“乗り鉄”副編が行く台湾鉄道事情――自強号と台湾高速鉄道に乗る(後編)


前編では台北から台南までの自強号による道中をご紹介しました。今度は台南から桃園駅まで、台湾高速鉄道に乗った顛末について述べていきましょう。

言葉が通じない恐怖(というほどでもないですが)を乗り越えてなんとか台南に到着した私。ホテルにチェックインしたあと、もう一度台南駅を見て回ろうと思い、外出しました。

よく見るとなかなかよい駅です。戦前から建て替えられることなく今もあるとのことですが、窓の寂れ方などは、なるほどそうなのかもと思わせる感じがします。入り口を入ると吹き抜けになっているホールがあり、その奥には待合室があるといった構造で、手前側のホールには電光掲示板で運行表示が、その右側は自動券売機が用意されています。もう一つホールを超えると改札口です。その右側は、有人のきっぷ購入窓口になっていました。左側には寿司のテイクアウトコーナーがありました。一瞬惹かれたのですが、生ものは怖いから止めておきました。

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台南駅に入った正面。左奥に「SUSHI」の文字が見えます

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正面右には自動券売機があります

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その奥には有人のきっぷ発売所と待合室があります

ところで明日の予定ですが、新幹線の台南駅はここから離れており、沙崙(さろん)線の終点沙崙駅が高鉄の台南駅乗り継ぎ駅となります。この路線ですが、台北のMRTに乗ったときに使った「悠々カード」が使えるらしいのですが、残高がどれくらいあるのか不安です……。しかもカードを使うと割引になるようなので、できればそうしたい。しかし。チャージできる機械が見当たりません……。不審者のようにうろうろしてみましたがダメでした。あきらめてホテルに帰ります。

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これが「悠々カード」。発行に100台湾ドルがかかり、チャージも100台湾ドルごとです

さて。翌日です。今日の行程ですが、台南からの台湾高速鉄道(高鉄)は10時49分発を予約しています。そこから逆算して、9時41分に台南発の沙崙線に乗ることにしました。しかしホテルをチェックアウトして駅に着いたのは8時45分くらい。1本前の9時5分発に間に合いそうです。早めの行動がいいと思い、それに乗ることにしました。

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朝の台南駅。あいにくの曇り模様

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窓枠がちょっとボロ……。失礼しました

台湾の鉄道では、日本とは異なり、ホームの番号はそのホーム自体に割り振られます。例えば島式の両面タイプの場合は、日本では1番線、2番線と割り振られますが、台湾だと1A、1Bのようになります。駅の電光掲示板には沙崙行きは2Aと書いてありました。自動券売機で切符を買って、2番ホームに向かいます。25台湾ドルです。よく見たら昨日着いたのも2Aのホームでした。

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沙崙線は「南下」になります。次の列車は2Aから発車する模様

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自動券売機で買った切符25台湾ドル。自動販売機にもクセがあり、乗る枚数、おとなか子どもか、行先、のボタンを次々に押していくことで購入できます。ぱっと見では分かりませんでした

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「月台」というのがプラットフォームの意味。なんで月台なんでしょう

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2番ホームに着きました。南行きですから、昨日到着したのと同じホームですね

北行き、南行きの列車が到着しては発車していきます。北行きの普通列車には「女性優先車両」がありました。ただ日本とは異なり、夜の間に女性専用車となるようです。昼間より夜の方が危ないんでしょうか。やっぱり。

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「女性優先車両」の文字が見えます

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台湾の「区間車」としてよく使われているEMU500形電車

やがて時刻となり、沙崙行きの普通列車が入線してきます。先頭車両に「DAEWOO」の文字が見えます。韓国の大宇重工製のEMU500形電車です。車内は日本の通勤電車とほぼ変わらず、ロングシートが配置されています。ドアの上にはデジタルサイネージもありました。

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日本と似たようなデジタルサイネージが。ただし何が書いてあるのかよく分かりません

沙崙線に乗って20分程度。終点の沙崙駅に到着です。あっという間でした。2011年1月に開業したという沙崙駅はとてもきれいで、台南駅と比べるとかなり近代的です。高架の2階がホームになっており、高鉄の台南駅に接続しています。到着したときにちょうど南方面へ行く高鉄が見えました。

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沙崙駅ホーム。2011年にできたばかりなのでとてもきれいです

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ホームから南方面行きの高鉄が見えました

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沙崙駅の改札口

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改札口に向かって左側には自動券売機とコーヒーショップ

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高鉄台南駅への乗り換え口

高鉄台南駅構内にはセブンイレブンとモスバーガーがありました。ちなみに台湾にはかなりの数のセブンイレブンがあります。台北でもよくお世話になりました。店内の様子は日本とほとんど変わりません。このあたりはグローバリゼーション様々なのかもしれません。台南でモスバーガーにも入りましたが、モスチーズバーガーを頼んだところ、日本ではかなりたっぷりめに盛られるミートソースがあまり入っていなくて、ちょっとがっかりしました。

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1階部分にきっぷ売り場とセブンイレブン、モスバーガーがあります

さて高鉄ですが。9時29分には着いてしまったので、目的の列車の10時49分までにはかなりの時間があります。時刻表を見てみると少しだけ早く着く列車がありそうです。ただしこれは各駅停車で、40分近く早く出るものの、到着時刻は20分前の11時53分。かなり微妙ですが早く着いた方がいいかと思い、これに変えることにしました。しかしきっぷは早期購入の割引が得られませんので、追加で支払う必要があります。窓口で差額を支払って変えました。改札は自動改札です。ただし日本のように、切符を入れて改札出口先端で切符を受け取るシステムではなく、入れたすぐの所にきっぷが出る仕組みなので、ちょっと戸惑いました。

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有人のきっぷ売り場

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切り替えてもらったチケット

ホームの光景はちょっと日本の新幹線とは違いますね。お弁当を売っているところとかがないせいでしょうか。どちらかというと殺風景です。

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高鉄台南駅のホーム

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お目当ての列車が到着

定刻通りに列車が到着します。高鉄の車内は日本の新幹線とまったく変わりません。それはそうですよね。前編でも書いたとおり、700系を元に開発されているわけですから。片側にAからCの3列、通路をはさんでDとEの2列に配されたシート、荷物棚などなど。なんか安心します。
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光景もなんとなく日本っぽい。ちょうど米が育っている最中なのか、車窓には田んぼが広がります。なんか東北新幹線を走っているのかと錯覚するくらい。しかしたまにサトウキビ畑と思われるものを通り過ぎるあたりは、やっぱり台湾です。

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田んぼの風景が広がります

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これはサトウキビ畑、でしょうか

列車は無事高鉄桃園駅に到着しました。桃園駅は地下駅。エスカレーターで地上へ向かいます。外はかなり雨が降っていて、これが実は帰国までにかなり大変な思いをする原因であったのですが……。それは本稿の目的ではありませんので省いておきます。

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無事高鉄桃園駅に到着です

実は私、外国の列車に乗るのは初めてでした。そんな中でも一通り乗ってしまうと、乗り切ったという自信とともに、次はこうしたらよかったのかもとか、いろいろと反省点が生まれます。次回は台湾東部幹線や集集線にも乗ってみたい。鉄道に乗るためだけに台湾に行くのもいいのかもしれません。

台湾高速鉄道

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