村田製作所とともにアイデアをカタチに!共創プロジェクト「KUMIHIMO Tech Camp with Murata 2024」の仕掛人に聞く

  • 2024-11-22
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左が株式会社村田製作所 新規事業推進1部 シニアエンジニア 伊藤貴紀氏、右が同社 技術管理部 渡邉太一氏

株式会社村田製作所が2024年10月24日より開始した「KUMIHIMO Tech Camp with Murata 2024」は、世の中に新たな価値を生み出すアイデアを広く募集し、そのアイデアを同社とともに形にする共創プロジェクトだ。4回目の開催となる今回は、同社が指定する製品や開発品にとらわれないオープンエントリー制を採用し、あらゆる部品や技術でアイデアを支援する。面白いプロジェクトであるだけに、関心を持っている人も多いだろう。そこで、本プロジェクトの事務局メンバーである同社新規事業推進1部シニアエンジニアの伊藤貴紀氏、技術管理部の渡邉太一氏に話を伺った。

■アイデア実現のための共創プロジェクト
――簡単に自己紹介をお願いします。
伊藤氏:私は、ヘルスケア関連の新規事業推進に従事しております。KUMIHIMO Tech Camp with Murata(以下KUMIHIMO)は新規事業創出を目的とした活動ですので、その流れで事務局のメンバーとして参加しております。

渡邉氏:技術管理部の渡邉でございます。主に研究開発のマネジメントを担当し、弊社がどのような技術開発を行っているかを「見える化」しています。特に社内において、技術開発者と事業開発者が同じテーブルで新規事業の方向性について議論できることを目的に「見える化」に取り組んでおります。

――「KUMIHIMO」の概要について教えて下さい。
伊藤氏:KUMIHIMOは、スタートアップや大学などが持つ新しいビジネスアイデアを、弊社のハードウェアの活用によって実現することを目指す共創プロジェクトです。

KUMIHIMOでは、コンテスト形式でアイデアを募集し、選考の結果、弊社と共創することが決まった場合には、単に部品を供給するだけでなく、その部品をどのように活用するか、アイデアをどのように実現するか、さらには量産方法や販売戦略まで、アイデアのフェーズに応じて異なる共創を進めていきます。アイデアの実現に向けて、各段階で共に取り組んでいくプロジェクトです。

――どのような背景で生まれたのでしょうか?
伊藤氏:お互いに足りない部分を補い合いながら、アイデアの実現に向けて取り組むプロジェクトであるため、「共創プロジェクト」と呼んでいます。

ハードウェアはソフトウェアと比べて開発に時間がかかるため、特にスタートアップ企業ではそのプロセスがアイデアの実現を妨げることがあります。そこで、ハードウェアに強みを持つ企業として、弊社が様々なハードウェアを提供し、アイデアの実現を加速させることで、スタートアップ企業や関連業界全体の活性化を図ることを目指しています。このプロジェクトは、現副社長の岩坪の「日本のスタートアップが独自性を活かしてグローバルにビジネスを展開できる環境を整えたい」という想いから始まりました。

――このプロジェクトに期待していることは何ですか?
伊藤氏:10年、20年後にアイデアが実現し、世の中に普及したとき、「振り返れば、弊社のKUMIHIMOがそのきっかけだった」と言っていただけるようになれば、私たちもこのプロジェクトを実施した甲斐があったと感じられると思います。

――今までの応募アイデアの中で、特に記憶に残っているものを教えて下さい。
伊藤氏:昨年でいえば、最優秀賞を受賞した株式会社Xenoma(以下、Xenoma)の着衣型心音心電計が挙げられます。Xenomaは、心電計を組み込んだ衣服を用いて自宅で心電データを収集する技術を既に実現していますが、弊社の音響センサとの共創により、心音も測定できる状態を目指しています。これにより、心電と心音の両方のデータを取得し、より高精度な循環器疾患の検知が可能になることが期待されています。

このプロジェクトは、Xenomaが従来からもつアイデアと弊社の先進的な技術力が融合することで、新たな価値を生み出しています。薄型・軽量で高性能な音響センサは、従来の技術では難しかった高精度なデータ取得を可能にし、新しい健康管理方法として期待されています。

このような共創事例は、単なる技術開発に留まらず、人々の日常生活に役立つ新しい健康管理方法として期待されています。Xenomaと弊社との協力によって生まれる新しい価値は、多くの人々の日常生活に貢献できる可能性があります。

音響センサとの共創で予防医療に挑戦する | 村田製作所 技術記事 (murata.com)

――ところで、審査会場は盛り上がりますか?
伊藤氏:かなり盛り上がります。一般的に想像されるような「いわゆる審査」という雰囲気ではなく、プレゼン後に登壇者と審査員が意見を交換する場になっています。まさに、その時点で共創が始まっているような雰囲気です。

――現在のアクセラレーションの状況は如何でしょうか?
渡邉氏:複数の企業様と共創を進めており、それぞれのフェーズは異なりますが、各社がアイデアの実現に向けて進めています。企業によっては、弊社から部品を提供し、量産に向けて進んでいるケースもあります。

伊藤氏:昨年優秀賞を受賞したAZAPA株式会社の『熱中対策ウォッチ カナリアPLus』は、スマートウォッチをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。例えば、炎天下の工事現場で働く方がいる場合、その方が倒れる危険性がある状態に近づいていることを「黄色信号」として客観的に検知するプロダクトです。倒れるリスクのある作業員を早期に発見し、対策を講じることを目的としています。

