個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第四十八回


■はじめに
前回はAppleの電子書店であるiBooksストア向けの電子書籍を制作している方向けに、電子書籍の実機表示確認のプロセスを効率化するアプリ「Book Proofer」のトラブルについて紹介しました。

紹介したトラブルは記事掲載時の半年ほど前から確認されていたものなので、「まだ解決されていない」という中間報告的な意味合いが強い内容でした。

今回は、前回お知らせしたようにMac版のiBooksの校正機能(実機表示確認機能)について紹介します。

■「ライブラリ」フォルダを「よく使う項目」に登録する
後述しますがiBooksの校正機能を使う際にはiBooksアプリのファイル選択ダイアログで、「ライブラリ」フォルダ内のファイルを選択することになります。

ところが「ライブラリ」フォルダはシステム関連の重要なファイルが格納されているために、通常はフォルダ内部へのアクセスが制限されています。

つまり、ファイル選択ダイアログから「ライブラリ」フォルダ内のファイルを選択できません。

そこでまず、「ライブラリ」フォルダを「よく使う項目」に登録することで、iBooksのファイル選択ダイアログから「ライブラリ」フォルダ内のファイルを選択できるようにしておきます。

※「ライブラリ」フォルダを「よく使う項目」に登録すると、システム上重要なファイルに容易にアクセスできるようになるので、扱いには十分ご注意ください。

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Finderの[移動]メニューを開きます。

通常はここに「ライブラリ」は表示されていませんが、optionキーを押下すると「ライブラリ」が表示されます。

通常

通常


option押下

option押下

「ライブラリ」を選択して「ライブラリ」フォルダを開きます。

タイトルバーのフォルダアイコンを「よく使う項目」の任意の場所にドラッグ&ドロップすればOKです。

フォルダアイコンをドラッグ&ドロップ

フォルダアイコンをドラッグ&ドロップ


登録完了

登録完了

ちなみに登録した「ライブラリ」フォルダの登録を解除したいときは、登録したフォルダをcontrolキー+クリックで表示されるメニューの[サイドバーから削除]を実行します。

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■Mac版iBooksの校正機能を使う
さて、ここからが本題です。

Book Prooferのトラブルにガッカリしたものの、Mac版iBooksに微妙ながら代替手段が用意されました。

YosemiteのiBooksには環境設定で[メニューバーの”詳細”メニューを有効にする]というオプションが用意されました。iBooksの校正機能を利用するにはこれにチェックを入れて有効にします。

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これにチェックを入れると、iBooksに[詳細]メニューが追加され、[ePubをプルーフとしてライブラリに追加]が選択できるようになります。

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これを選択すると、EPUBファイルを選択するダイアログが表示されますが、通常のフォルダにあるEPUBファイルは開けません。

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この選択ダイアログでは以下のフォルダ内のファイルのみを開けます。

ライブラリ/Containers/com.apple.BKAgentService/Data>Documents/iBooks/Books/

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このフォルダにはiBooksに登録された電子書籍が格納されます。

iBooksに登録する際に電子書籍ファイルが複製され何らかの加工が施された上でこのフォルダに格納されるらしく、通常のEPUBをそのままこのフォルダに配置しても、[ePubをプルーフとしてライブラリに追加]で開くことはできません。

また、このフォルダに格納された電子書籍ファイルはiBooksによって設定されたファイル名になるので、校正したいファイルを見つけるのが容易ではありません。

ファイル選択ダイアログで、追加日順などでソートするか、あるいはこの選択ダイアログではEPUBの内部ファイル構成が見えるので、それを手がかりにするなど、工夫が必要でしょう。

対象となるEPUBファイルを選択すると、iBooks上に取り込まれ「新規」のラベルが付きます。

iPadやiPhoneを接続してこの書籍を開いてみます。

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すると右上に[デバイス]ボタンが表示されるのが確認できます。

[デバイス]ボタンをクリックすると、接続されているデバイスの一覧が表示されるので、転送したいデバイスにチェックを入れるとその電子書籍が転送されます。

その際に、対象デバイス上でiOS版iBooksを開いておく必要があります。

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■最後に
Book Prooferの代役としては力不足かもしれませんが、知っておいて損はないぐらいの感じでiBooksの校正機能を紹介しました。

iBooksストアもWindowsやAndroidで利用できる環境ができれば、かなりのインパクトがあると思いますがちょっと期待薄でしょうか。

※次回は編集部の都合により、お休みさせていただきます。※

最後に例によってハンズオントレーニングのお知らせです!
いずれも原宿のロクナナワークショップのハンズオン講座です。

結構ちょこちょこ各ストアの状況が変わっていますので、随時内容を更新しています。

「Amazon:Kindleストア用電子出版講座」
Kindle向けの電子書籍の制作とリリースの手順を扱った講座です。
次回は6月2日の予定です。

「Apple:iBooksストア用電子出版講座」
iBooks Authorを利用した電子書籍の制作と、iBooksストアへのリリース手順を扱った講座です。
次回は6月9日の予定です。

いずれも、電子書籍の制作はハンズオン、リリースの手順はセミナー形式で行います。

是非ご参加ご検討ください!

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi

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