FOOT-SKILLSが開発!次世代スマート楽器「Guit(ギット)」の挑戦【IVS2026】

  • 2026-8-24
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2026年7月1日から3日にかけて、京都で開催された国内最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS2026」。テーマに「Japan is Back」を掲げた本イベントに、FOOT-SKILLS株式会社(宮城県仙台市)が出展した。同社が披露したのが、スマートフォンをギターのように演奏できる次世代スマート楽器「Guit(ギット)」だ。

「ポケットに楽器。誰とでもセッション。」を掲げるGuitは、スマートフォンだけで70種類以上のコードを演奏できることが特徴だ。会場では、スマートフォンを横向きに持ち、画面上のボタンを指で操作しながらコードを切り替え、ギターのように演奏するデモが披露された。

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■「スマホを楽器に」トランペットの操作から生まれたアイデア
Guitの特徴のひとつが、スマートフォンを横向きに持ち、画面上のボタンの組み合わせによってコードを切り替える独自の操作方法だ。

開発担当者によると、この発想の原点には、小中学生のころに経験したトランペットやチューバがあるという。金管楽器では、3つのピストンを押す組み合わせによって異なる音を出す。この仕組みをギターのコード操作に応用できないかと考えたことが、Guitの開発につながった。

Guitでは、4つのボタンを組み合わせることで16通りの操作パターンを作り、それをコードの選択に利用している。実際のギターとは異なる操作体系ながら、スマートフォンを握ったまま、指の組み合わせによってコードを切り替えられる仕組みだ。

開発は2018年ごろから進められており、同年の「東京ゲームショウ2018」では、インディーゲームコーナーに出展してGuitを初公開した。その後も、音質の改善や楽曲の追加などを進めながら、開発を続けてきたという。

IVS2026の展示資料では、独自の特許技術を用いた「全世代対応型のグローバル楽器プラットフォーム」と位置付けられている。

■5,000万ダウンロードのギターアプリに見る世界市場の可能性
FOOT-SKILLSがGuitに大きな可能性を感じている理由のひとつが、スマートフォン向けギターアプリに対する世界的な需要だ。

担当者が例として挙げたのが、Android向けなどに提供されている「Real Guitar」だ。Google Playでは、5,000万回以上のダウンロードを記録している。

担当者は、こうした数字から、「スマートフォンでギターを演奏してみたい」と考えるユーザーが世界中に相当数存在するとみている。Guitの完成度を高めて海外にも展開できれば、大きな市場を狙えるのではないかという。

さらに構想しているのが、アーティストとの連携だ。

担当者は、CDなど従来型の音楽販売だけでは、アーティストが十分な収益を得にくくなっている状況を踏まえ、既存の楽曲をGuit上で「演奏して楽しめるインタラクティブコンテンツ」として提供することが、新たな収益機会につながる可能性があると話す。

単に音楽を聴くだけではなく、ユーザー自身が演奏に参加する。Guitは、そんな新しい音楽コンテンツの形も模索している。

■自分のペースで演奏できる「カラオケモード」
Guitには、通常の演奏だけでなく、より手軽に楽曲を楽しめる「カラオケモード」も用意されている。

一般的なリズムゲームでは、楽曲が一定のテンポで進み続けるため、操作に慣れていない人は曲についていけなくなることがある。一方、Guitのカラオケモードでは、演奏者の操作に合わせて曲を進められるため、自分のペースで演奏を楽しめるという。

担当者が将来的な活用先として考えているのが、高齢者向け施設などだ。

楽器の演奏が脳への刺激になることに着目し、将来的には研究者と連携して効果を検証したうえで、認知機能の維持などにつながるヘルスケア分野への展開を検討したいという。展示資料でも、演奏体験を通じて認知症予防や孤独の解消といった社会課題の解決を目指す「ヘルスケア×DX」が、ミッションとして掲げられていた。

ただし、現時点でGuit自体に認知症などへの予防効果が実証されているわけではない。今後、研究者との連携を含めて、その可能性を探っていく段階だ。

■小学校の先生から寄せられた「和音教育に使いたい」という声
教育分野にも、思わぬ可能性が見えてきている。
担当者がGuitについて小学校の教員に紹介したところ、音楽教育で和音を教えるために活用できないかという提案を受けたという。

