暗号資産の実用に向けた次世代金融インフラ!イオレ「Neo Crypto Bank」構想を発表

  • 2025-10-17
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株式会社イオレは2025年10月14日(火)、暗号資産金融事業に関する戦略発表会を開催した。同社は、暗号資産を単なる「保有」対象とする財務戦略から、「事業活用・収益化」へと軸足を移す経営フェーズに入ったと説明した。国策としてWeb3.0推進が掲げられる中、市場が抱える課題に真正面から取り組む姿勢を明確にし、ステーブルコインの台頭など時代の潮流を踏まえた次世代金融インフラ構想「Neo Crypto Bank」の詳細と、その実現に向けた事業ロードマップが、同発表会で初めて公開された。

さらに、次世代金融をテーマとしたクロストークセッションも行われ、金融分野の第一線で活躍する専門家や、Web3.0事業を牽引するトップランナーが一堂に会した。最新の知見と独自の視点を交えながら、暗号資産がもたらす可能性とその未来について、活発な議論が交わされた。

■イオレ瀧野CEO、「信頼を再設計する」―AIとブロックチェーンで次世代金融基盤を構築へ

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イオレ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO の瀧野諭吾氏は、講演の中で「次の時代に向けて、何を生み出すのか」をテーマに掲げ、同社が取り組む新たな挑戦について語った。

瀧野氏は、10代の頃からインターネットに魅了され、情報技術を通じて世界とつながることに強い興奮を覚えてきたと振り返る。しかし一方で、情報が氾濫する現代において、「社会から信頼が失われつつある」と指摘し、「テクノロジーの進化は、失われた信頼を取り戻すものでなければならない」と強調した。

2000年代、日本のモバイルゲーム産業やブロックチェーン技術は世界をリードしていた。しかし現在は、「問題を恐れるがあまり、リスクを取れない社会構造へと変化してしまった」と分析。加えて、外資系プラットフォームへの過度な依存にも警鐘を鳴らし、「テクノロジーは“与えられるもの”ではなく、“自ら設計し直すもの”であるべきだ」と語った。

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瀧野氏は、急速な円安や物価高が進む現在、日本円そのものの信用が問われている現状にも言及した。米中が国家戦略としてブロックチェーンを基盤とした金融インフラの構築を進める中、「日本も受け身でいるのではなく、価値を生み出す側へと回らなければならない」と強調した。

こうした危機感を背景に、同社は新構想「Neo Crypto Bank」を発表した。これは単なる金融ビジネスではなく、「AIとブロックチェーンを融合し、信頼を再設計する社会インフラ」と位置づけられている。デジタル上で資産を安全に預け、運用し、そして公正に利用できる仕組みを構築することで、新たな金融の在り方を提示しようとするものだ。

瀧野氏は最後に、「日本はかつて世界をリードしていた。そのDNAは今も残っている。今こそ“作る側”へと戻る勇気を持つべき時だ」と語り、技術と信頼の再構築に挑む決意を示した。

■ブロックチェーンで生活インフラを刷新する「Neo Crypto Bank」

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イオレ株式会社は、AIと暗号資産を融合させた新たな金融モデル「Neo Crypto Bank構想」を発表し、暗号資産の社会実装を目指す事業戦略を本格的に始動させている。同社 執行役員 CCO 兼 暗号資産金融事業責任者の花島晋平氏は、その全体像と今後のロードマップについて講演で詳しく語った。

花島氏によれば、Neo Crypto Bank構想は、ブロックチェーン技術を活用し、資産の「保有・決済・運用」を一体化することで、従来の金融システムと同様のプロセスを踏みながら経済圏を拡大していく取り組みである。ビットコイン誕生から15年以上が経過し、暗号資産は一般層にも浸透し始めているものの、社会インフラとしては依然発展途上にある。こうした状況下で、上場企業としての信頼性とガバナンスを強みに、健全な市場形成を主導していく方針を明らかにした。

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構想の中核を成すのが、Web3.0時代に対応した「スーパーアプリ」の開発である。資産の保管・保全、決済・送金、外部連携、資産運用といった金融機能を一つに統合し、日常生活やビジネスの中で暗号資産を自然に利用できる環境を整備する狙いだ。

このアプリは、ホテルのチェックインや配車サービスなど、さまざまなWebサービスとも連携し、暗号資産による決済や資産活用をシームレスに行える仕組みを提供する。暗号資産を「特別なもの」ではなく、「使える金融」へと進化させることを目指している。

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イオレはすでに複数の企業と提携を進めており、その実装に向けた取り組みを加速させている。Slash Vision社との協業では、暗号資産を直接決済に用いることができる、国内初の仕組みを推進。さらに、J-CAM社との連携によりレンディング(暗号資産の貸付)事業を展開し、運用中の資産をそのまま決済に活用できる「運用と利用の融合」を実現するモデルを構築している。

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さらに同社は、AI技術の導入によって決済・EC領域の高度化にも取り組んでいる。ユーザーの嗜好やニーズを分析し、パーソナライズされた提案を行うことで、取引の安全性と利便性を同時に高める狙いだ。これにより、単なる暗号資産の管理を超え、AIが最適な金融行動を導く「次世代型金融体験」の実現を目指している。

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イオレは、まずキャッシュレス決済市場の1%を獲得することを当面の目標に掲げている。年間約4億回・1.2兆円規模の決済実現を視野に入れ、2027年にはスーパーアプリのローンチを予定している。

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花島氏は講演の締めくくりとして、「暗号資産を投機の対象ではなく、実生活を支える金融インフラとして社会に根づかせたい」と語り、AIと暗号資産を融合した新たな経済基盤の創出に向けた強い決意を示した。

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■金融、事業のトップランナーが語り合う、次世代金融のクロストーク

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トークセッションでは、イオレの花島氏がモデレーターを務め、株式会社finoject 代表取締役CEOの三根公博氏、Animoca Brands株式会社 代表取締役社長 CEOの天羽健介氏、SBI VCトレード株式会社 執行役員 CTOの池田英樹氏が登壇。暗号資産の未来、とくにステーブルコインの動向と金融業界への影響について議論が交わされた。

セッションではまず、ステーブルコインを取り巻く現状が整理された。日本国内では、JPYCが初めて認められたステーブルコインとして注目を集めているほか、SBI VCトレードがUSDCの取り扱いを開始するなど、市場が新たな局面を迎えていることが紹介された。

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議論はステーブルコインの規制やリスク管理にも及び、特に担保資産の管理方法や海外送金における課題が取り上げられた。また、企業による暗号資産トレジャリー運用や、アルトコインをどう位置づけるかといった実務面での課題と可能性についても意見が交わされた。暗号資産の未来について、お金のデジタル化、金融と非金融領域への拡大、法整備の加速といった見解が示された。

イオレは、AIとブロックチェーンを核とする「Neo Crypto Bank」構想を通じ、暗号資産を日本発の金融インフラへと昇華させる覚悟を示した。ステーブルコインをはじめとする議論からは、技術だけでなく信頼とガバナンスの再構築が不可欠であることが浮き彫りとなった。日本が再び“作る側”へと舵を切れるか――その未来を占う一歩が、今回の発表会だった。
テクニカルライター 後藤 響平


株式会社イオレ

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