江戸東京博物館がリニューアル!記念に「EDO→TOKYO VISION」イベントを開催

  • 2018-4-16
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2018年4月1日にえどはくこと江戸東京博物館がリニューアルして再オープン。その記念として様々な分野で活躍する専門家やアーティストによる、“江戸東京の歴史・文化とつながる”をテーマにした、再オープン記念 WEEK 「EDO→TOKYO VISION」が開催された。

4月7日には江戸のライフスタイルをヒントに、持続可能な社会を実現するための「サステナブルな暮らし」をテーマにしたトークセッションが行われたのでその様子をお伝えしよう。

■落語からイベントがスタート
イベントはまず、落協会・真打の女流落語家古今亭菊千代さんによる落語「垂乳根」(たらちね)からスタート。場内が笑いに包まれたところで、トークセッションに移る。ここにはデザイナー/作家であるアズビー・ブラウンさん、エシカル教会代表理事の末吉里花さん、共生革命家・東京アーバンパーマカルチャー創始者のソーヤー海さん、古今亭菊千代さんに加えて、江戸東京博物館館長の藤森照信さんが参加した。モデレーターは評論家の辻信一さんが務めた。
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■言葉や価値観、考え方を伝えるのに落語がおススメ
実は辻さんとブラウンさんは、古今亭菊千代さんから落語を教わっているのだとか。言葉や価値観、考え方を伝えるのに落語はいいと語るブラウンさん。人間関係の問題や生活感が出るのでよいと語る。江戸時代の価値観と人間関係、人と人との関わりがかなり違うこともわかるのだそう。

「落語を聞くと江戸時代の情景が目に浮かぶし、絵として頭の中でイメージできるのが素晴らしい」と末吉さん。「長屋で暮らしてみたいとか、そういう思いになる」(末吉さん)。人について笑うこともできるし、自分を笑いにできるのもよいところだと語るのはソーヤーさんだ。「人を笑うのは簡単だが、自分を笑えるかが大事」(ソーヤーさん)。

藤森さんによると、江戸の街は世界でも類がないような、衛生面ではダントツだったのだという。道は必ず掃き清められており、朝の街を初めて歩く人は、その道を歩くことができた。そして江戸時代のぜいたくと言えば風呂。そして床屋に寄って、寄席に行くのが粋。これらは一種の社交広場として存在し、日常生活の中での楽しみを生んでいたわけだ。
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■吾唯足知が意味するものとは?
ここでアズビーさんは「吾唯足知(われただ足るを知る)」という言葉を紹介する。この四文字は京都の龍安寺にあるつくばいに彫られていて水戸の黄門様から送られたことで知られる。「別々で風呂を焚いたらエネルギーが必要で大変。そこで風呂屋があった。それであれば燃料は少なくてよい。水やエネルギー、お湯の問題、両方を解決している」とアズビーさん。日本人の心を深く理解していることに感心。

また日本古来の建築方法は、ほぞやくさびを用いて作られており、分解が可能な仕組みになっている。現代でも古民家の移築などで見られるが、釘などを使っていないので簡単にリサイクルが可能だ。非常にエコな生活を送っていたわけだ。「わたしは外国から来たが、江戸から学ぶことは多い」とアズビーさん。

ソーヤーさんは「いまの都会にいる人は豊かさを求めている。足るを知るというより、豊かな世界に行きたいという勢いがある」とし、そこを考えていくうちに思ったのは、足るを知るということは、いまは豊かであるとわかることだと気づいたそうだ。「気づかないと永遠に豊かじゃないから、足るを知らないことになる」(ソーヤーさん)。
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■エシカルとはどういう意味か
話題は末吉さんが代表理事を務める協会の名前にもある「エシカル」という言葉に移る。エシカルとは「倫理的な」という意味。法的な縛りがなくても正しいと思っていることを指すのだそう。人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方、行動のこと。「こうした考え方を持って暮らしてほしい」という活動をしているのが末吉さんだ。
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いまはサステナブル(環境に多大な負荷を与えずに現状維持すること)であるとか、このエシカルという言葉がよく言われるようになったが、それはこの地球自体が倫理的でないということだと末吉さん。

いまではお金を出せばたいていのものが手に入るが、手に入れたものは誰がどこで作っているのかわからない。しかし江戸時代ではこのような分断がなかったと末吉さんは指摘する。

江戸時代は古着を売っていたり、糞尿を肥料に使ったりと、消費者も作り手だった。「私たちも作り手であり、消費者である。その循環が見える社会を作っていきたい。それがエシカルということ」(末吉さん)。

■ポートランドにある昔風の長屋
ソーヤーさんはアメリカオレゴン州ポートランドにあるエコビレッジを紹介。そこでは昔の長屋のような家屋があるほか、中央では人糞を使った畑が作られているそうだ。人糞は半年から1年くらい発酵させると、匂いもなく美しい肥料になるという。

それを使うととてもいい野菜が採れる。家の外3メートルくらいのところに畑が作られているが、その野菜を食べたあとに出た糞がまた肥料となり、使われていくというサイクルを繰り返すことができる。地産地消の循環型社会ができあがっているわけだ。「こうした活動は東京や日本でもやっていける」とソーヤーさん。

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■もっと生きることを学ぼう!
ソーヤーさんはまたいまはパソコンやお金のことについて勉強するが、暮らすことについてはまったく勉強しないと指摘。「地球はどういうところなのか、生きることを学ぶ場所がない。若い世代を応援して生きることを考えてもらう」。

辻さんは「いまの問題は時間かもしれない」と語る。時間に余裕がないのが現代だ。江戸時代の人は働き者だったが、ものすごく怠け者という面も持っていたのだとか。「気に入った仕事は夜も寝ないで頑張るが、そうでない場合は全然やらない」。まあ、全然やらないのはそれはそれで問題ではあるが・・・。

また、江戸時代の男は子供たちと延々と遊んだり、よく笑ったのだそう。「心の余裕がなくなると笑えなくなる」とソーヤーさん。辻さんも「忙しいというが、何に忙しいのか。時間に追われているような世の中はダメ。なんのための経済成長なのか。経済に支配されている」とも。

経済成長は効率化を求められ、コストや時間を切り詰めていくことで無理やり成長が成り立っている。「そうすれば時間を巡って競争するし、どんどん忙しくなる。忙しくないと落ちこぼれなのではという世の中が出現している」と指摘する辻さん。

最後に藤森さんは、「いまは試行錯誤の段階だが、どの時期かにきっとサステナブルやエシカルが生み出す美ができる。そうなるといいと思う」と語った。

現代にはない江戸時代の感性を感じることができるえどはく。リニューアルしたえどはくで、時間に捕らわれないゆったりした時間を感じ、忙しい現代の感覚をリセットしてみることをおススメしたい。

江戸東京博物館

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