- 2014-8-21
- ITビジネス, 電子書籍
- 三十二回, 個人出版, 林 拓也, 連載, 電子出版, 電子書籍
- 個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第三十二回 はコメントを受け付けていません
■はじめに
本ブログは電子書籍の制作に関する技術的な側面を取り上げることが多いのですが、今日はちょっと違う面を取り上げてみようと思います。
主に読者・著者として電子書店を利用する、といった部分を改めて考えてみます。
■読者としての利用
読者として電子書店を利用する場合、ある電子書店から購入した書籍を、その書店のアプリで閲覧することになります。
しかし多くの場合、実際には電子書籍を購入したのではないのです。電子書店のシステムによって違いがあるかもしれませんが、私たちが購入したのは「電子書籍を読む権利」なのです。
印刷物の書籍の場合、まぎれもなく書籍そのものを購入します。購入後に出版社が倒産しようが、書店がつぶれようが手元の書籍が読めなくなることはありません。
しかし電子書籍の場合は、購入したつもりの書籍が読めなくなってしまう可能性があります。
ここ1~2年で電子書店の淘汰が進んでいますが、サービスを終了した電子書店のほとんどは購入した(つもりの)電子書籍が閲覧できなくなっているのではないでしょうか。
何かの形で補填はあるかもしれませんが、気に入っていた書籍が読めなくなってしまうのは代金返還程度の対応で埋められないケースもあるでしょう。
また、サービスが終了しない場合でも、電子書店の規約の変更などで特定の商品の取り扱いが無くなってしまう、といったことはあるかもしれません。
普段意識する必要は無いかもしれませんが、正しい認識を持っておくというのは大事なことです。
■著者としての利用
著者の側からも、このような認識は重要です。個人で出版する場合、メジャーな電子書店を利用したいものです。
メジャーな電子書店とは、具体的には「アカウントが広く普及している電子書店」と言えるでしょう。
何かサービスを利用する場合に、新たにアカウントを作るというのはユーザーにとって案外大きな障壁です。既に持っているアカウントで電子書籍も購入できるのならユーザーの抵抗感は少なくなり、著者の立場からは自分の書籍が売れる可能性が高くなると言えます。
他の電子書店より売れる書店は、著者との関係においても相対的に強い立場になります。規約についても著者にキビシイ内容となっている場合があるかもしれません。
大手の電子書店では、どんどん新しいサービスが追加されていきます。
新しいサービスを利用する場合にもそのサービスを利用する規約があるはずです。あまりよく分からないままに何となく利用するのではなく、正しい認識を持って利用したいものです。
■最後に
少し特殊な例を紹介しましょう。以前にも紹介したことがあるかもしれませんが、みなさんご存じのハリー・ポッターの電子書籍は著者のJ.K.ローリング氏の運営する「ポッターモア」というサイトから購入できます。
ここで購入すると、EPUB3形式の電子書籍ファイルを入手できます。EPUB3形式を扱えるアプリであれば、デスクトップでもスマホでも利用できます。
この場合は、印刷物の書籍を購入するのと似た感覚で利用できることになります。購入後にポッターモアが閉鎖しても、ハリー・ポッターが全世界で絶版になっても、購入した電子書籍ファイルが残っていれば読み続けることができます。
このように、電子書店を利用せずに自分で電子書籍を販売することも可能ですが、現実的にはなかなか難しいかもしれません。
それでも参考までにハリー・ポッターの事例は覚えておいてよいのではないかと思います。
■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi
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