- 2025-8-22
- カルチャー
- 害虫の存在を考え、生き物の“棲み分け”を考える!害蟲展season6、東京・大阪で開催へ はコメントを受け付けていません
8thCAL株式会社は、2025年8月23日(土)の東京会場を皮切りに、「害蟲(がいちゅう)展 Season6」を東京・大阪の2会場で開催し、入選を果たした計20作品を展示する。これに先立ち、同年8月22日(金)には、東京会場「MATERIO base」にてプレスレセプションが実施された。当日は、同社代表の岡部美楠子氏をはじめ、画家・絵本作家の舘野鴻氏、自在置物作家の満田晴穂氏、本展の優秀賞を受賞したアーティストが会場に駆けつけた。
■害蟲展とは?
害蟲展は、生物・命の美しさ、有益な側面に焦点を当てて制作された作品を通して、生命の循環や存在意義について考えるきっかけになることを目指した展示会だ。身近な生活環境に潜む害虫と呼ばれ悪モノ扱いされる蟲も、生態系から見ると存在する理由がある。私たちは、害虫と呼ばれる生き物が、本来の居場所である森に還っていけるよう、人も自然も、すべての生き物が地球上にある限られた環境の中で、どうしたら“棲み分け”られるか、真剣に考える必要がある。
害蟲展season1から徐々に規模を拡大し、今回展では東京会場として「素材のちから」をコンセプトに様々な展示や活動を行っている「MATERIO base」、大阪会場は新たな発見と驚きを展示の柱とする「箕面公園昆虫館」の2会場にて開催する。
同社は本展を通じ、駆除対象生物を違う視点で見つめ生態系での役割を知るきっかけを創出し、人々に環境整備などの行動を促すことで、殺虫剤の使用量を減らし、地球環境保全に貢献していく構えだ。
■プレスレセプション
プレスレセプションは、8thCAL株式会社 代表の岡部美楠子氏の挨拶から始まった。
岡部氏は、1960年に創業した害虫駆除企業のシェル商事を事業継承し、「駆除」から「予防」へと発想を転換するため、2018年に8thCAL株式会社を設立。人と自然にとって快適な環境づくりに取り組み始めた。害蟲展は「害虫との関係性を再構築するきっかけ」を創出する目的で開催されており、今回で6回目を迎える。
害蟲展には毎年100点を超える応募があり、1次・2次審査を経て出展作品が決定される。今季の「害蟲展 Season6」では、過去最多となる17社が協賛している。
「さまざまな作品に触れることで“害”の概念が崩れ、より良い未来を皆さんと築いていきたいと思っております」と、岡部氏は本イベントへの想いを語った。
■コンセプト
彼らは普段、悪モノ扱いされ駆除されていますが、
生態系から見た場合、意外な存在理由もあるのです。
本展では、人間にとって「不都合」「不快」「不利益」な一面だけに目が行ってしまいがちな、
いわゆる「害虫や害獣」の美しい点・有益な側面・生命の循環や存在次元に
焦点を当てて制作された作品を広く公募、展示をします。
アートを通して地球上に住まう人間と生物の在りかたを考え、
新しい関係を創造するムーブメントを創出できるきっかけとなれば幸いです。
■展示作品(優秀賞)
〇優秀賞 鈴木藤成氏<青い仮宿>
東北の晩秋、山間の廃社に仕舞われていたブルーシートを冬支度のため引っ張り出したところ、そこは越冬を控えたカメムシたちの仮宿となっていた。シートはボロボロに劣化しており、カメムシが空けたであろう穴が無数にある。人間が自然に抗うために作り出した工業製品を自分たちの住処に作り替えてしまうカメムシたち。私はそこに、彼らの生きることそのものへの美しい執着と、人工と自然の間に横たわるある種の創造性を見た。
