工芸の未来を物流から支える!中川政七商店「NKG倉庫」の舞台裏【天理 倉の耕流祭】

  • 2026-11-6
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奈良県天理市を舞台に、地域の産業や文化の現場を一般公開するオープンドア・イベント「天理 倉の耕流祭」が、2026年11月6日(金)から8日(日)まで開催される。製造業や農業、食品、流通、文化など、多彩な分野の事業者が参加し、普段は立ち入ることのできない施設を公開するイベントだ。今回、1716年創業の老舗企業・中川政七商店が運営する物流拠点「NKG倉庫」を見学する機会を得た。日本の工芸を物流の側面から支える巨大倉庫の特徴と、その取り組みを紹介したい。

■天理の街全体を開放する「天理 倉の耕流祭」
「天理 倉の耕流祭」は、奈良県天理市にある工場や倉庫、店舗、文化施設などを開放し、地域の産業や文化に触れる機会を提供するイベントだ。

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一般的なオープンファクトリーが製造現場の公開を中心とするのに対し、同イベントは製造業だけでなく、農業、食品、流通、デザイン、文化など、地域のさまざまな活動を対象としている。

イベントの名称にある「倉」は、単なる物理的な倉庫を意味するものではない。普段は公開されていない施設や、そこで受け継がれてきた技術、知識、文化なども含まれる。
それらを地域の資産と捉え、広く公開することで新しい交流を生み出すことを目指している。

2025年の初開催に続く2回目となる今回は、天理市内のさまざまな事業者が参加。工場見学やワークショップ、買い物などを通して、地域の魅力を発信する。

その参加企業のひとつが中川政七商店だ。同社は天理市にある自社の物流拠点「NKG倉庫」を公開し、物流の現場を知る機会を設けた。

■延べ床面積2700坪!日本の工芸を支える「NKG倉庫」
中川政七商店が運営する「NKG倉庫」は、2024年6月1日に稼働を開始した物流施設だ。
奈良県天理市南六条町に位置し、敷地面積は約3400坪、延べ床面積は約2700坪。地上3階建ての大規模な物流拠点である。

「NKG」という名称は、中川政七商店の社名「NAKAGAWA」と、同社が掲げるビジョン「日本の工芸を元気にする!」に由来する。

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この施設の大きな特徴は、中川政七商店の自社商品だけでなく、全国の工芸事業者の商品も取り扱う「ハイブリッド倉庫」であることだ。

一般的な企業の自社倉庫は、自社製品の保管や出荷を主な目的としている。しかし、NKG倉庫は外部事業者の物流業務も請け負う営業倉庫としての機能を備えている。

工芸品は、形状やサイズ、素材が多岐にわたるうえ、多品種小ロットの商品が多い。こうした商品を適切に管理し、全国の店舗や消費者へ届けるには、きめ細かな物流体制が欠かせない。

NKG倉庫は、こうした工芸産業特有の物流課題に対応するために整備された施設だ。

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■1日約10万個の商品に対応!巨大倉庫の物流システム
NKG倉庫では、約100名のスタッフが働き、毎日約10万個の商品に対応している。
施設は3階建てで、それぞれのフロアが異なる役割を担っている。

1階は、商品の入庫や大量の在庫を保管するエリアだ。全国の産地や工房から届いた商品を受け入れ、必要に応じて保管する物流の玄関口となっている。

固定型の棚は、すぐにピックアップしたい在庫を保管する。通常の物流倉庫は3段だが、NKG倉庫では4段の棚になっており、大量の在庫を保管できる。

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稼働型の棚は、大量の在庫を保管できる。

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2階には、ECサイトの受発注業務を担当するオフィスや撮影スタジオ、食堂などが設けられている。

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3階は、物流業務の中心となるエリアだ。商品の保管、ピッキング、梱包、出荷準備のほか、製造の最終工程や検品などを行う。

