「楽しい英語」を中学生になっても!EnumaのCEO・CPOに聞く「トド英語アカデミー」の狙い

  • 2026-10-23
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遊び感覚で英語に親しんでいた子どもが、中学校に進むと、文法や単語の暗記に戸惑う。楽しかったはずの英語が「難しい勉強」に変わるとき、学びへの意欲をどうつないでいけばよいのだろうか。小学校高学年・中学生向けの「トド英語アカデミー」は、そうした課題に向き合う英語学習サービスだ。

今回、既存の「トド英語」で培ってきた学習体験を土台に、成長した子どもたちに合うデザインや、自分で選べるコーチ、AIとの対話などを取り入れている。

開発の背景から学習効果の検証、家庭での使い方、そして日本での事業展開まで、Enuma Japan合同会社CEO/職務執行者の趙南薫(チョウ・ナンフン)氏と、Enuma Inc. CPO(最高製品責任者)のHYUNG-JIN KIM(キム・ヒョンジン)氏に話しを聞いた。

■「トド英語の次は?」という保護者の声が出発点
──小学校高学年・中学生向けに「トド英語アカデミー」を開発した理由を教えてください。
趙氏:
一番のきっかけは、すでに「トド英語」を利用している保護者から、「卒業したら次はどうすればいいのか」「続けて学べるものを作ってほしい」という声をいただいたことです。

「トド英語」で楽しく英語に触れ、学習習慣が身に付いた子どもでも、小学校高学年や中学生になると、急にテストのための勉強や暗記が中心になり、英語をつまらなく感じてしまうことがあります。それは、とても残念なことだと思っています。

せっかく育った英語への親しみや学習意欲を途切れさせたくありません。楽しく学ぶ習慣を、その先の英語学習へつなげたいという思いから開発しました。

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──日本の子どもが、小学校から中学校へ英語学習を進めるうえで、最も大きな壁は何だと考えていますか。
趙氏:
小学校では英語に親しみ、聞いたり話したりする活動を中心に学びます。一方、中学校では語彙や文法の学習が本格化し、読む・書く力もより求められるようになります。
いわゆる「英語の中1ギャップ」が、大きな壁だと考えています。
その変化によって、「英語は難しい勉強なのだ」と感じ、苦手意識を持ってしまう子どもがいます。

アカデミーでは、体験することと、その体験を通じて理解することを結び付けています。ゲームの仕組みやスモールステップの学習を取り入れ、文法の構造や長文読解にも、パズルを解くような感覚で取り組めるようにしました。直感的に楽しみながら、きちんと理解できる設計を目指しています。

さらに、AIを活用した対話型のアクティビティも用意しています。間違いを怖がらず、自分のペースで、インプットとアウトプットを繰り返せるようにするためです。

──高学年・中学生が、自分から学び続けたくなるように、どのような工夫をしましたか。
キム氏:
最も悩んだことの1つが、ビジュアルコンセプトでした。思春期に差しかかる子どもたちに、「幼い子向けだ」と感じさせず、「クールだ」と思ってもらえるデザインが重要だと考えました。

もう1つは、自分で選択したという感覚です。小さな子どもには、楽しい反応や刺激が大きな意味を持ちます。一方、小学校高学年から中学生くらいになると、自分の意思で選んだと感じられることが大切になります。

そこで、4人のコーチから、自分が学びたいスタイルに合うコーチを選べる仕組みを取り入れました。

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──子どもたちの反応を見て、開発中に変更した部分はありますか。
キム氏:
コーチと自由に話せるチャットボットです。当初は、英語に関する質問にだけ答える仕組みにしていました。

ところが、テストをしてみると、子どもたちはコーチにいろいろなことを聞いてきます。ちょっとした雑談から、アカデミーの仕組みがどう動くのかという質問まで、話題は幅広かったです。

そうしたやり取り自体を楽しんでいることが分かり、英語学習に関する質問だけでなく、さまざまな話題に対応できるように改良しました。

──アカデミーで学ぶことで、子どもは具体的に何ができるようになるのでしょうか。
趙氏:
まずは英語の基礎を身につけ、身近なことについて短い英文を理解したり、自分のことを簡単な英語で表現したりできるようになることを目指しています。現在リリースしているバージョンでは、英検®5級〜4級レベルの内容を学ぶことができます。ただし、これはアカデミーの完成形ではありません。今後、学習できるレベルや内容を順次広げていく予定です。

将来的には、アルファベットや基礎的な単語を学ぶ段階から始めて、英検®準2級や2級レベルまで学習を進められるサービスを目指しています。対象年齢も、現在の中学生までという範囲から、高校生くらいまで広げていきたいと考えています。

学習スタイルとしては、1日約15〜20分を積み重ねることを想定しています。将来的には、1年半から2年ほどかけて学習を進めるカリキュラムを構想しています。最終的には、単語や文法を覚えるだけでなく、自分の考えを英語の文章で表現したり、ある程度の長さがある物語や記事を読み解いたりできる力を育てたいと考えています。

──そうした学びを実現するために、開発段階ではどのような検証を行ってきたのでしょうか。
趙氏:
リリースの約2か月前から、一部の先行利用者に使ってもらい、アンケートなどを実施してきました。回答した25家庭のうち23家庭から、正式リリース後、有料になっても継続利用を検討したいという前向きな反応が得られています。

