- 2014-2-28
- Web
- DML, キャンペーン, デジタルマーケティングラボ, リスティング広告
- DMLの「リスティング広告の戦略と事例」からエンハンストキャンペーンを使いこなす方法をマスター はコメントを受け付けていません
前回『成功も失敗も実例から学べる デジタルマーケティングラボの「リスティング広告の戦略と事例」』という記事で、Webコンテンツ検索キーワードに反応して、探している人と提供する側とをマッチングさせるリスティング広告について、失敗例から学ぶ方法を紹介した。失敗する方法を排除することで成功へすすむ方法だが、具体的な事例なので、かなり参考になったWeb担当者も多いのではないだろうか。
さて、今回はその「リスティング広告の戦略と事例」コンテンツ内の「成功事例」に用意されている、「エンハンストキャンペーンを使いこなす」というコンテンツを紹介していこう。
■リスティング広告に関する成功事例から何を学ぶか?
リスティング広告における失敗する方法の排除は成功への第一歩であることに変わりはないが、もちろん成功事例から学ぶこともある。その事例をそっくり真似すれば必ずしも成功するということではないが、少なくともうまくいった実績のある事例であるため成功する確率は高くなる。
また、様々な事例を知識として取り込んでおくことは、何かあった時の引き出しとして利用ができるので、現場担当者にとってメリットが高い。それでは成功事例から学ぶものとして、リスティング広告における「エンハンストキャンペーン」の使いこなし方について、順を追って紹介しよう。
■そもそもエンハンストキャンペーンとは?
まずはリスティング広告におけるエンハンストキャンペーンというものは、どういうものなのか? について知っておく必要がある。iPhoneやiPadの大ヒットなどからもわかるように、スマホとタブレットの爆発的な普及から消費者の行動はここ数年で大きく変化した。
いつでもネットにつなぐことができるデバイスの登場によって、ユーザーは地域、時間帯など関係なくインターネットを利用できるようになった。こうした環境の著しい変化に対応したリスティング広告の新しい環境がエンハンストキャンペーン(※)と呼ばれるものである。
※ヤフーの場合はユニファイドキャンペーンと呼ぶ。
エンハンストキャンペーンでは、ユーザーの意図(検索キーワード)とコンテキスト(曜日・時間帯・地域・デバイス)を踏まえた関連性の高い広告により、PCやスマホ、タブレットといった様々なデバイスにおいて、適切なタイミングを捉えてユーザーにアプローチできるようになっている。
言い換えるならエンハンストキャンペーンとは、キャンペーンごとにデバイスを選択するのではなく、1つのキャンペーンで「PC」「タブレット」「スマホ」に入稿する形がデフォルトになる仕様変更のことだ。消費者がどの端末でアクセスしてきてもアプローチできるようになっているというわけだ。
ただし、ユーザーは今までのようにデバイス別にキャンペーンを分けることができない。全てのデバイスが1つのキャンペーンとして管理され、「スマホ」の入札単価は「PC」&「タブレット」を基準に“%”で設定する。そして「PC」と「タブレット」は同様と見なされる。リスティング広告の初心者にとってはアカウントの管理がシンプルになるのでメリットに感じるかもしれないが、戦略的に多くのキャンペーンを使用しているWeb担当者にとってはデメリットの部分もあるのだ。それではエンハンストキャンペーンの「デメリット」と「メリット」は何かについて紹介しよう。
■マルチデバイスが当たり前のエンハンストキャンペーンだと個別対応ができない
まずは、従来と比べて不便となった部分を見てみよう。たとえばエンハンストキャンペーンではスマートフォン専用のキャンペーンが作成できない。これは明らかにデメリットと言える。しかも「スマホ」の入札単価はキャンペーンや広告グループ単位で、「PC」「タブレット」を基準に“%”で設定するようになっている。
スマホ専用ゲームをリリースしている会社が広告を打つのであれば、PCやタブレットからのアクセスを排除し、スマホ専用のキャンペーンにしたいと考えるのが普通だ。しかし、エンハンストキャンペーンでは、スマホ専用のキャンペーンが作成できないため、PCやタブレットに対しても同様の広告が表示され、その単価はPCとタブレットを100としたときの%指定で単価を設定する必要がある。
このように基準値がPC(タブレットも同じ)を100とした見立てなので、スマホ専用のキャンペーンを中心に打ってきた担当者だと、PCを基準としたスマホのパーセンテージをどう設定したらいいのかわからないということが出てくる。PCに対してマイナス100%からプラス300%までの単価を設定できるようになっているが、果たしてどのくらいが適当かは、試行錯誤ということになってしまう。
先述したようにスマホの入札単価の%設定は、マイナス100%からプラス300%まで、ある程度自由に設定できるので、PCの単価を極力下げることはできる。しかし、それでもスマホの入札単価がPCに引っ張られことには変わりないので、問題がクリアになるわけではないのだ。スマホ専用の製品や商品を扱うユーザーにとっては、納得できない部分がここかもしれない。
