- 2025-9-12
- ITビジネス
- あらゆる廃棄物を人工皮革など「選べる素材(再資源)」に変換!新循環ソリューション「.Garbon」始動 はコメントを受け付けていません
株式会社Gabは、炭化技術によって、これまで再利用が困難だった廃棄物を独自のプロセスで炭化し、人工レザーをはじめとする多様な"選べる素材(再資源)"へと変換する新循環ソリューション「.Garbon(ガーボン)」を2025年9月10日(水)に始動した。その発表に先がけて、9月9日(火)にメディア向けの先行発表ラウンドテーブルを開催し、同社代表の山口萌斗氏が登壇した。
■炭化技術で廃棄ゼロ社会へ、.Garbon(ガーボン)始動
.Garbon(ガーボン)は、これまで再利用が困難だった廃棄物(プラスチック、衣服、食料残渣などあらゆる有機系廃棄物)を炭化して、均質な炭の粉末へと変え、人工レザーなど、用途に合わせて高付加価値素材に変換する新循環ソリューション。従来の方法では分別が難しく、汚れや劣化によって再利用できず、焼却するしかなかった廃棄物も再資源化することができる。
企業が抱える廃棄物問題の解決と、廃棄ゼロ社会の実現を目指す取り組みとして企業連携も進めていく予定であり、すでにトヨタ自動車からの賛同を受け、「TOYOTA UPCYCLE」にて先行的に実証を開始した。
■一億円の資金調達を成し遂げたスタートアップ
メディアラウンドテーブルにて、山内氏は自身と同社の来歴について「静岡大学在学中に株式会社Gabを起業し、現在6期目のスタートアップです。24年9月には一億円の資金調達に成功しました」と紹介。
また「調達資金をもとに、今までやってきた事業の延長上ではありますが、全く新しい成長力の高いような新サービスを作ろうということで、約1年前から進めてきたのが、この『.Garbon』です」と、新サービスが生まれた経緯を語った。
同社はこれまで、「ゴミ問題の打開策」をテーマに、リテール事業、エンタメ事業に取り組んでいて、.Garbonの始動により、新たにマテリアル事業も加わることになった。
■Garbage(廃棄物)から生まれた Carbon(炭素)=「.Garbon」
.Garbonとは、これまで再利⽤が困難だった廃棄物を独自のプロセスで炭化し、⼈⼯⽪⾰をはじめとする多様な“選べる素材(再資源)”へと変換する新循環ソリューション。プラスチックや衣服、食料残渣など、従来は焼却するしかなかった有機系廃棄物を均質な炭の粉末へと変換する技術から生まれた。
炭の粉末は黒⾊顔料としての汎用性に加え、消臭・抗菌・遠⾚外線効果などの機能も備え、用途に応じて⼈⼯⽪⾰や建材、繊維など幅広い高付加価値素材へと展開が可能。.Garbonによって、企業や自治体は廃棄物量・CO₂排出量・費⽤の削減と同時に、資源循環率の向上や新たな収益創出を実現することができる。
■あらゆる廃棄物を再資源化する“炭化技術”とは
炭化とは、廃棄物(Garbage)などの有機物を無酸素で加熱し、熱分解する処理⽅法。炭化は、燃焼(焼却)のように酸素を⼤量に使⽤しないため、CO₂排出量を約 30〜50%(入口の廃棄物の種類によって変動)抑えながら「炭化物(Carbon)」を生成することができる。処理された廃棄物のおよそ80%は熱エネルギーに、残り20%は炭化物(PETの場合)として固形資源化される。
また、⾦属を除くプラスチックや衣類、食品残渣など、分別が難しい有機系廃棄物でも炭化が可能なため、焼却に⽐べてCO₂排出量を削減しつつ、あらゆる廃棄物の再資源化が実現する。
■人工皮革、顔料・染料、壁紙など.Garbon で作り出すことができる新素材
.Garbonの重要な要素は、炭化物の活⽤出⼝のバリエーションにある。炭化可能な廃棄物の多さに加えて、活用出⼝のバリエーションが多いことにより、業界を問わず、役目を終えた自社製品を株式会社Gabが回収して炭化し、炭の粉末を原材料として再利⽤し、企業独自の資源循環ストーリーのある商品開発が可能となる。
再資源化される素材として、人工皮革、左官材、中綿、ペレット、顔料・染料、消臭・抗菌剤、壁紙、肥料が挙げられている。
■新素材の⼀つ「.Garbon Synthetic Leather 」(人工皮革)
「.Garbon Synthetic Leather(ガーボン・シンセティック・レザー)」は、.Garbonから生み出される循環型新素材の⼀つ。廃棄物由来の炭の粉末を樹脂に配合することで消臭・抗菌などの機能性が向上し、昨今「リカバリーウェア」として話題となっている遠⾚外線効果の実証も予定されている。