〇優秀賞 小川華子氏<bugs’ emotions>
葉っぱを食べる虫たちと、虫に食べられる葉っぱたち。自然界の営みの一部が、人の手で造られた庭の中では害とされ虫たちは害虫となる。そして駆除される。そんな勝手な私たちは、自然界から見れば害人かもしれない。虫食い葉っぱを観察するうち、色んな種類の食べられ方がある事に気付きました。その食べ跡からは、食べる側の唸るような工夫と知恵が想像できました。それを銅で表現しました。
〇優秀賞 澤木亮壮氏<自在真蜱>
私は昆虫が苦手な為、制作している作品のモチーフは昆虫から避けてきました。今回の害蟲展に応募することで改めて苦手な生き物と向き合おうと思い、特に私の中で一番気持ちが悪いと感じたマダニの吸⾎後の姿を選びました。制作する中で次第にマダニが⾎を吸った後の張りのある人の皮膚の様な表面に魅⼒を感じました。この作品を通して鑑賞者がマダニと言う生き物を見た目からでも知っていただければと思います。
■審査員・アンバサダー
丸山宗利(まるやまむねとし)氏 昆虫学者
東京育ち。九州大学総合研究博物館准教授。北海道大学大学院、国立科学博物館、フィールド自然史博物館(シカゴ)を経て現職。専門はアリと共生する昆虫の多様性解明。多数の原著論文や著書があるほか、展示活動や講演を通じて昆虫の普及啓発に⼒を入れている。
舘野鴻(たてのひろし) 氏 画家・絵本作家
1968 年横浜市に生まれる。故・熊田千佳慕に師事。演劇、現代美術、音楽活動を経て生物調査員となり、かたわらで教科書、図鑑などの生物画や2005 年より絵本製作を始める。著書に『しでむし』『ソロ沼のものがたり』『うんこ虫を追え』『どんぐり』などがある。
満田晴穂(みつたはるお)氏 自在置物作家
東京藝術大学修了。冨木宗行に師事。江戸時代中期の武具職人にその祖を持つ金工技術「自在置物」の国内唯一の継承者。昆虫や甲殻類を主に、可動する精巧な作品を手がけている。工芸の世界だけでなく、インスタレーション作品を現代美術としても発表。
中峰空(なかみねひろし)氏 箕面公園昆虫館館長
1971年奈良県吉野郡生まれ。箕面公園昆虫館館長。山村に生まれ育ち、幼少の頃から生き物が好きでそのまま今に至る。現在はアミメカゲロウ目の化石種と現生種の分類を手掛けている。
服部雄二(はっとりゆうじ)氏 株式会社ベモーレ代表
慶応大学法学部卒。キヤノン(株)でプリンターの海外マーケティング、複数のベンチャー企業の立上げに携わつた後、2009年に害虫駆除商材を扱う鵬図商事(株)入社。2013年(一社)日本鳥獣被害対策協会を設立。2017年〜2021年まで東京日本橋本町でアートギャラリーegoを運営。2021年から2023年までDoubleTallArt&EspressoBarとして運営。2024年4月からは湯河原町でギャラリー付きの旅館をオープン。
岡部美楠子(おかべみなこ)氏 8thCAL Inc. 代表
東京都出身。武蔵野美術大学卒。事業構想大学院大学・修士課程修了。1960年創業の害虫駆除を柱とするシェル商事㈱を2010年に事業承継。
2児の母として次世代に託す地球環境をより善いものとする為、「予防・早期発見」の観点での環境コンサルテーション・啓蒙・研修・商品開発・アート活動を事業目的とした8thCAL㈱を2018年に設立。啓蒙活動としての害蟲展を主催。
■害蟲展 season6 展示
〇1F
〇2F
〇3F
■アフターコロナの害虫トレンド:インバウンド増でトコジラミ問題が急増中!