特に印象に残ったのは、「親が言わなくても、子どもが1人で黙々と取り組んでいて驚いた」「自主的に学べる内容になっていてよかった」といった声です。

子どもが自分から取り組める教材という点では、目指してきた方向への手応えを感じています。

一方、実際に英語力がどの程度向上するかについては、長期的な検証が必要です。今後も学習データを蓄積し、継続的に学習効果を検証していきたいと考えています。

──AIには、子どもの学習を支えるうえで、どのような役割を担わせていますか。
キム氏:
言語学習を突き詰めると、相手とやり取りできるかどうか、つまりコミュニケーションにつながります。1人で学習しているときにも、話し相手になってくれる存在が必要です。
現在のAI技術なら、その役割を担えると考えました。

AIは会話の相手になるだけでなく、発音練習の相手にもなります。子どもが英文を書けば、それを読んでフィードバックを返すこともできます。自由に対話したいときには、その相手にもなります。

1人で学んでいても、言葉を使い、反応を受け取れます。そのための相手として、AIを活用しています。

──保護者には、どの程度の関わりを想定していますか。英語を教えるのが苦手な保護者でも利用できますか。
趙氏:
「トド英語」と同じく、保護者が教えなくても、子どもが1人で学習を進められる設計にしています。英語が苦手な保護者にも、安心して使ってもらいたいと思っています。

ただし、子どもに任せることと、まったく関心を持たないことは違います。子どもが今どこまで学んでいて、何が得意で何が苦手なのかを把握できるよう、学習レポートを提供します。

LINEのメッセージから学習状況を確認しやすくし、詳しく知りたい場合には保護者向けのレポートページで確認できるようにしています。

そのデータを見ながら、子どもの学習を見守り、褒めてあげてほしいと思います。それが保護者にお願いしたい役割です。

学習が止まってしまった場合も、意欲を高めるためのインセンティブや、AIによる子どもに寄り添った個別のメッセージなどでサポートします。保護者の働きかけに加え、教材の側でも学びを続けられるよう支えていきます。

──英会話教室や学習塾、ほかのアプリと比べて、保護者に最も評価してほしい違いは何でしょうか。
趙氏:
分かりやすく言えば、コストパフォーマンスです。費用の面だけでなく、送迎が必要なく、保護者の時間や手間の負担を抑えられることも評価してほしいと思います。

もちろん、英会話教室や塾、オンライン英会話にも、それぞれの良さがあります。ただ、英語を本格的に学びたいと思っても、「今、何をすればいいのか」「どのような方法が自分に合うのか」と悩む家庭は多いです。

その最初の一歩として、アカデミーを選んでもらいたいと考えています。

アカデミーだけですべての英語学習が完結するという意味ではありません。英語の楽しさを知り、自分の考えを伝えられるようになった先で、もっと会話を磨きたければ教室を併用してもよいし、資格取得を目指すなら、そのための学習へ進んでもよいと思います。

そうした次の学びへ発展していくための土台を、家庭で作れる教材でありたいと考えています。

──日本事業を、今後どのように成長させていきたいと考えていますか。
趙氏:
まずは、小学校高学年・中学生向けの自律型英語学習サービスとして、日本でしっかりと認知される存在になりたいと考えています。

家庭向けの提供に加えて、学校や自治体との連携も視野に入れています。GIGAスクール構想によって1人1台の端末が使える環境が整い、子どもたちのデジタル機器への習熟度も高まっています。学校や自治体が端末をさらに活用しようとする中で、放課後学習や補習教材として導入される可能性もあると考えています。

事業の指標も、会員数やダウンロード数が増えればよいとは考えていません。

子どもたちがどれくらい使い続けているか、自分で設定した目標にどこまで到達できたか、学習がどこまで進んだか。そうした継続や成果に関する指標も重視しながら、製品を改善していきたいと考えています。

──3児の父としての経験は、製品づくりにどう生きていますか。また、「今から英語を始めても遅いのでは」と悩む保護者に伝えたいことはありますか。
趙氏:
私には、高校生、中学生、小学生の3人の子どもがいます。勉強してほしいと思っていても、自分も忙しく、横に付いて教える時間を十分に取れません。だからといって、嫌がる子どもに無理やり勉強をさせたくもありません。多くの保護者と同じように、悩みや葛藤があります。

だからこそ、親が教えなくても子どもが夢中になって学べる教材は必要だし、それを提供することが私たちの役割だと思っています。

私自身、製品に魅力を感じてEnumaに加わったのですが、そのときには、すでに小学校高学年になっていた子どももいました。幼児のころから英語を学んでいたわけではありません。それでも「トド英語」を使うことで英語学習に対する考え方が変わり、英語を好きになる姿を、親として見てきました。

その経験から、英語学習を始めるのに遅いということはないと感じています。

早く始める良さもあるでしょう。ただ、いつ始めるか以上に、自分に合うペースで楽しく学び、毎日少しずつ「できた」「分かった」を積み重ねることが大切です。

子どもが自分でできたと感じられる、その最初の一歩を支える教材として、「トド英語」や「トド英語アカデミー」を活用してもらいたいと思います。

取材を通じて筆者が印象に残ったのは、英語学習を続けるうえで、子どもの成長に合った楽しさや、自分で選ぶ感覚を重視している点です。AIも、子どもが英語を使い、反応を受け取るための相手として位置付けられています。

長期的な英語力の向上については、今後の検証を待つ必要があります。それでも、保護者が教え込む負担を抑えながら、子どもの「自分でできた」を支えるという方向性は、家庭学習の課題に向き合うものです。学ぶ楽しさが、どのように確かな力へつながっていくのでしょうか。今後の内容拡充と、学習成果の検証に注目したいと思います。

──ご多忙中のところ、本日はありがとうございました。

■「トド英語アカデミー」公式サイト

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