自宅で録画したテレビ番組をスマートフォンやタブレットで視聴するには、自宅のネットワーク内でストリーミング視聴するか、録画した番組をスマートフォンなどにコピーすることが必要だった。
外出先で視聴するためには、自宅で事前にPCや端末のローカルストレージにコピーしておく必要があった。2013年に「DTCP+」という新しい仕組みが導入され、自宅で録画したテレビ番組を外出先からネット経由で直接視聴できる機器が登場した。
■IPネットワークに流れる映像を管理するDTCP-IP
テレビ番組の著作権保護としてDTCP-IPが利用されており、これに対応した機器やアプリを使えば、同一ネットワーク上にあるスマートフォンやタブレットでテレビ番組を視聴することができる。
しかし、同一ネットワークを離れた外出先で自宅で録画した番組を見ることはできない。もちろん、事前に自宅でスマートフォンなどに録画した番組を端末側にコピーしておけば視聴できる。これだと外出中に録画予約した番組を視聴することは不可能だ。また、地デジ番組の記録動画は、容量が大きいため、大量のテレビ番組をコピーしておくのは難しいという面もある。
■同一ネットワークにいなくてもストリーミングできる「DTCP+」
2013年に入り、DTCP-IPの最新仕様となる「DTCP+」が登場した。この新しい仕様では、外出先などの自宅外の環境から、インターネットで自宅で録画したテレビ番組をストリーミング配信できるようになった。
たとえばインターネット経由で自宅のサーバーに接続し、録画していた動画を視聴できるような仕組みを作ることはできる。その際に問題になるのが動画配信サイトのように誰でも動画を視聴できてしまうケースだ。IDとパスワードさえ正しければ、どんな端末でも再生できてしまうと著作権上まずい。
そこでDTCP+なのである。この仕様では、あらかじめ登録した機器であることを確認する必要があるためアクセスしただけでは視聴できないようになっている。インターネット経由でアクセスし、さらに登録されている機器であることが確認されて初めて再生できるようになっているので権利侵害になることはないというわけだ。
単純に自宅内のLANでDTCP-IPを使うだけなら、対応した録画機器とスマートフォンなどの再生デバイスがあれば良かったが、DTCP+を使って外部からアクセスするためには配信用の専用ハードウェアが必要になる。外出先で視聴したい番組を専用ハードウェアに転送し、その転送された番組を外出先で視聴する形になる。
機種や機器の組み合わせにもよるが、録画された番組をDTCP+対応機器へ自動転送する機能などが便利に使われているようだ。この仕様は2013年に始まったばかりの仕組みで、対応機器などの選択肢がまだまだ豊富なわけでないが、これからさまざまな対応機器が登場してくることを望みたい。
上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]
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