、添付ファイルの閲覧や写真の添付もできる。オフラインでの利用も可能だ。電車移動時にメールを確認して、その場ですぐに返信できる。

〇スケジュール
スケジュールの閲覧はもちろん、会議招集への返答もできる。グループメンバーの予定を一覧で確認することも可能だ。

〇Webシステム
Microsoft 365などのクラウドサービス、社内のWebベースグループウェアや掲示板などを安全に利用できる。出張中にワークフローシステムにアクセスし社内申請を承認できる。

ユーザーは、これらの機能を私物の端末で利用できるので、外出時や休暇時のメールチェックのために、わざわざ会社へ行ったり、会社支給のパソコンを持ち帰る必要がない。

企業は、CACHATTOサーバーを導入するだけなので、導入コストも小さく、企業の働き方改革の一環としてテレワークだけでなく、社員の残業削減を推進することができる。


社外の端末から社内の業務システムへアクセスした際に気になるのは、セキュリティの堅牢性だ。

坂本史郎氏
「CACHATTOはVPN不要、外向きのHTTPS通信を経路に利用するので、ファイアウォールの設定変更も不要です。外部からの通信を許可しないので、データを取り出すのはほとんど不可能です。世界的に有名なハッカーに尋ねても、ここは当然、ハッカーとしては襲わない。もう少し脆弱性のありそうなメールサーバーから攻めていくと言うことです。そういう意味で、ほぼ完璧な強さを誇っています。」

e-Janネットワークス株式会社 代表取締役社長 坂本史郎氏
e-Janネットワークス株式会社 代表取締役社長 坂本史郎氏

CACHATTOは、会社にあるパソコンの画面を転送して、画面を操作するだけなので、データは実質的に会社の中に残っている。スクリーンショットを撮られたくないとの要望も企業からあり、そこまで防御した製品となっている。

CACHATTOが持つ「強固なセキュリティ」と「導入の容易さ」が評価され、リモートアクセスを統合的に認証・制御できるテレワークプラットフォームとして、一般企業のみならず、自治体や官公庁ですでに採用されている。複数の市場調査レポートでは、すでにトップシェアを維持しており、2021年4月時点で1,450社72万ユーザーを超える導入実績がある。

■中小企業向けのリモートデスクトップ「NinjaConnect Telework」
中小企業はコストを掛けられなかったり、技術者がいなかったりする企業も多い。そこで同社が2020年6月より提供を開始したのが、中小企業向けのテレワークサービス「NinjaConnect Telework」だ。

NinjaConnect Teleworkは、サービス初期費用 0円。サービス利用料 (5ユーザー契約プラン) 1ユーザーあたり通常1,600円から導入ができる。

CACHATTO と同様、VPNが不要であり、企業は専用機器(Ninjaコネクター)を導入するだけで簡単にテレワーク環境を構築できる。
ユーザーは自宅などでふだん利用しているパソコンから職場にあるパソコンを遠隔で操作(リモートデスクトップ)できるため、自宅でも職場と同じ環境で、同等の業務が可能だ。

自宅でも職場と同じ環境で、仕事ができる
NinjaConnect Teleworkを導入すれば、自宅でも職場と同じ環境で、仕事ができる

NinjaConnect TeleworkとCACHATTOとの違いについて聞いてみた。

坂本史郎氏
「NinjaConnect Teleworkは、Webブラウザが動く端末があれば、すべてがテレワーク端末になります。新たにパソコンを導入する必要はありませんし、安全に会社のパソコンにアクセスすることができます。大企業向けに開発した従来のアプリがあまりにも高機能になってしまったので、中小企業で十分の機能に絞って開発しました。」

NinjaConnect Teleworkは容易に導入できるが、堅牢なセキュリティが確保されている。ユーザーはスマートフォンに表示されるワンタイムパスワードがないと、ログインができない仕組みだ。
専用アプリケーションのインストールが不要、かつWebブラウザのみで利用できる手軽さもあり、主に従業員数100名未満の企業を中心に導入が進んでいるという。

NinjaConnect Teleworkは導入の業種を問わないが、生産工場経営者向けには、いつでもどこからでも工場内の制御PCにアクセスし各種メンテナンスをセキュアな環境下で行えるサービス「NinjaConnect ISM」が用意されている。

