中期成長力大のジェネリック関連に妙味! 注目銘柄を斬る【ビジネス塾】


今回は、成長続く後発医薬品(ジェネリック)各社を取り上げたい。

2014年以降、新薬、とくに利用者の多い生活習慣病薬の特許切れが続くことから、後発薬各社は大型の後発薬を相次いで発売するなど、積極的な投資計画を打ち出している。医療費を抑制したい政府もこれを積極的に後押ししており、初めて発売される後発薬の価格を新薬の5~7割に押さえる方針を打ち出している。

2015年には数量ベースで、後発薬が特許切れ医薬品の過半数となる見込みで、まさに成長市場といえる。各社の投資額は、合計で500億円規模に達すると予想される。

■専業大手3社の取り組み
沢井製薬<4555>は、中期経営計画で定めた2014年度の売上1000億円の達成をめざし、千葉県茂原市にある工場を増強する。現在の生産規模は80億錠規模だが、2015年3月期には生産能力を100億錠に高める。さらなる増強も検討している。MR(医薬情報担当者)体制では、中期計画にある500人体制をめざして増員を続ける予定。

製品では、抗ウイルス薬バラシクロビルや抗がん剤ドセタキセルなどの投入を予定、後者はアルコール成分非含有の2バイアルタイプで、外来を中心に差別化ニーズを取り込むことを期待している。

日医工<4541>も、現在60億錠規模の年産能力を、14年春をメドに100億錠に増やす。そのため、富山県滑川市の工場を増強するとともに、アステラス製薬<4503>の子会社から静岡県内の工場を買収。この敷地内には、研究開発拠点も新設し、高付加価値製品の開発力を強化する。バイオ後発薬の開発・営業も強化する。資金の一部は、新株予約権を活用した増資により約128億円を調達して調達する。

このほか、塗り薬などを増産するために、山形県天童市の工場への設備投資も行う計画だ。委託していた製品の内製化も進め、コストを抑えるもくろみ。

製品では、認知症治療薬・ドネペジル塩酸塩で、飲みやすい内服ゼリー薬を発売したり、唯一、血行促進薬・ビーソフテン油性クリームの後発薬を発売するなど、他社との差別化を意識的に進めている。

海外展開では、有望市場であるベトナムの製薬会社、ハノイファーマと業務提携。ベトナムでの販売申請手続きや営業で協力を受ける。アジア諸国では、タイに駐在員事務所を開設し、現地の製薬会社バイオラボと業務提携を結ぶなど、成長市場への展開を急ぐ。

東和薬品<4553>も、山形県上山市の工場の能力を約1割増強、50億錠規模にする。傘下の大地化成が兵庫県姫路市で建設中の原薬製造工場が、埋設物の影響で工事が中断していた問題では、用地計画を一部変更することで対応、安定的な原薬確保に向けた課題をクリアするメドが立った。製造開始は、2015年3月を予定する。

製品の差別化では、脂質異常症治療薬・アトルバスタチンなどで、錠剤の割線の位置に合わせて製品名印刷を行う技術を、世界で初めて開発した。医療従事者が分割調剤する際の薬剤特定や、患者の飲み間違い防止に役立つころが期待されている。

■今後の株価動向に注目
厚生労働省は2017年度末の後発薬利用率を、欧州諸国並みの60%にする目標である。現在の普及率は新基準でも約45%程度で、意欲的な目標設定と言える。後発薬各社の課題は、各社の製品が競合する中で差別化を打ち出すこと。抗ウイルス薬・バラシクロビル錠のように、30社以上が競合する品目もあり、剤形や印字を含めた工夫が求められている。

上記専業メーカー以外の、大手製薬会社も子会社などを通じての開発・参入を急いでおり、政策の「風」に乗るジェネリック医薬品各社への期待は、否が応でも高まっている。

このところ株価面では沢井製薬優位、日医工、東和薬品の苦戦が続いているが、苦戦組も成長過程での生みの苦しみとでもいえるだけに、この押し目は積極的に拾ってみたい。各社の今後の成長=株価上昇に期待してみたい。

(小沼正則)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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