「守る」から「ともにつくる」へ!キッズデザイン賞20周年が再定義する“子どもの役割”

  • 2026-2-24
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創設から20周年を迎えたキッズデザイン賞が、大幅なリニューアルを発表した。最大のトピックは、「子どもの参加・参画」を独立部門として新設したこと。これまで“守られる存在”として語られがちだった子どもを、社会を構成する主体へと再定義する動きともいえる。累計応募総数は4000点を超え、内閣総理大臣賞の創設や海外アワードとの連携など進化を続けてきた同賞は、なぜ今、評価軸そのものをアップデートするのか。その背景と狙いを読み解く。

■“守られる存在”から“社会を動かす主体”へ――新設「子どもの参加・参画」部門の意味

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主催するキッズデザイン協議会は、従来の「子どもたちの安全・安心に向上するデザイン」「子どもたちの感性と創造性を拓くデザイン」「出産・子育てを支援するデザイン」の3部門に加え、新たに「子どもの参加・参画」部門を設置すると発表した。

会長の坂井和則氏は、「この20年、キッズデザイン賞は社会とともに歩んできた。子どもを取り巻く環境が大きく変わるなかで、賞のあり方も進化させる必要がある」とあいさつ。リニューアルについて「単なる周年事業ではなく、次の時代に向けた再出発である」と強調した。

■「企業の競争力にもつながる」経産省が評価するキッズデザインの価値

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来賓として登壇した経済産業省 商務・サービスグループ 商務・サービス政策統括調整官の江澤正名氏は、「子どもにやさしい製品やサービスの開発は、単なる福祉的取り組みにとどまらず、企業の競争力強化や新たな市場創出にもつながる重要な視点だ」と制度の社会的意義について述べた。

さらに、「少子化が進む中で、子どもや子育て世代を支える環境整備は社会全体の課題。官民が連携しながら、子ども視点の取り組みをより一層広げていきたい」と述べた。

子ども視点を経済政策の文脈で位置づけた発言は、キッズデザイン賞のリニューアルが単なるデザインアワードの刷新にとどまらず、産業政策や社会構造とも接続していることを印象づけた。

■CSRから事業戦略へ――企業に広がる“子ども視点”の変化

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キッズデザイン協議会理事の高橋義徳氏は、「この20年で、企業の子ども視点への向き合い方は大きく変わった」と振り返る。「以前はCSRや社会貢献の文脈で語られることが多かったが、今は事業戦略そのものに組み込まれつつある」と語った。

「子ども視点は、結果的に高齢者や障がい者にもやさしいユニバーサルな価値につながる」と強調した。また、「社会の変化に合わせて評価軸を見直すことが賞の役割」とし、制度進化の必要性を示した。

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審査委員長を務めてきた山中利政氏は、「ここ数年、子ども自身がプロジェクトに参加し、社会課題の解決に関わる取り組みが増えている」と応募傾向の変化を説明。そのうえで、「デザインとは課題を発見すること。子どもたちの視点こそ、新しい課題を見つける力になる」と語った。

参加型の取り組みは以前からあったが、今回の独立部門化によってその潮流を明確に打ち出した形だ。

■応募4000点超。20年の歩みで“子ども像”はどう変わったのか
2007年創設の同賞は、2013年には内閣総理大臣賞を創設し、社会的認知を高めてきた。受賞作品は累計4000点を超え、玩具や家具といったプロダクトにとどまらず、住宅、まちづくり、教育プログラム、ICTサービスなど幅広い分野へと拡大している。

この20年で社会環境は大きく変化した。東日本大震災やコロナ禍を経て、防災やウェルビーイングへの意識が高まった。AI技術の進展やデジタルデバイスの普及により、子どもたちの日常も大きく様変わりしている。さらに2023年には「子ども家庭庁」の発足するなど、政策面でも子どもを中心に据える動きが加速している。

社会構造が変わるなかで、評価制度そのものもアップデートが求められている。今回のリニューアルは、その変化への応答といえる。

■「親が笑顔でいられる仕組みを」杉浦太陽が語った“子どもにやさしいデザイン”

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特別ゲストの杉浦太陽さんは、5児の父として日々子育てに向き合う当事者だ。2007年に第一子が誕生し、“パパ歴”はキッズデザイン賞と同じ20年になる。「キッズデザイン賞とともに20年を歩んできたような感覚がある」と語った。

「第一子の頃はスマートフォンもない時代。育児情報を得るのも一苦労だった」と振り返り、「今はアプリやデジタルサービスが充実し、父親の育休取得も広がっている。社会は確実に変わってきた」と実感を語った。

また、「子どもにやさしいデザインとは、大人にとっても無理がないこと。親が笑顔でいられる仕組みが大事だと思う」と強調。日常の中で感じる不便さや気づきこそが、新たなデザインのヒントになると述べた。

■「課題はそこら中にある」──日常から生まれるデザインの種

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審査委員長の山中敏正氏、新たに就任した審査委員の米谷明子氏、そしてゲストの杉浦太陽さんによるトークセッションでは、「日常に潜む課題」が大きなテーマとなった。

杉浦さんは、「子育てをしていると、小さな“困った”が本当にたくさんある。忙しい朝や、寝かしつけの時間など、日常の中にヒントが転がっている」と実体験を交えて語った。

これに対し山中氏は、「課題はそこら中にある。それを発見し、社会に問いとして提示することがデザインの役割だ」と応じる。さらに新審査員の米谷氏は、「子どもたちは大人が気づかない視点を持っている。その声をどう拾い上げ、プロジェクトに反映できるかが重要。参加・参画という視点は、これからの社会に欠かせない」と述べた。

制度の刷新という大きなテーマを掲げながらも、議論は終始“生活の現場”に根差していた。子どもを守る仕組みだけでなく、ともに考え、ともに創る仕組みへ――。登壇者それぞれの立場から具体例と問題意識が次々に示され、セッションは終始熱を帯びたものとなった。

■20周年は通過点。“ともにつくる社会”は実現するのか

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20周年の節目で打ち出された今回のリニューアルは、単なる部門追加にとどまらない。子どもを社会の受益者から当事者へと再定義する試みだ。少子化が進み、子育て支援は国家的課題となっている。企業にとっても、子ども視点を取り入れた製品やサービス開発は、新たな市場創出やブランド価値向上につながる可能性を秘める。

坂井会長は最後に、「子どもたちの未来をデザインすることは、社会全体の未来をデザインすることである」と締め括った。

■2026年度はどう変わる? 応募要項と新部門のポイント

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2026年度のキッズデザイン賞は、新設された「子どもの参加・参画」部門を含む4部門で募集を行う予定。対象は製品、サービス、空間、活動、研究など幅広く、企業・団体・自治体・教育機関などからの応募を受け付ける。応募期間や詳細なスケジュール、審査基準については、公式サイト で順次公開される。

次の20年を形づくるのは、どのような“問い”だろうか。新たなステージに入ったキッズデザイン賞の動向に注目したい。

テクニカルライター 脇谷 美佳子


KIDS DESIGN AWARD(キッズデザイン賞)

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