- 2015-2-19
- ITビジネス, 電子書籍
- 個人出版, 四十三回, 林 拓也, 連載, 電子出版, 電子書籍
- 個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第四十三回 はコメントを受け付けていません
■はじめに
最近KDPの規約が変わり、「amazon.co.jp(要は日本のアマゾン)での売り上げに対しては、米国の源泉徴収税がとられないようになったらしい」という話を聞きました。
前回もKDPの源泉徴収関連のトピックをとりあげたので、今回も関連して扱ってみようかと思ったのですが・・・。今回は別のトピックを採用することにしました。
やはり、以前に扱ったトピックの続報なのですが、デスクトップ版リーダーアプリ2種のリリースについてご紹介します。
■Kindle for Mac
1つめは「Kindle for Mac」、すなわちamazon.co.jp対応のMac用Kindleアプリです。
以前、Windows版が先行してリリースされたのをご紹介しましたが、この度Mac版もリリースされたので、一応こちらについても扱っておこうと思います。
まず、入手方法から。
Kindleアプリのデスクトップ版を入手するには、Amazonサイトの以下のページにアクセスします。
このページは、MacからアクセスするとMac版が、WindowsからアクセスするとWindows版がダウンロードできるようになっています。
Mac版のインストールはごく簡単で、ダウンロードファイルをダブルクリックし、マウントされたボリュームを開きます。
ウィンドウ内のKindleアプリのアイコンを、やはりウィンドウ内にあるAppliationsフォルダにドラッグ&ドロップするだけです。
機能的にはWindows版とほとんど違いは無さそうです。
Windows版については第四十一回の記事をご参照ください。
内容的には繰り返しになってしまうので、特徴をざっと挙げるだけに留めておきます。
・テキストの表示(縦書き、ルビなども含めて)がとても美しい
・国語辞典の「デジタル大辞泉」が搭載され、読書中にシームレスな意味調べができる
・ハイライト、メモ機能もあり、他の端末で共有できる
・ライブラリ画面では、書籍のフォルダ分け(コレクション)機能がない
・アプリによる並べ替えも「最近表示したアイテム」、「タイトル」、「著者」、「タイプ」の4種のみで、多いとはいえない
概して読書画面よりライブラリ画面の物足りなさが感じられますが、遠からず改善されることを期待したいと思います。
■Adobe Digital Editions ver.4.0.3
次は、Adobe Digital Editions(以下「ADE」と記載します)です。
ADEについては第三十四回で触れました。
このときはver.4がリリースされたのですが、Windows版に以下のような問題がありました(詳しくは第三十四回記事をご参照ください)。
・縦書き、右開きの書籍が適切に表示されない
・テキストの表示品質が低い
・埋め込みフォントが無効
これらはいずれもver.3では問題なかったところなので、Windows版は正直「使い物にならない」とまで考えていました。
今回のver.4.0.3では縦書き、右開きの書籍は問題なく表示できました。しかし、テキストの品質が低いのと、埋め込みフォントが無効になってしまう点は改善されていないようでした。
目についた改善点は、読み上げEPUB(Media Overlays)の対応が進んだことです。
ver.4では再生制御はメニューから再生/停止を指定できる程度だったのですが、ver.4.0.3では制御パネルが利用できるようになりました。
パネルで制御できる機能は、再生/停止の他、音量調整、読み上げ箇所に移動、読み上げ対象箇所の反転色の指定、読み上げ速度など、かなり充実しています。
読み上げ対象箇所の反転色を指定できるのは、色覚障害のある方を想定したものと思われます。読み上げ速度の変更は一般の方が利用するケースもあるかもしれませんが、視覚障害のある方のスクリーンリーダー(読み上げソフト)の利用状況を想定したものかもしれません。視覚障害のある方がスクリーンリーダーを利用する場合、かなり速い読み上げ速度で利用されることが多いそうです。
このようなアクセシビリティ向上の機能は、いい意味で印刷物と違う部分だと思うので、多くのリーダーアプリに搭載されることを願っています。
ちなみにADEのライブラリ画面には、書籍のフォルダ分け(コレクション)機能があり、アプリによる並べ替えの項目は「タイトル」、「著者」、「発行者」、「最後に読んだ日時」、「追加された日付」、「ページ」、「ステータス」の7種類です。
■最後に
KindleもADEも電子書籍リーダーという点では同じジャンルのアプリですが、それぞれの立場は随分異なるので安易に並べて比較できるものではないかもしれません。
とはいえ、どちらも大手のアプリなのでよい刺激を与え合って、他のアプリにもよい影響を及ぼすようなものとなってくれることを望みます。
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■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
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