トコジラミは、「南京虫(ナンキンムシ)」とも呼ばれ、戦後、アタマジラミ駆除のために有機塩素系の殺虫剤DDTの大量散布で一緒に駆逐された。しかし2020年東京五輪に向けインバウンド増加に伴い、2010年頃から再び再流入し始めた。コロナでインバウンドが極端に落ち込んだ結果、表層上は沈静化したようにみえたが、駆逐されたわけではなく、直近でこの問題が再燃している。
扁平な体をしているため、家具や床・壁の継ぎ目、衣類や鞄などあらゆる隙間に潜り込むことができる。一度刺された程度では症状が出ないこともあるが、繰り返し刺されると体内に抗体ができ、かゆくなる。強いかゆみによって不眠症や神経障害、発熱などの症状になることもある。
トコジラミは一旦繁殖すると防除が困難となり、一般的な殺虫剤が効きづらく、また、卵には効果がないため、多大な労⼒や費用がかかることが一般的で、世界の害虫駆除業界でも最高レベルで駆除困難な吸⾎性害虫だ。近年は民泊やホテルでの発生が問題視されていたが、最近では個人宅やオフィスをはじめ、医療施設・公共交通機関・教育施設などでも発生している。
8thCALでは、独自のサーベイをもとにトコジラミの早期発見のための資材を開発。インバウンドを安全に加速させるための総合的なトコジラミ対策プログラム「トコジラぬ」をリリースし、多くのラグジュアリーホテルなどで採用されている。


※トコジラミ
カメムシ目に属し、体長5〜8mmの茶褐色で空腹時は扁平な体をしている。成虫は吸⾎しなくとも1年以上生き、吸⾎すると濃⾎色になり、丸く膨れ上がる。夜寝ている時に吸⾎されることが多く、吸⾎後はすばやく潜伏場所に戻るため、トコジラミの存在に気が付かないことがあるうえ、人以外に犬や猫などにも吸⾎する。
扁平な体をしているため、家具やカーペット、床や壁の継ぎ目、たたみのへり、ブラインドやカーテンのほか衣類や鞄、コンセントプレートの中、書籍などあらゆる隙間に潜り込むことができる。
「害虫とは何か・人間とは何か」。
その問いをアートに託し、6回目の開催を迎える害蟲展。私たちは、駆除対象とされる生きものの存在理由に目を向け、人間中心の価値観を問い直す視座を提示します。多様ないのちと共に生きることは、持続可能都市の基盤でもあります。私たちは、多くの人が「思いやりのまなざし」に気づくきっかけを届けたいと考えています。
8thCAL 代表 岡部 美楠子
<害蟲展 season6>
東京会場:MATERIO base(東京都中央区東日本橋3丁目11-2)
2025年8月23日(土)〜9月11日(木) 13:00~20:00※休館日:月・火
https://materiobase.jp/
大阪会場:箕面公園昆虫館(大阪府箕面市箕面公園1-18)
2025年9月17日(水)〜9月29日(月) 10:00~17:00(入園は16:30まで) ※休館日:火
https://www.mino-konchu.jp/
害蟲展twitter:https://twitter.com/8thCAL_exhibi
主催:8thCAL株式会社
協⼒:株式会社中川ケミカル、箕面公園昆虫館
協賛:環境機器株式会社、FKK株式会社、大日本除虫菊株式会社、株式会社ソウワ・ディライト
barefoot republic co.ltd.、株式会社バーテック、IY Holdings株式会社、株式会社建匠
鵬図商事株式会社、有限会社イーテック、クラレファスニング株式会社
SASAI FINE ARTS、一般社団法人バイオミミクリー・ジャパン、TAKEO株式会社
NEARIZE株式会社、株式会社アールオーエヌ、シェル商事株式会社(順不同)
■害蟲展twitter
■ITライフハック
■ITライフハック X(旧Twitter)
■ITライフハック Facebook
■ITライフハック YouTube
■カルチャーに関連した記事を読む
・関西鉄道会社11社が夢の競演!「鉄道会社&ミャクミャク」コラボ商品が登場【大阪・関西万博】
・ペルー、ナショナルデーとビジネスマッチングでアジアでの存在感を強化【大阪・関西万博】
・美しい夏の風物詩「金魚」の歴史と魅力に触れる!すみだ水族館、「東京金魚~時代を泳ぐ、小さなミューズたち~」を開催
・『アンブロ』がサッカー小学生の保護者を対象に「子どもの暑さリスク調査」を実施!9割以上が夏の暑さを意識も、70℃を超える足元への対策は4分の1
・前作チキンバーガーの販売数2倍超えを達成!バーガーキング「スモーキーフライドチキンバーガーズ」売れ行き絶好調