長年のセキュリティ実績が裏付け

最後に今後の展開について聞いてみた。

坂本史郎氏
「ITツールは、コミュニケーションツールとして、まだまだのところがあります。その開発を含めて、新しい使い方を試しながら、より良いものにしていくことが、弊社が提供できるワクワクするものではないかと考えています。」

■リモートワークで、コミュニケーションはとれるのか?
CACHATTOやNinjaConnect Teleworkがリモートワークに有効なことは理解できたが、仕事は効率よくまわるのだろうか?
リモートワークを実践しているe-Janネットワークス株式会社 加藤貴之氏に話を聞いた。
加藤貴之氏は2017年、同社に新卒で入社し、自社製品のアプリのUI/UXデザイナーとして勤務している。

加藤貴之氏
「弊社は8割ぐらいがテレワークを実施しているかたちです。私個人はほぼフルリモートに近いかたちで仕事を実施しており、出社は1年に1、2度ぐらいの頻度まで抑えられています。」

同社はテレワーク製品を提供していることから、テレワークを実践して製品の良い点、悪い点を洗い出す必要があった。日数の制限こそあったものの、新型コロナウイルス感染症が流行する前からテレワークを実施していたという。新型コロナウイルス感染症により、政府がテレワークを推進した段階で日数の制限が撤廃されて、常時テレワークに切り替わった。

リモートワークを実践している、UIUXデザイナーの加藤貴之氏
リモートワークを実践している、UI/UXデザイナーの加藤貴之氏

リモートワークで気になるのは、仲間とのコミュニケーションだ。
とくに開発の現場はパソコンに向かっている時間が多いわけだが、どのようにコミュニケーションをとっているのだろうか?

加藤貴之氏
「業務連絡はマイクロソフトのTeamsというチャットツールを主に使っています。ただTeamsによるテキストのキャッチボールは若干スピード感が足りなかったり、やはり話したほうが早いこともあります。その場合は、Zoomでオンライン会議をします。」

オンライン会議は時間を決め打ちで実施することが多いが、そこまでかしこまった会議が必要ない場合もある。そこで開発メンバーを中心に導入したのがボイスチャットサービスという通話ツールだ。隣の席にいる人に話しかけるのと同じ感覚で、滞在しているメンバーに相談ができる。こうしたツールの使い分けにより、スピード感の差を解消しているという。

加藤貴之氏
「スピード感の違うコミュニケーションはログが残りにくかったり、さかのぼりづらかったりする問題を抱えていると思います。そこは日報と社内SNSを組み合わせたCrossCom(クロスコム)というシステムを自社開発しておりまして、1日に1度、日報を書いて、お互いの業務を確認しています。」

CrossComは業務の確認だけでなく、コメントを残したり、資料を添付したりすることができる。そこからディスカッションに発展して新たなアイデアが生まれたり、見落としていたことをキャッチアップできたりする。コミュニケーションツールの使い分けにより、オフィスで一緒に働いているのと変わらないコミュニケーション環境を整えている。

CrossComは日報なので、アルバイトも含めてスタッフは全員、自分の作業を書き込むことが業務となっている。誰でも他者の日報を読むことができ、コメントを残すことができる。誰もが誰かの関心を得られることを重点に開発したという。

加藤貴之氏
「すごいのは毎朝、史郎さん(坂本史郎氏)から全員にコメントがつくんです。これは他社がやっていない取り組みだと思います。やはり誰かに見られて認められているようなコミュニティー感は、組織の一員としての意識が保たれるインフラのようなところを担っているように思います。」

CrossComには、その日に合った良いことを記入する欄(グッドニュース)もあり、誰もがコメントがしやすくなっている。加藤貴之氏はガジェットブロガーであることから、ガジェットを紹介することもあるとのこと。他者の業務以外の雑談の中から、業務に役立つ情報が得られることもあるという。

CrossComの画面
CrossComの画面

テレワークは働く場所を選ばないうえ、企業側にも優秀な人材を確保できるメリットがある。テレワークを推進したい企業では今後、CACHATTOやNinjaConnectといった高いセキュア機能を備えたテレワークツールが不可欠なものとなってくるだろう。

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