逆にPCのみのキャンペーンにしたい場合、スマホの単価調整を「-100%」に設定すればいい。これだけでPCのみのキャンペーン(正確にはPC+タブレット)が作成できるので大きなデメリットにはなっていない。PC向けの企業にとっては、エンハンストキャンペーンはデメリットがないので積極的に利用できるシステムであるといえるだろう。
ただ、エンハンストキャンペーンでは「Click-to-Download広告」というアプリダウンロード用の広告が作成でき、こちらはスマホ専用の広告になる。また、PCとタブレットを100%と見立てるのではなく、スマホ専用キャンペーンやスマホを100%と見立てた場合の%指定が可能になれば、スマホにおけるデメリットも解消されるだろう。
■細やかな指定ができるのがエンハンストキャンペーンのメリット
それではエンハンストキャンペーンのメリットを見てみよう。たとえば同じ検索キーワードでも「曜日」「時間帯」「地域」「デバイス」が違えばユーザーの意図も違うわけで、エンハンストキャンペーンでは、コンテキスト(曜日・時間帯・地域・デバイス)に応じて、入札単価を細かく調整できるようになっている。設定はキャンペーン単位、広告グループ単位で可能だ。
例えば『曜日が○○の時は「+5%」』『時間帯が○○の時は「+10%」』『所在地が○○の時は「+20%」』『モバイルからの検索は「+10%」』といったように入札単価を決めることができる。この場合の入札単価は、「デフォルトの入札単価×152%(1.05×1.1×1.2×1.1=1.5246)」となる。
デバイスは「PC(デスクトップとノートパソコン)」「スマートフォン」「タブレット」の3種類が選択でき「-100%~+300%」で調整できる。曜日、時間帯、地域は「-90%~+900%」の範囲で調整可能だ(キャンペーン単位の設定で全く配信されないようにすることも可能)。
■モバイル優先といった広告文のフラグ付け機能
広告文にはデバイス設定で「モバイル優先」のフラグを付けることができる。これにより、モバイルで検索してきたユーザーにはPCと違った広告文を表示させることができる。ただし、あくまで“優先”なので、例えば、広告グループ内の全ての広告文を「モバイル優先」にした場合でも、一部PCにも配信される。もしスマホとPC両方に配信したいのであれば場合は、1つの広告グループに「PC用」と「スマホ用」の広告文を用意しておくといいだろう。
■広告グループ単位で設定できるサイトリンク
サイトリンクは広告グループ単位で設定できる。さらに、今まで1つの集合として扱われていたサイトリンクが、リンクごとに分割され、広告グループごとに自由に組み合わせが設定できるようになっている。また、「モバイル優先のサイトリンク」「モバイルでは非表示にするサイトリンク」「表示する時間帯」なども設定できる。1リンクごとにレポートを見ることができるのも特徴だ。
■ポイントを押さえてエンハンストキャンペーンを使いこなせ
以上のようにエンハンストキャンペーンのメリットを理解できたのであれば、できるだけ上手に利用する方法をマスターしよう。ポイントは以下の4点だ。
1)旧キャンペーンのモバイル実績を調べておく
2)「曜日」「時間帯」「地域」の実績を調べておく
3)デバイス別の広告文の準備
4)サイトリンクの準備
それぞれを解説すると以下のようになる。
1)旧キャンペーンのモバイル実績を調べておく
先述したようにエンハンストキャンペーンでは「PC&タブレット」と「スマホ」のキャンペーンが統合されている。そしてスマホの入札単価はPCを基準とした%設定になるので、事前にスマホの実績を調べておき、「PCの何%の入札単価が適切なのか」を算出しておくのが鉄則だ。入札単価はキャンペーン単位で設定できるが、広告グループ単位で細かく設定しておくと後々融通が利くだろう。
2)「曜日」「時間帯」「地域」の実績を調べておく
コンテキスト(曜日・時間帯・地域・デバイス)に応じて、入札単価を調整できるようになっているので各コンテキスト別の入札単価調整を行うために、「曜日」「時間帯」「地域」の実績は必ず調べておくこと。
3)デバイス別の広告文の準備
広告文にフラグ付けができるので、PC用とスマホ用の広告文を準備しておきたい。エンハンストキャンペーンではスマホを対象にしたい広告文には「モバイル優先」のフラグを立てることができる。ほかにもタイトルや説明文の他、リンク先URLも個別に設定できるので、細かく設定しておくほうがいいだろう。
4)サイトリンクの準備
エンハンストキャンペーンでは、サイトリンクはリンクごとに分割され、広告グループごとに自由に組み合わせることができる。「モバイル優先のサイトリンク」「モバイルでは非表示にするサイトリンク」「表示する時間帯」なども考えておくといいだろう。
これからもブラッシュアップが必要なエンハンストキャンペーンであるが、今後はこちらがメインになってくることを想定して、本コンテンツからエンハンストキャンペーンの使いこなし方をマスターしておこう。いつエンハンストキャンペーンに移行しても、すぐに結果を出せる設定が可能になるはずだ。
■【リスティング広告戦略】エンハンストキャンペーンを使いこなす|DML
■デジタルマーケティングラボの記事をもっと見る
・成功も失敗も実例から学べる デジタルマーケティングラボの「リスティング広告の戦略と事例」
・日本のインターネット広告の歩みがわかるDMLのインターネット広告の歴史
・デジタルマーケティングラボがDMPを詳細に解説! データマネジメントプラットフォームとは?