先日『新生VAIO株式会社より新モデル「VAIO Pro」「VAIO Fit」2シリーズ3機種発売』でも紹介したようにソニーから分社したPC専業の会社「VAIO株式会社」が7月1日に発足した。従業員数は240名で国内のPC事業主体の会社となる。
新会社発足にあわせて会見が行われ、同社の方向性として「選択と集中」「本質+α」を柱とし、PC事業を提供していくとした。製品の販売はソニーマーケティングが行うが専用のサイトからのダイレクト販売がメインとなる。ラインアップをを絞り込んで身軽になり、VAIOからソニーロゴがなくなっただけじゃないかと思う人もいるかもしれないので、新生VAIO株式会社の狙うところはどこなのかについて考えてみたい。
■VAIOのDNAを継承した製品開発
ソニーがVAIO事業を日本産業パートナーズへ譲渡することを発表したのが2014年2月のことであった。それから5か月で新会社が設立されたのは、準備期間としては、かなり短かったと言える。従来、ソニーの一部門だったVAIO事業は単独のVAIO株式会社となる。純粋にPC事業だけの会社となったわけだ。PCの本質はどこにあるのか追究し、従来の制約に縛られない自由な発想、そして長い歴史を持つ「VAIO」のDNAを継承し「本質」に加える「+α」を目指した製品を開発・提供していくという。
本社はソニー時代から設計と製造の拠点だった長野県の安曇野に置かれる。ここでの製品設計および製造がソニー時代から継続され、カスタマーサービスまでも集約された一体型運営による「ものづくり」が行われることとなる。安曇野での製造のほか中国といった海外の工場で製造するODM生産は継続するが、全モデルが安曇野で最終仕上げと品質チェックを行う「安曇野FINISH」で製品は提供される。これにより製品の品質および信頼性が格段に向上することとなるはずだ。
設立時に提供される製品はニュースでお伝えした通りだ。先述したように販売はソニーマーケティング株式会社と販売総代理店契約を締結したため、従来と同じようにソニーの販売サイトである「ソニーストア」でVAIOを購入可能だ。製品情報自体は新会社のサイトで提供される。
一部量販店でも扱われるが、ソニーストアと提携した従来のオーナーメードモデルのような形で展開されるようだ。また個人向けモデルに加えて、法人向けモデルも継続して販売される。個人向けモデルは、季節により浮き沈みが激しいが、法人向けモデルは常に安定した需要を見込めるためで、足下を固めるという意味合いもあるだろう。
機種ラインアップを絞り込むという作業が「選択を集中」するという意味で、ソニー時代からのモデルを引き継いだことが「VAIOのDNAの継承」していることになるわけだ。新生VAIO株式会社が掲げる「制約に縛られない」形での「本質+α」を実現した新型VAIOの登場を、期待を込めて待ちたいと思う。
上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]
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