IoTシステムを低コストで実現可能なぷらっとホームのソフトウェア製品群「Plat’Data Processing」


小型サーバーで社会を快適に!ぷらっとホームが歩んできた「OpenBlocks」の15年』、『ぷらっとホーム「OpenBlocks IoT」の活用事例を展示』といった記事で、IoT()に積極的に取り組んで新ハードウェアをリリースしているぷらっとホーム株式会社について紹介したかと思う。

その同社であるが『「OpenBlocks IoT Family」がInterop Tokyo 2015「Best of Show Award」で準グランプリを受賞』という記事で紹介したようにInterop Tokyo 2015「Best of Show Award」という賞のIoT部門において準グランプリを受賞した。IoTに積極的に取り組んでいる同社の功績が広く認められた形だ。

この「Best of Show Award」とは、有力メディア各社のキーマンと、学術、そしてビジネス界の識者からなる審査委員たちが、Interop Tokyo 2015出展企業各社からエントリーされる選りすぐりの新製品を審査し、「今年の一品(逸品)」を決定するというものだ。

今回、同社は300近いエントリーからファイナリスト審査会を経て会期当日の本審査まで、白熱の議論の末に栄えある準アワードを手にすることができたわけだ。

同展示会の会場にて、ぷらっとホーム株式会社 代表取締役社長である鈴木友康氏にお会いすることができたので、受賞のお祝いと同時に、同社がInterop Tokyo 2015で紹介していた新製品「Plat’Data Processing」についてお話しをうかがうことができたのでここで紹介しよう。
※IoT(Internet of Things:モノのインターネット)

■「Plat’Data Processing」とは?
ぷらっとホームの「Plat’Data Processing」は様々なIoTデバイスとクラウド、またはオンプレミスサーバーとのデータ通信を柔軟かつ強力に実現するソフトウェア群だ。今回、『Interop Tokyo 2015「Best of Show Award」』のIoT部門において準グランプリを受賞した「OpenBlocks IoT Family」と「Plat’Data Processing」を組み合わせることで、低価格でIoTシステムを構築することが可能になるという。

今回、この「Plat’Data Processing」について、ぷらっとホーム株式会社代表取締役社長である鈴木友康氏にお話しをうかがった。

編集部:最初に新製品「Plat’Data Processing」について、特徴をお聞かせください。

鈴木友康社長(以下、鈴木社長):最大の特徴は、IoTのプラットホームを簡単に構築できるところです。これまでIoTのプラットホームを構築する場合、「Platformer」(プラットフォーマー)と呼ばれるサービスを借りるか、ツールを使うかしか、選択肢がありませんでした。

自分たちでIoTシステムを構築しようとしても、デバイスから通信、センター側のアプリケーションなどを、すべて一気通貫で作らなければならなかったわけです。これはなかなか大掛かりなことで、コストも当然、かかります。またIoTをやる事業者さんの本業は、IoTのサービスであってシステムの構築ではない。

本業でないところにリソースを集中させるのは、時間もお金もかかる。逆に、それができない場合には、丸ごとIoTプラットフォーマーさんの高額なシステムを導入し、その上にサービスを載せる必要がありました。

それを、より容易により低コストで、なおかつ高い信頼性を持って実現させるのが「Plat’Data Processing」です。我々、もともとIoTのゲートウェイのところは、専門にもちろんやっているんですけれども・・・やっぱりお客様のニーズがあるところというのは、「データを取ってセンターに伝送する」というところと、「伝送されたデータをアプリケーションからどういう風にプログラミングするか?」という、この2つがポイントなんですね。

我々は送り側(伝送側)となる「OpenBlocks IoT Family」をオープンソースで出しました。受け側の「Plat’Data Processing」も基本的にすべてオープンなAPI(Application Programming Interface)で構築できるソフトウェアを出しました。これらを導入することによって、開発コストを低く抑え、開発期間も短くて済みます。

それから、すべてオープンな技術を使っているので、ベンダーロックイン(vendor lock-in)が起こらなくなります。それが最大の特徴と言えます。

編集部:他社と比較すると、どこが大きく異なりますか?