『熱中対策ウォッチ カナリアPLus』に弊社AMRセンサ(磁気センサ)を提供することで、非接触でのインターフェースを実現され、品質管理面が向上しました。

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■部品供給だけでなく、ポテンシャルも最大限に引き出したい
――商品化にあたり、どこまでサポートしますか?
伊藤氏:部品を提供して電気回路的に繋ぐことは可能ですが、その部品の持つポテンシャルを最大限に引き出すためには、弊社のエンジニアのサポートが不可欠です。どの部品でも良いという話にならないよう、最後までサポートすることが一つの価値だと考えています。

――御社のエンジニアが、そこまで対応できる理由を教えてください。
伊藤氏:弊社のエンジニアは、部品そのものの知識に加え、それがどのように使われるのかという点まで深く理解しています。スマートフォンの部品は広く知られていますが、どうすればここまでの特性が発揮できるのか、といった部分にも対応可能です。スマートフォンメーカーと技術的なディスカッションができるほどの知識と技術を持っており、単なる部品販売に留まらず、その先の活用方法にまで踏み込んで提案できる経験値があります。
スマートフォン向け部品は一例に過ぎず、弊社のエンジニアは自身の取り扱う部品について、その使用環境まで熟知し、提案とサポートを通じてお客様の目標達成に貢献します。

渡邉氏:弊社の部品の可能性に興味を持ち、応募いただくケースも多くあります。部品の可能性といった点でも、様々な議論を重ねることが可能です。弊社内にはまだ世の中に出していない技術もあり、技術の提供方法や活用方法も柔軟に検討できます。そのような議論を経て共創を進める点がこのプロジェクトの特徴であり、そのような体制を整えられることがKUMIHIMOの強みであると考えています。

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――今年からオープンエントリーになったということで、期待していることをお話しいただけますか?
渡邉氏:昨年度は10種類の商材を提示し、それに関連づけて応募いただく形をとりましたが、今年はオープンエントリー制としました。このプロジェクトは「弊社の部品を使ってアイデアを考えてください」というものではありません。応募企業の皆様が持つ独自のアイデアに対し、弊社の部品や技術を活かして一緒に実現へ導きたいという趣旨のプロジェクトです。

そのため、「弊社から提示する部品を限定するのはおかしいだろう」という考えに至りました。皆様のアイデアを応募いただき、弊社のあらゆる部品と技術でご支援し、共に作り上げていきたいという思いが込められています。

部品に縛られないことで、多様なアイデアやさまざまな業種の方々とつながる機会になればと考えております。

――今後の展望、共創でかなえる未来などを教えてください。
渡邉氏:KUMIHIMOをさらに成長させたいと考えています。今年はブルガリアでKUMIHIMOを開催します。グローバルに展開する弊社のビジネスネットワークを活かしながら、共創活動を国際的に広げていきたいと考えています。

弊社は一般的にコンデンサのメーカーとして知られていますが、その背景にはセラミック技術をはじめとする多様な技術があり、これらを世の中に役立てたいと考えるエンジニアが多くいます。KUMIHIMOを通じて、さまざまな業界の方々とつながり、議論を重ねる中で、これまでにない未来の創造に貢献していきたいと思っています。

伊藤氏:今、渡邉が話した最後の部分にもつながりますが、KUMIHIMOを継続していくことで、「村田製作所にはこんなにも多様な部品、技術がある」ということをPRしていきます。一般にはあまり公開されていない開発品も含め村田製作所の部品、技術に触れていただくことで、関心を持った方が「自分も何かを実現したい」と思った時に、弊社に相談してみようと思っていただければ嬉しいです。それがKUMIHIMOでも、他の場面でも、皆様と村田製作所がパートナーシップを築けるきっかけになればと考えています。

――今年、こんな企業や大学に応募してほしいというのはありますか?
渡邉氏:すでに村田製作所をご存じの方はもちろん、まだ村田製作所をよく知らない方々ともつながりたいと考えています。今後、そのようなつながりを作るための施策を打ち出していきたいと考えています。

伊藤氏:KUMIHIMOの良さは、テーマを設定しない点にあると考えています。アイデアはあるけれども、どこに応募すれば良いのかわからず困っている方にも応募していただきたいです。アイデアをお持ちの方であれば、それだけでKUMIHIMOに応募する資格があると考えていますので、アイデアを実現したい方は、ぜひ積極的に応募いただきたいです。

――本日は、ありがとうございました。

<「KUMIHIMO Tech Camp with Murata 2024」詳細情報>
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名称:「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」
スケジュール:
【応募締め切り】
 2024年12月23日(日)
 PoCの有無は問いません。アイデアのみでも応募いただけます。
【選考結果発表】
 2025年4月
  一次選考は書類選考、最終選考はプレゼンテーション形式で実施します。
【協業・ビジネス化に向けた検討】
 選考を通過された企業と、協業やビジネス化に向けた
 取り組みの検討を開始します。

新しい製品・サービス・ソリューションのアイデアをお持ちで、村田製作所とともにアイデアをカタチにしたいと思ったら、この機会に「KUMIHIMO Tech Camp with Murata 2024」に応募してみよう。

「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」特設HP
-Sponsored 村田製作所

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