- 2026-9-7
- ITビジネス
- 植物そのものが光源に!LEPが挑むサステナブルなイルミネーション【IVS2026】 はコメントを受け付けていません

植物が自ら光を放ち、街や暮らしを彩る。そんな未来が現実になろうとしている。IVS2026では、大阪大学発のスタートアップ「LEP」が、発光キノコ由来の仕組みを植物内で再構成した「光る植物」を展示した。発光そのものに外部電力を必要としない次世代の光は、商業施設の空間演出から都市のイルミネーションまで、照明のあり方を変える可能性を秘めている。

■発光キノコの仕組みを植物内で再構成
LEPは、大阪大学の永井健治教授と奈良先端科学技術大学院大学の出村拓教授らによる研究成果を社会実装するため、2023年に設立された大学発スタートアップだ。
同社のコア技術は、発光キノコ由来の生物発光システムを植物内で再構成し、植物自体を発光させる技術にある。外部から電力や発光基質を供給しなくても、植物が持つ代謝の仕組みを利用して持続的に光る回路を構築している。
これにより、植物そのものが光を放つ、環境負荷の低い新たな空間演出や次世代光源の実現を目指している。
IVS2026の展示では、シャーレの中で淡く発光する植物細胞のプロトタイプが公開された。担当者によれば、細胞が生きている間は発光を続けるという。
現在はシャーレ内で細胞を培養しており、約3週間から1か月で細胞の増殖が限界を迎えることが課題となっている。一方、細胞レベルだけでなく、タバコなどの植物体を使った実証も進められているという。


■「光る植物で月を作りたい」――多色化と実証実験へ
光る植物の可能性は、単に淡い光を放つだけにとどまらない。LEPは、光の波長を制御する技術の開発にも取り組んでいる。
同社によれば、発光タンパク質では約20色のバリエーションを実現しており、今後は植物への応用を通じて、赤や青など多彩な発光表現を目指すという。
担当者は、「将来的には光る植物を球状にして、『月』のようなものを作りたい」と壮大なビジョンを語った。光る植物を用いた立体的な造形物が実現すれば、商業施設やホテル、イベント会場などにおける新たな空間演出へと発展する可能性がある。
同社の技術は研究室の中にとどまらず、一般向けの公開も始まっている。2025年4月21日から28日まで、大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」に出展し、「光る植物―未来の『侘び寂び』」をテーマに、発光するカルスやタバコの花などを展示した。
さらにLEPは、東急不動産などが運営するグリーンテックスタートアップ支援プログラム「GREEN VALLEY SHIBUYA」の採択企業に選ばれている。
担当者によれば、2026年11月には東京の「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」で、光る植物を使った展示・実証実験を予定しているという。植物が放つ光による空間演出の効果や、次世代光源に対する来街者の受容性などを検証する計画だ。
発光そのものに電気を必要としない植物が、渋谷の街を彩る日も近づいている。
■大学発の「知」と渋谷の「アセット」を結ぶ
今回、LEPの取り組みが紹介されていたのは、京都市勧業館「みやこめっせ」に設けられた「IVS」エリアだ。同エリアでは、「KYOTO × SHIBUYA GLOBAL DEEP-TECH INNOVATION」と題した展示が行われていた。
これは、京都大学イノベーションキャピタル(京都iCAP)が支援する大学発ディープテックと、東急不動産が持つ渋谷の施設や事業基盤を結び付け、研究成果の社会実装を加速させる取り組みだ。
LEPもその一社として紹介されており、大学で生まれた研究成果が、企業や投資家の支援を受けながら、大都市における実証や事業化へとつながっていく流れを象徴する存在となっていた。
現時点の光る植物は、一般的な照明をそのまま代替するほどの明るさを持つものではない。しかし、電力に依存しない生命由来の光は、従来の照明にはない癒やしや驚き、自然との一体感を生み出す可能性を秘めている。
研究室のシャーレで放たれていた小さな光が、ホテルや商業施設、都市空間を彩る光へと成長するのか。LEPが進める社会実装の行方に注目したい。
■株式会社LEP
■IVS2026 公式サイト
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代表取締役・ITライフハック代表
ITライフハック編集長・ライター
ITライフハック副編集長・ライター