鈴木社長:大手さんのエンタープライズ型(M2M)ですと、すぐに億単位の話になってしまいます。その理由として非常に大規模であること。さらに内部がすべてブラックボックスになっていることも問題です。

そのシステムで何か自社向けのオプティマイゼーション、たとえば、カスタマイズや、こうやりたいといった場合、すべてプラットホームを提供する側が見積もって開発することになり、ユーザー側ができることが、ほとんどないんですよ。当然、開発期間も長いですし、コストも高くなります。

一番数が多くなるのはクライアントのエッジ側ですが、我々の製品ですと、ライセンスは基本、完全にフリーです。基本的にライセンスは掛からないです。それからセンター側は基本、100万円のライセンス。コマーシャルのサポートもすべて我々のほうから、保守は年間20%ぐらいで提供しています。

自分たちで組める力のある会社は、それだけのコストでできます。いわゆるIoT系で標準となってきている各種のプロトコルや手順がそのまま使えますので、基本的にコストが非常に安く済みます。

また開発用の実証用ライセンスは無償で提供しています。IoTはまだまだ新しい分野なので、やってみないとわからないことが結構あります。「最初は5台とか、10台とかで実験してみたい」という場合、拠点側はもちろん、センター側のライセンスも無料です。

思う存分テストして十分運用できる状態になったら、そこからサービスをスタートするかたちで、我々と商用のライセンスを結んで使って頂く。このように参入するための敷居が低くなっています。

ぷらっとホーム株式会社 代表取締役社長 鈴木友康氏

ぷらっとホーム株式会社 代表取締役社長 鈴木友康氏

編集部:「Plat’Data Processing」で優位な点を教えていただけますか?

鈴木社長:今、申し上げたように非常に低いハードルから出来るというところがひとつ。概念検証(Proof of Concept)と言いますが、IoTでは結構概念がまだ固まっていないことが多いので、概念検証が実は多いんです。

たとえば、必要なデータ。たとえば、温度だけでよいと思っていたら、実は照度も必要だったりとか、人のバイタルデータをとっていたら、心拍数や体温だけでは駄目で、加速度が必要になったりとかです。実際に実用になるかどうかは、テストして、やり直してみてという試行錯誤のステージがあるんですけれども、それがやりやすいです。

今までの大手さんのシステムは基本、デバイス側からセンター側まで一気通貫でひとつのもので出来ている。だから、あまりそういう試行錯誤ができません。基本、パッケージになっているので、その部分のカスタマイズというのは、コストが非常に掛かります。我々は、そこが全部オープンで出来ているので、試行錯誤が容易ですし、進化が簡単に出来ます。いろいろな種類のセンサーや、アプリケーションの追加が自由にできるところが優位点と言えます。

もうひとつはアーキテクチャ的な話ですが、従来のものは基本インドメインと言うのですが、クローズドのシステムになっています。たとえば、コピー機でもベンディングマシンでもよいですが、それは自社の機器と自社のネットワーク、自社のセンター、もしくは丸ごと他社のクラウドで構築するかたちです。それに対して、我々のものは、そのデータを基本的には自由にプログラミングができるので、それを使って別の用途に応用が可能です。

たとえば、「解析に使いたい」「ビッグデータ処理に使いたい」、もしくは「リアルタイムに反応するために使いたい」。そういういろんなアプリケーションを並列で同時に繋ぐことができるんです。

具体的に言うと何かイベントドリブン的に何か起こったときに駆けつける介護とか、1年2年3年という風に使って経年変化を見たいとか。ご老人の状態、外部湿度、生活リズムとかで、体調がどういう風に関係があるかとか、継続的に使いたいという時が出てきたときにも、それが両方出来ます。

今までのものだと、たとえば、データをためるので、イベントドリブンで3日前のデータを捨てたら、それでもう終わってしまいます。我々のものは、両方できるわけです。そういうことで、無限にアプリケーションを組めます。それが他社のクローズドメインのシステムと全く違うところで、自由度が非常に高いという優位性があるわけです。

「垂直」と「水平」という言い方を我々はしているんですけど。従来のものというのは基本、垂直です。センサーから伝送、それからクラウドまで。垂直でパッケージで提供されています。我々は、それはよくないと思っています。

センサーはセンサーベンダーさんが自由にオープンソースでやって、伝送の部分はもう完全にソフトウェアフリー。それで伝送が終わったら、受信側のところも基本的にはトライアルはフリー。これのデータを利用するときには、APIは全部オープン。そういうやり方で、水平型のアーキテクチャで製品を投入したんです。従来、こういうものはなかった。