担当者によれば、小学校の音楽教科書では和音を扱う部分が限られている一方、学校では児童がiPadなどの端末を利用する環境が広がっている。そこで、児童が使う端末にGuitを導入し、実際に音を鳴らしながら和音を体験する教材として活用するアイデアが生まれた。

スマートフォンのように端末を手で持って演奏する方法は授業では使いにくいことから、教員から画面レイアウトについて具体的な要望も受け、それを開発に取り入れているという。

まだ教育現場への本格導入が決まっている段階ではないものの、エンターテインメント用途だけにとどまらない、Guitの可能性を示すエピソードといえるだろう。

■現在106曲を収録、海外楽曲の拡充も視野に
取材時点で、Guitには106曲が収録されており、日本の楽曲が中心だという。

担当者によると、楽曲の利用に必要な著作権処理を行いながら収録を進めており、一部の海外楽曲も搭載している。ただし、海外では楽曲ごとに関係する権利者や契約の仕組みが異なるケースがあり、海外楽曲の拡充には、権利処理やコストなどの課題もあるという。

そのため、まずはスマートフォンそのものを楽器として演奏する体験を広げながら、海外展開に向けた課題を一つずつクリアしていく考えだ。

■ベース、ウクレレ、三線へ――スマホを「楽器プラットフォーム」に
Guitの構想は、ギターだけにとどまらない。
担当者は今後について、ベースやウクレレ、三線など、さまざまな楽器への展開にも意欲を示す。

さらに、演奏中にリズムを鳴らし続け、途中で演奏を休んでも、好きなタイミングから再び参加できるような機能も構想している。決められたタイミング通りに操作する音楽ゲームとは異なり、演奏者が自由に参加したり休んだりできる、楽器らしい体験を目指しているという。

複数人での演奏も可能だ。現状ではインターネットを介したオンラインセッションには対応していないものの、その場に集まった複数人がそれぞれのスマートフォンを使い、一緒に演奏できる。

特別な機材を接続しなくても、スマートフォンのスピーカーだけで音を出せることもGuitの特徴だ。近年のスマートフォンはスピーカー性能も向上しており、端末を取り出してすぐに複数人で演奏を始められる手軽さを生かしていく考えだ。

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■2018年から開発、クラウドファンディングも検討
Guitは2018年の東京ゲームショウで初公開されたものの、その後も音質の改善や楽曲の追加などを続けており、一般向けの本格リリースには至っていない。

担当者は「とにかく早くリリースしたい」と話す。

その方法として、現在検討しているのがクラウドファンディングだ。Kickstarterなどで電子楽器のプロジェクトが大きな資金を集めた事例も参考にしながら、資金調達とユーザーの獲得につなげることを考えているという。

ただし、具体的なクラウドファンディングの実施時期や目標金額が決まっているわけではない。

2018年の初公開から長い開発期間を経てきたGuit。IVS2026への出展は、プロダクトをあらためて多くの人に知ってもらい、リリースや事業化につなげるための機会となった。

■ポケットに楽器。誰とでもセッション。
Guitが目指しているのは、単なるギターシミュレーターではない。
展示資料には、「ポケットに楽器。誰とでもセッション。」というメッセージが掲げられていた。

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高価な楽器を購入したり、長期間にわたって練習したりしなければ音楽に参加できないというハードルを、普段持ち歩いているスマートフォンによって下げる。さらに、音楽コンテンツや教育、ヘルスケアなどへ用途を広げることで、スマートフォンを新たな「楽器プラットフォーム」にしていく構想だ。

会場で実際に披露されたGuitは、スマートフォンを横向きに握り、指でコードを選びながら演奏するという、一見するとゲームのようなインターフェースだった。しかし、画面を操作して実際にコードを鳴らし、周囲の人とその場で演奏できる体験には、「スマホを楽器にする」という同社のコンセプトが端的に表れていた。

長年にわたって開発を続けてきたGuitが、今後どのような形で正式にリリースされ、世界のユーザーへ届けられていくのか注目したい。

FOOT-SKILLS株式会社

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新井 一
東洋経済新報社
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