この人工皮革は、レザージャケットやシューズ、バッグ、名刺⼊れなどのファッションアイテム、そしてインテリア、内装建材まで、レザーを使⽤するアイテム全般のとても幅広い⽤途に利用できる。
「.Garbon Synthetic Leather」は、国内の⼈⼯⽪⾰メーカーと共同開発することで、10年耐久・摩耗・引っ掻き・剥離強度テストなどをクリアする⾼品質な基本性能を有すると共に、⾼級インテリアや有名アパレルブランドに採⽤されるほどの、高い意匠性やアレンジ性も強み。また、人工皮革ならではの、圧倒的な軽さ(本⾰の半分以下※同社調べ)、高い撥水性による手⼊れの手軽さなども備えている。
サステナビリティとしても、本革と比較した際のCO₂排出量の削減効果や使⽤後再度炭化することで100%再資源化可能な点があり、自社の資源循環ストーリーを活かした商品開発も可能になる。
■炭化技術の中核パートナー「株式会社大木工藝」
.Garbonの循環型素材開発は、衣類やプラスチックを炭化可能な独自特許技術を有する、炭化技術のパイオニア・株式会社大木⼯藝の協⼒によって実現している。
.Garbonの展開に向けて、株式会社⼤⽊⼯藝と独占ライセンス契約を締結し、炭化処理から素材開発、製品化に⾄るまでの全⼯程を⼀貫して推進できる体制が構築された。これにより、従来処理が困難とされていた混合廃棄物に対しても、確かな技術⼒と研究開発体制により、炭化物の安定供給と⾼機能素材への変換ができ、社会における“焼却依存”からの脱却をも可能にしている。
■TOYOTA UPCYCLE プロジェクトとの実証実験を始動

トヨタ自動車株式会社 新事業企画部 事業開発室 BE creationグループ トヨタアップサイクルプロジェクトオーナー 中村 慶至 氏 / NORIYUKI NAKAMURA
同社は、トヨタ自動車株式会社のカーボンニュートラル推進活動のひとつである、「TOYOTA UPCYCLE」プロジェクトと連携し、自動車製造⼯程でどうしても発生する廃棄物や使⽤済み素材を対象に、資源循環モデルの実証実験を開始した。TOYOTA UPCYCLE プロジェクトの取り組みの⼀環として、廃棄物を新素材に変換するプロセスを構築し、持続可能な自動車産業への展開を目指す。
■ .Garbonの特徴
・炭化技術を⽤いて、あらゆる廃棄物(金属を除くプラスチックや衣類、食品残渣など、分別が難しい有機系廃棄物)を人工皮革をはじめとする“選べる素材”へと再資源化が可能
・炭化物の特性である消臭・抗菌・遠赤外線効果などの機能を備えることで、従来にない高付加価値素材の製造が可能
・用途(活用出⼝)の多様性を備え、企業ニーズに応じて、選択・購入が可能。企業ごとに資源循環ストーリーのある商品を生み出すことも可能
・「廃棄処理費⽤」ではなく「素材購⼊費⽤」として対価を⽀払う新しいビジネスモデル
・炭化から用途設計までを⼀貫して支援し「新たな資源循環(Next Cycle)」の実現を目指す
■株式会社Gabの今後の展望
同社は、今後、自動車業界にとどまらず、ファッション、建材、⽇⽤品など幅広い業界への展開を予定。「廃棄物を買い取り → 炭化 → 素材化 → 再流通」という循環インフラを社会に根付かせ、廃棄ゼロ(ゼロウェイスト)社会の実現を目指す。
一方で、廃棄物の種類や発生状況は業界や企業ごとに異なるため、.Garbon 単独の取り組みには限界があるという。そこで.Garbon は、炭化技術以外の再生利⽤技術で循環型社会の実現に挑む、他の企業との横断的なパートナーシップを通じ、各企業・自治体のゼロウェイストに必要な解決策を網羅的に提供する「ゼロウェイストコンソーシアム」を構想している。社会全体が⼀丸となり、廃棄ゼロを実現する新たな資源循環モデルの構築を目指す。
また、.Garbon本格展開に先立ち、「炭化検証つき伴走導入プラン」を初回10社限定での募集が開始している。企業ごとに最適な資源循環の仕組みを設計し、導入のハードルを下げながら実効性も伴うよう支援が行われる。
テクニカルライター 後藤 響平
■株式会社Gab
■ITライフハック
■ITライフハック X(旧Twitter)
■ITライフハック Facebook
■ITライフハック YouTube
■カルチャーに関連した記事を読む
・隙間収納できる!スリムな折りたたみ脚立、新色レッド
・炎を纏った4枚肉、クセになる辛さ!バーガーキング『インフェルノ ザ・ワンパウンダー』
・日本から紡いだ40年の軌跡!旅する刺繍展 ハンガリーへの想い
・安心設置!チャイルドロック構造で、小さなお子さまが簡単に開けれないケーブルボックス
・“旨辛”か“さっぱり”が選べる!丸亀製麺、冷たいうどん2種登場