M2Mというのは、もう何十年も続いている世界なんですけれども、そのM2Mの世界そのままにIoTというシステムが多くて・・・。

基本、そのCenter and Hubというインドメインのシステムなんですけれども、対して我々はもう完全にメッシュで、ネットワークを組めます。そういう意味では全く新しい、IoTの基本概念にそって設計した、たぶん、はじめての商品だと思います。

編集部:可能であれば、販売目標をお聞かせください。

鈴木社長:そうですね。個人からエンタープライズまで使えるのがインターネットのよい点だと思っています。そういう意味では、いろんなお客様にいろんな用途で使って頂きたいです。

ただIoTに関しては、今年はじめて市場が立ち上がっているという面があって、最初はいろんな会社さんにお使い頂きたいと思っています。そうすると、本数的には、何百とか、何千とか、あまり行かないと思っています。その代わり、だいたい10本でも、かまわないですけど、いわゆる(こんな風に使えますという)ユーズケースをなるべく作りたいと思っています。

我々も学ばないといけないんですけど、こういうのを使ったら新しくできることがたぶん一杯あって、我々が想像していないようなことも、たぶんできると思うんです。そういうものの学習とか試行錯誤とかを経て、だいたい本年度中に10件くらいですね。まずは、実際に使って頂きたいです。

あとは、無償ライセンスのほうは当然、一杯あるので。それはどんどん、何百本、何千本でも。使って頂きたいです。

編集部:「OpenBlocks IoT Family」の準グランプリを受賞の感想をお聞かせください。

鈴木社長:本当に。まず単純にうれしいです。今までやっぱりあの・・・我々のBtoB製品というのは基本裏方なんです。あまり表に出る機会はもちろんない。専門の方からは、もちろん、注目していただいていたんですけど。今回はInteropで、特にIoT部門で受賞したということ。必ずしもインターネットの専門家だけじゃでなくて、いろんな業種の方に注目していただいていることがわかりました。

なので。我々の・・・「ああ、こういう製品があるんだ!」「こういうのがあれば、今まですごくでかいシステムでやっていたけれど、うちはなんか違うものができそうだな!」そういうものを感じてもらえると思うんです。そこに関しては、こういう受賞があったことで「あ、たぶん、いい製品なんだろうな・・・」と思って頂けると思います。

弊社の製品を知らない人から見たときに、優れているのかどうなのかわからないと思うんです。だから、こういう賞を頂くということは、非常に我々のような裏方の製品としては有り難いです。もう無条件にお客様のほうから「賞を取ったんだからよい製品だ」と評価してもらえますからね。

編集部:最後に今後の展開について教えてください。

鈴木社長:これまで我々がオープンソース、とくにLinuxの技術で20年以上地道に改良して培った技術があります。インターネットが今度IoTになることで、何百倍も、たぶん広いお客様に使って頂ける、たぶん今年は、その最初の年だと思っています。

そういう意味では、おかげさまで今回受賞をしたゲートウェイでは、今の時点で一番いい製品だと思っています。これをまず出せたということと、「ああ、なるほど。こういう製品があるんだ。」という理解を多くの人から得ることができたと思います。

ハードとソフトの2つが揃って、ようやくお客様のやりたいことが簡単に実現できます。今までIoTと言っても、「うちは拠点が少ない」とか、「見積もりされると、すぐに何千万、何億になる」とか、そういうもので躊躇されているお客様でも、今回は、もう全然躊躇はいらないですから。いくらでも、もうどんな用途でも、見守りから産業まで、我々はもう実績があるので、ぜひ、そういう技術を利用して頂きたい。そういう風に思います。

ぷらっとホーム株式会社 代表取締役社長 鈴木友康氏

ぷらっとホーム株式会社 代表取締役社長 鈴木友康氏

「OpenBlocks IoT Family」および「OpenBlocksシリーズ」は、手のひらサイズの超小型Linuxサーバーでありながら、大手通信事業者をはじめ、物流、輸送、金融、エネルギー産業、官公庁など日本の社会インフラを支える様々な領域で採用されている。鈴木社長の言う通り「裏方のベストセラー商品」と言える。

今回紹介した新製品「Plat’Data Processing」と合わせて運用することで、今後大きく成長すると見込まれるM2MやIoT(Internet of Things: モノのインターネット)の分野において、大きな注目を集めることは間違いないだろう。

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