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中川政七商店の商品は、全国の直営店舗やオンラインショップを通じて販売されている。NKG倉庫では、その流通を支えるため、商品の入庫から在庫管理、出荷までを一貫して担っている。
また、製品の袋詰めや検品、ギフト包装、返品商品の確認などにも対応する。

単に商品を保管して出荷するだけではなく、製造から販売までの工程を幅広く支えている点が特徴だ。

今回の見学を通じて注目したいのは、物流が商品の価値を消費者へ届けるための重要な工程であるという点だ。工芸品の魅力を維持しながら、必要とする人のもとへ確実に届けることも、ものづくりを支える仕事のひとつといえる。

■ヤマト運輸との協業で物流効率化を推進
NKG倉庫では、物流業務の効率化にも取り組んでいる。
中川政七商店は、物流業界が抱える人手不足や輸送能力の低下などの課題に対応するため、ヤマト運輸と協業している。

具体的には、トラック予約システムや自動採寸計量器を導入し、物流業務のデジタル化を進めてきた。
また、運送会社との業務分担を見直すことで、ドライバーの待機時間削減や作業効率の向上にも取り組んでいる。

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これまで4カ所に分散していた物流拠点をNKG倉庫に集約したことも、大きな特徴だ。
さらに、全国約800社の工房からの商品入庫に関する手配を集約することで、輸送ルートの効率化にもつなげている。

同社が2024年に公表した資料によると、従来の倉庫との比較で、ドライバーの待機時間を50%、CO2排出量を76%削減したという。

物流の効率化は、コスト削減だけでなく、環境負荷の軽減や持続可能な事業運営にもつながる。

中小規模の工芸事業者が単独でこうした物流システムを構築することは容易ではない。NKG倉庫が複数の事業者の物流を支えることには、業界全体の生産性を高める可能性がある。

■物流倉庫の中に撮影スタジオ!販売促進まで支援
NKG倉庫には、一般的な物流施設とは異なる機能も備わっている。
そのひとつが、2階に設置された約25坪の撮影スタジオだ。

スタジオには古家具やキッチンなどが配置され、実際の生活空間をイメージした商品撮影ができるようになっている。

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中川政七商店では、このスタジオをオンラインショップの商品写真や動画、SNS向けコンテンツなどの撮影に活用している。

近年、オンラインショップでは、商品そのものの特徴に加えて、実際の暮らしの中でどのように使うのかを伝えることが重要になっている。

商品が保管されている倉庫の中に撮影スタジオを設けることで、物流と販売促進の機能を同じ施設内に集約できる。

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商品を届けるための物流だけでなく、商品の魅力を伝えるためのコンテンツ制作にも対応している点は興味深い。

今回の倉庫公開では、通常は一般公開されていないこの撮影スタジオも、倉庫ツアーの見学対象となっている。

■物流から日本の工芸の未来を支える
中川政七商店は「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、工芸品の製造・販売だけでなく、全国の工芸事業者に対する経営支援や販路開拓にも取り組んでいる。

NKG倉庫は、そうした活動を物流の面から支えるための拠点だ。

工芸品が消費者の手元に届くまでには、商品を企画する人、製造する職人、販売する人など、多くの人々が関わっている。その流れをつなぐ物流もまた、欠かせない存在である。

今回の見学を通じて、工芸産業を発展させるためには、優れた商品を生み出すだけでなく、その価値を全国へ届ける仕組みが重要であることをあらためて感じた。

特に注目したいのは、自社だけで物流機能を独占するのではなく、全国の工芸事業者にも提供している点だ。

ものづくりに携わる企業が物流業務の負担を軽減できれば、本来の強みである商品開発や製造、販売活動により多くの経営資源を振り向けられるだろう。

NKG倉庫は単なる物流施設ではない。日本の工芸を未来へつなぐための基盤であり、工芸産業の新たな可能性を示す取り組みといえそうだ。

■中川政七商店

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経営とデザインの幸せな関係
中川 淳
日経BP
2016-11-03



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